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現代怪奇体験短編集〜地球の未知の世界へ〜※これらの話は全てフィクションです。第二編 化け火

男は暗闇の道を走っていた。ひたすら先に進んでいた。その姿は何かに追われているようだ。そうこの男は3人の人間を殺したからである。この男は強盗、殺人を犯しひたすら逃げていた。すると、少し先から、一つ火の玉が見えた。
 
 
 この火の玉は、不思議である。煙が出なければ、熱くもない、そして男に近づいて来る。気味が悪くなったため、男は折り返し、道の外れの森林の中へ入り一目散に逃げた。だが、逃げ切ったと思ったその時その先に火の玉があったのだ。男は怖くなり無我夢中に走った。しかし、男の望んだ通りにいかず火の玉は男の行く先々に灯っていた。
「何なんだよ・・・」
するとその火の玉は男の目の前まで来て、男がもう無理だと思った時、火の玉に異変が起きた。

 その火の玉をずっと眺めていると、顔が浮かんできたのだ。そのまま見ていると何か見覚えがある顔だ。その顔は、男が初めに銀行で殺した者の顔だったのだ。それからまた顔が浮かぶ、次は、銀行を出たあと殺した者の顔、その次は、取り押さえようと向かってきた警官の顔、そしてその顔たちは口を開き不気味な声で
「ナゼウバウ、ナゼウバウ、ナゼダ、ナゼダ、」
 男は恐怖で動けなかった。ただ火を眺めるしかできなかった。そして火の玉が奇声をあげ叫んだ。
「ナゼダアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼︎」
 その時男は先が見えなくなり、気を失った。
 
 男が気がつくと火の玉はいなかった。だが、まだ夜だった。男は一安心して道を進んでいたが、後ろから声がした。
「ナゼウバウ、ナゼウバウ」 
 そのあと男を見た者はいない。
 この地域では殺した相手の呪いが火の玉となり化けて出るといういい伝えがあるらしい。

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