[ミズノさんの100のお題]~3、轟く~《創作》
雲行きが怪しくなってきた。
遠くからゴロゴロと雷鳴が響いている。
人々は家路へ急ぎ、動物や鳥や虫達も、穴蔵や岩影、葉の裏側に身を隠す。
雲の上では雷神が皮の太鼓を鳴らしている。
ドン!ドン!ドーン!ドカン!ドンドン!
鳴らす度に、黄金色の光がピカリピカピカと四方八方に放たれていく。
そこへもう一人の雷神が雨雲に乗ってやって来た。
もう一人の龍神も立派な太鼓を鳴らしている。
ドンドン!ドンドン!ドカンドカン!
鳴らす度に青白い光がピカリピカピカと四方八方に放たれていく。
最初の雷神は負けじと雷を轟かす。
ドーンドーン!ドンドン!ドーンドン!
もう一人もさらに雷鳴を轟かす。
ドンドンドーン!ドカンドカン!
黄金色と青白い光があっちにもこっちにも放たれる。
その内、地上にもドカンドカンと落ち始める。
人々は、動物達は、生き物達は、身を縮めて息を潜めている。
ドンドンと太鼓を叩く度に、雨雲は厚さを増していき、地上にザーザーと雨が叩きつける。
川は増水し、今にも溢れそうになっている。
このままでは災害が起きてしまう。
と、その時。
『あんた~!!何やってんの!!見てみなさい!地上がとんでもないことになっちゃうでしょうが!!』
『あんたも!いちいち黄雷神に張り合いに行くんじゃないわよ!小鬼じゃないんだから!!』
風に乗ってやって来た2人の風神が雷神達をどやしつけた。
そして、大きな風袋でひとあおぎ。
黄雷神と青雷神はあっちとこっちへ吹き飛ばされて行った。
先ほどまで雷鳴轟いていた地上では、雨が止み青空が広がり、木の葉に水滴がキラキラと輝いていた。
『凄い夕立だったな』
『あと少し続いたら大変だったな』
そして雲の上。
『ごめんねぇ。うちのがいつも喧嘩売りに行っちゃって。』
『ううん。いいのよ。うちのも張り合っちゃって。いつまでたっても子供なんだからしょうがないわねぇ。』
『さぁ、少し風をおこして、地上を乾かしましょうね。』
気持ちのいい風が、地上が吹き抜けていった。
ーENDー