東北新社グループで最も落語に詳しい三浦さんに初めて落語を見た大野さんが聞いてみた!シリーズです!全4話(その2)
東北新社グループで最も落語に詳しい三浦さんに初めて落語を見た大野さんが聞いてみた!シリーズです!全4話(その2)
【オープニング】TFC LAB PRESENTS! 集まれ! 伝統芸能部!!
【山下】今日は大野さんがですね、初回に三浦さんにいろいろと落語のこんなところはどうですかという質問をしていたんですけど、初回の収録がちょっと時間切れでですね、途中で終わってしまったので、まあその辺をちょっとこれから大野さんが質問して、三浦さんがお答えすると。で、僕は茶々を入れるという役割ですね。幇間(たいこもち)山下、頑張りますので。よろしくお願いしまーす! みたいな感じですね。
【大野】よろしくお願いします。
【山下】山下です、よろしくお願いしまーす! みたいな感じですね。
はい、どうぞ。
【大野】はい。いろんなことをお聞きしたいんですけれども、まあまずシンプルに三浦さんのお好きな噺家さんが誰かっていうのを教えていただきながら。
【三浦】はい、噺家ですね。まあたくさんいますけど、今この人がわりと小さいところでやると結構行くのは、白酒っていう人ですね。
【大野】白酒。
【三浦】ええ。白い酒って書くんですけど。桃月庵白酒って、桃に月に庵。桃月庵白酒っていう噺家がいて。
【山下】顔も面白いですよ。(笑)
【三浦】結構、白酒は。まあコロナ明けで行ったのも白酒でしたし。今月も来月もまた行きますね。白酒、なんか面白いんですよ。ちょっとね、毒があって。まくらにすごい毒があるんで。それが面白いのと。まあだから、白酒って五街道雲助っていう噺家さんの弟子なんですよね。
【大野】はい。
【三浦】で、五街道雲助さんは、前回、前々回か。講談師の神田伊織さんがゲストでお見えになったその前のときに、志らくの話をしたときにたぶん金原亭馬生の話をしたと思うんですけど、10代目の。
【山下】そうですね。
【三浦】10代目金原亭馬生の弟子が五街道雲助なんですよ。で、雲助さんも私わりと好きで。まあこういう言い方していいか分からないですけど、わりと渋い噺家さんで。江戸前な感じの人なんですけど。その人のお弟子さんで、桃月庵白酒っていう噺家と、それから隅田川馬石っていう。隅田川は隅田川で、馬石は馬に石って書く人で。あとね、えっと……龍玉。蜃気楼龍玉ってのもいるんですよ。
【大野】かっこいいですね。
【三浦】その3人、結構好きなんですよね。なんかやっぱり馬生一門の、馬生からつながる流れの中で、まあ馬生の芸と白酒の芸、全然違いますけど、何となくその一門ちょっと追っかけたりしてて。馬石もたまに行きますね。えっとね、赤坂に赤坂をどりの稽古場っていうのがあって。まあ会社から歩いて10分ちょっとくらいかな。
【山下】どの辺にあるんですか?
【三浦】もうね、何て言ったらいいかな。溜池山王に近いほうなんですけど。
【山下】ああ、あっちのほう。
【三浦】そこで赤坂をどりとかの踊りのお稽古とかそういう、いわゆる板の間のとこがあって、そこで落語会がよくやられてるんですよ。
【山下】ああ、そうなんですか。
【三浦】ええ。そこでも雲助さんやったり馬石さんやったりしてて。そこも狭いですね。だから、ほんと30人40人でいっぱいになっちゃう。まあ座布団敷きなんですけど。
あ、ちなみに先日行った、さん喬さんも浅草見番っていう。
【山下】あ、見番ね。はい、僕も行ったことあります。
【三浦】はい。畳敷きの。座布団敷いて。
【山下】僕はね、最初に吉坊を見たのが浅草見番だったんですよ。
【大野】そうなんですか。
【三浦】とても落語を見るのに聴くのにいい環境ですね。
【三浦】あそこもだから踊りの稽古とかする場所ですよね?
【山下】そうですね。なんかね、調べたら昔はそういう芸者さんとかを派遣する?
【三浦】あ、そっかそっか。そうかもしれない。
【山下】そう。人材派遣業みたいな感じですよね。だから今で言うパソナみたいな(笑)。
【三浦】浅草のいわゆる観音裏っていう、昔で言う花街って言われてたところで。
【山下】そうです。そうです。花街があった。芸妓さんがね。
【三浦】いろんな店行って活躍してたあたりのとこですよね。今でもあの辺はその名残があって、いいお店とかたくさんあるんですけれども。
【山下】で、たぶんあそこで芸妓さんとかが踊りの稽古もされてたんですよね。たぶん見番でね。
【三浦】たぶんそうだと思います。
【山下】そう。いいとこですよ、浅草の見番のところ。ゴロゴロ会館の裏くらいですよね。
【三浦】そうですね。雷5656会館っていうのがあって、言問通り沿いに。
【大野】いや、その5656会館もちょっと分かんなくなっちゃいました(笑)。
【三浦】そっから奥入って右側にありますね。
【山下】ちょっとだけ離れてるんですよね、だからね。浅草の浅草寺の。
【三浦】ああ、もう全然。
【大野】ああ、そうなんですか。
【三浦】だから、いわゆる観音裏と呼ばれている地域ですね。
【山下】あ、あそこ観音裏って言うんだ。
【三浦】通称、観音裏ですね。
【山下】ちょっと静かですもんね、なんか。
【三浦】浅草寺の裏で。浅草寺病院が言問通り沿いにあり、その向かい側の一帯を観音裏と。
【山下】そう。言問通り越えたところかな。
【三浦】越えたとこですね。
【山下】ですよね。その一帯はなかなか渋いですよ。いい店があるんですよね。
【三浦】そうですね。ポツン、ポツンといい店があるんです。
【山下】そう、いい店があるんですよ。
【大野】久しぶりに行ってみたいです。
【山下】ぜひぜひ。
【大野】ちょっと浅草のあたり。
【三浦】でもね、間違ったところ入ると高かったりするんで気をつけたほうがいいですよ(笑)。
【大野】それは、どうやって判断を。
【三浦】あとね、一見さんお断りだったりするんで。
【大野】あ、そう……。
【山下】意外と浅草の店、高いんですよね。
【三浦】今はでも大丈夫です。いろいろ食べもののサイトがいっぱいあるんで、それで調べていけば安心(笑)。
【大野】調べていけば大丈夫ですか。
【三浦】調べていけば大丈夫です。
【山下】先ほどのね、もつ焼き、もつ煮込み通りもいいけどって。そういう裏もよろしいですよね。
【三浦】観音裏のほうが風情あっていいです。
【山下】風情ありますよね。
【大野】あ、いいですね。
【山下】ときどきね、三味線の音とかちょっと聞こえてくるんです。ほんまに。
【三浦】あ、そうですね。
【山下】ほんまに。これ、ほんまの話。
【大野】ほんまですか? それは。それ素敵ですね、ちょっと。
【山下】そうなんですよ。
【三浦】まあちょっと話戻すと、白酒は結構好きです。
【山下】白酒ね。
【大野】白酒。
【三浦】白酒はね、わりと見た目太ってて。
【山下】味がある。
【三浦】坊主頭で。なんか、とっつあん坊やみたいな感じなんですけど。
【山下】大仏さんみたいなねえ、なんか感じ。
【三浦】でも意外とね、廓話とかすると色気があるんですよね、結構。だから、こないだ行ったときは最後に「居残り」を持ってきて。「居残り佐平次」。
【山下】「居残り佐平次」。はい。品川の宿の。
【三浦】その前の2つ、廓話、吉原に関係ある話を2つやったんですけど、廓の話は結構上手ですね。そうじゃないのも、もちろんうまいんですけど。
馬石はね、逆に言うとまたさっき出た「累ヶ淵」とかいうのがうまいです。
【山下】「真景累ヶ淵」。
【三浦】あのね、すごい細いんですよ。細い。龍玉もそうなんですけどね、細くてちょっと顔が青白いんで結構怖いんですよ(笑)。
【山下】ほんとですか? 塗ってるんじゃないですか(笑)? ハロウィンじゃないですか。
【三浦】いやいや、まあそれはないんですけど。ひょろんとしてて、結構ね怪談話やると怖いんですよ。
【山下】馬石さん見たことないです。
【大野】いいですね。
【三浦】馬石。そうですね、龍玉はもっと怖い感じですね。見た目は。
【山下】これもう全部、馬生のお弟子さんなんですか?
【三浦】馬生の孫弟子です。
【山下】あ、孫弟子。
【三浦】だから雲助さんの弟子です。
【山下】あ、そっかそっか。で、雲助さんが師匠になるのか?
【三浦】馬生の弟子が雲助さんで。
【山下】で、雲助さんを師匠とするのが白酒であり、馬石……。
【三浦】白酒、馬石、龍玉。
【山下】なるほど。じゃあ雲助さんはすごく下を育てるのがうまかった。
【三浦】そうですね、うまいですね。まあ柳家もね、結構すごい派閥ですから、たくさんいい噺家は柳家もいますけど。
【山下】でも柳家でも柳家で違う流派っていうのはあるんですか?
【三浦】まあそうは言っても、やっぱり小さんの弟子たちはみんな結構すごいんじゃないですか。
【山下】ああ、なるほどね。
【三浦】もちろん、小三治もそうですし。
【山下】はいはい。そっかあ。
【三浦】ええ、小さんの弟子たち。まあ談志もそうですね。
【山下】はい。ああ、そっか。談志もそうなんですよね。談志師匠。
【三浦】ええ、柳家の小さんの一門は。
【山下】やっぱりすごいですね。
【三浦】うん、すごいんじゃないですか。もう大きな。今でも柳家は大きな一つの流派ですもんね。まあそれぞれの師匠によってみんな。まあ、さん喬もだから小さんの弟子ですからね。
【山下】なるほどなるほど。
【三浦】え、弟子ですよね? 小さんの弟子ですよね? 間違いないね? だから、そっから全部こう。まあ喬太郎はね、さん喬の弟子ですし。
【山下】そうですね。そうですよね。
【三浦】なかなか大きな一門ですよね。
そうですね、まあだからその3人っていうか、その雲助さんのところの人たちとか、まあ喬太郎さんも好きですけど。
喬太郎さんはね、なぜかこの江戸のエリアで独演会をやらないんですよ。
【山下】何でですか?
【三浦】分からないです。
【山下】横浜?
【三浦】いや。えっとね、あそこでも横浜の何でしたっけ。
【山下】にぎわい座?
【三浦】にぎわい座でも独演会はやらないので。
【山下】へえ。
【三浦】やるのは地方なんですよね。
【山下】ああ、そうなんですか。
【三浦】名古屋でやったりとか、大阪でやったりとか。
【山下】密だから?
【三浦】いや、密とか言われるもう大昔からそうなんですよ。
【山下】へえ。
【三浦】もう大昔からそうで。「そういえば喬太郎って東京で独演会ないよな」って思って気をつけて見てたら、ほんとになくて。去年だかおととしに大宮のソニックシティで独演会あったんですけど、一瞬にしてチケット売り切れましたね。
【山下】あ、人気ですよね。
【三浦】だから喬太郎は独演会をやらないから、もうやったら速攻で。まあ人気もすごいですし。
【山下】そしたらね、プロデュース側だと喬太郎の独演会東京でやったらすごく、ねえ。
【三浦】でも本人がやらないんじゃないですか?
【山下】面白いですね。
【三浦】うん、分かんない。なんか、そういう決めてるんじゃないですか? きっと。
【山下】なんかこの前ね、東京タンバリンっていう劇団があるんですけど、そこの作・演出の高井浩子さんが国立博物館にね、茶室があるんです。そこで演劇公演をする。
【三浦】ああ、上野ですか?
【山下】そう、上野の。で、そこにゲストで喬太郎さんが出る。で、一日だけそこで終わったら一席やるっていうのがあって、朝10時からネットで待ってたんですけど、10時3分に売り切れ(笑)。
【三浦・大野】あー。
【山下】もう悲しい話ですね。
【三浦】つながんなかったですか?
【山下】そう、全然つながんなかった。でもね、「高井浩子さんが喬太郎さんと何かつながりがあるんだ」と思ってですね。それくらい取れないという話なんですけれども。はい。
【三浦】去年かな? 去年、喬太郎さんの噺家生活30周年だったかな?
【山下】ええ、30年ですね。
【三浦】それで下北沢のスズナリで、たしかね10何夜連続。
【山下】独演会?
【三浦】独演会。あ、独演会じゃなくてゲストなんですよ、それも。
【山下】あ、それもゲストで呼んで。
【三浦】それも10何夜連続でゲスト呼んでやったときがあって。
【山下】それは、ほかの噺家さんをゲストで呼んでっていう?
【三浦】私が行ったときは、ほかの噺家さんでしたね。だった。あ、違うわ。
【山下】弟子? お弟子さん?
【三浦】私が行ったときは、噺家さんじゃなくて……。えっと……傘芸の人でしたね。
【山下】そういう、何。色物っていうか。
【三浦】色物ですね。
【山下】なるほどね。
【三浦】いわゆる曲芸ですね。傘の芸の人でしたね。
【山下】へえ。
【三浦】で、一日だけ誰も呼ばなかったことがあって。「あ、これ独演会じゃん」と思って。すごい嬉しかったです(笑)。
【大野】逆に。
【三浦】「はからずも喬太郎さんの独演会、あ、聴けたなここで」って。
【山下】いいですね。
【三浦】そのとき圓朝の話、してました。
【山下】あ、そうですか。
【三浦】ええ、題名忘れてしまいました(笑)。たぶん、どこかにメモしてあるんで。
【山下】「死神」とかじゃない?
【三浦】あ、もっと長い話でした。
【山下】長い話でした? へえ。
【三浦】もっと長い。長講でした。
【山下】でもあれですね、圓朝さんは夏に圓朝まつり(※1)の頃に圓朝の特集やりたいですね。
【三浦】ああ、そうですね。意外とね、落語協会のやっている圓朝祭(※1)ってあるんですけど、あれ顔付けだけみんないろんな人出るけど、実は内容はあんまり面白くないんで。
【山下】あ、そうなんですか。
【三浦】ええ、行ったことないですけど。もう出てくるメンバーと、やる話見てるだけで「あ、これ行かなくていいな」って、いつも思っちゃって(笑)。
【山下】えー。じゃあ、このポッドキャストでオリジナルの圓朝の話を。
【三浦】真夏は、8月は谷中の全生庵。
【山下】あ、そう。全生庵だ。そう、そうだ。
【三浦】圓朝さんのお墓がある。
【山下】らしいですね。
【三浦】(圓朝さんのお墓がある)ところに行ったほうがいいですよ。そうすると、全生庵でコレクションしてる幽霊画が見られますから。
【山下】じゃあ、全生庵のお墓の前で録音しますか。
【三浦・大野】ははは(笑)。
【山下】ね? もう3人で行って。
【三浦】全生庵がOKしてくれたら。
【山下】圓朝が「ええかげんにせい!」って怒るかもしれないけどね、ほんとに。「お前らうるさいわ!」みたいなね。
【三浦】ばち当たるかもしれないですよ。
【山下】そう。「落語の霊に取りつかれましたね」みたいな感じで。
【三浦】ちゃんとした話をしないと、きっと何か起こりますよ。
【山下】そうですよね。
【三浦】ドブに落ちるとか(笑)。
【山下】『圓朝全集』を読破してから行かないとダメかな?
【三浦】まあでもほんと、全生庵は静かないいお寺ですね。
【山下】そうなんですか。へえ。
【三浦】あ、そうそう、思い出した。全生庵もね、たまに落語会やってます。
【山下】そこの何? お寺の境内で?
【三浦】いや、なんかみんなが集まるような、集会するような板の間があって。そこでやったりしてますね。
【山下】ああ、そうなんですね。
【三浦】たまにですけど。
【山下】谷中はね、江戸っぽいとこやもんな、ほんまに。
【三浦】ええ。だから全生庵行ってその幽霊画。まあ要は年にいっぺん出して、虫干しするわけですね。
【山下】あ、幽霊の絵ね。あの足がないというやつのね。
【三浦】そうですそうです。
【山下】足がないのは、あの幽霊画があったから幽霊は足がないってなったって聞いたことがありますね。
【三浦】まあ円山応拳が最初に描いたって説もありますけど。まあそれは定かじゃないですけど。
【山下】僕ら、幽霊は足がないっていうのが普通になってるじゃないですか。
【大野】ですね。
【三浦】絵師さんがそういう絵を描いたから。
【山下】みたいですね。
【三浦】日本の幽霊、足ないのはそっから始まってるみたいですよ。
【山下】そう。そういえば海外は幽霊、足ありますもんね、普通に。
【大野】ですね。
【山下】たしかに。
【大野】ないの日本だけかもしれないですよね。
【山下】そうなんですよね。おもろいね、ほんまに。ねえ。へえ。
【三浦】そう。だから圓朝の話を。圓朝もね、長い話ほかにもたくさんあって。昔、ずいぶん前にやっぱり志の輔さんが国立劇場の大劇場で。
【山下】大劇場の方ですか!
【三浦】大劇場で。まああそこ満員じゃないんですけど。
【山下】めちゃめちゃ入るじゃないですか、何千人も。
【三浦】そこでやっぱり圓朝の話をしたんですけど。何でしたっけ? 昔、はやってた海外ドラマ。『ツイン・ピークス』じゃなくて、なんかもう一個くらいありましたっけ。
【山下】どんな?
【三浦】いや、分かんない。
【山下】ちょっとミステリーものとか。
【大野】『X -ファイル(エックスファイル)』とか?
【山下】『X -ファイル』?
【三浦】あれ、『ツイン・ピークス』かな?
【山下】『ツイン・ピークス』?
【三浦】ちょっと思い出せないですけど、志の輔が「この話って、『ツイン・ピークス』みたいな話なんだけど、でも全然面白くないんだよね」って言いながら、すごく長々とやってました。映像見せながらやってたんですよ。
【山下】へえ。
【三浦】結構、まあ別にそんな退屈はしなかったですけどね。まあちょっとそれが圓朝の話になったので余談ですけど。
えっと、噺家さんですよね。
【山下】噺家さん、噺家さん。噺家さんの話。
【三浦】噺家さん。だからたくさんいるんですけれど、見にいこう聴きにいこうと思うのは、まあその雲助さん一門の人たちとか喬太郎さんとか。まああと春風亭一之輔?
【山下】あ、一之輔さんね。
【三浦】ええ。それから、柳家三三はよく行ってましたね、昔。
【山下】ああ、三三はね、今も東京でよくやってますよね、独演会。
【三浦】柳家三三は。三三はね、ほんとよく行ってました。「月例三三」っていうの、もう3、4年前までは、3、4年間毎月行ってましたね。
【山下・大野】おおー。
【山下】あれですか? イイノホールか何かでやってる。
【三浦】イイノホールです。
【山下】今もイイノホールでやってるんですか?
【三浦】今もイイノホールですね。
【山下】イイノホールね、もう新しくなって。昔からイイノホールはね、寄席のなんかわりと。
【三浦】そう。「落語界のメッカ」と呼ばれていて。
【山下】ねえ。あれ不思議ですよね、なんか。
【三浦】三三はね、ほんとうまいですよ。
【山下】テレビにもよく出てるけどね。
【三浦】あ、出てますか?
【山下】うん。NHKでときどき三三がね、落語のアテブリをするやつが。ドラマみたいなんですけどね。ああいうのに出てて。
(※NHK 超入門 落語 THE MOVIE)
【三浦】そうですね。
【山下】そう、三三さん出てる。
【三浦】一之輔も結構テレビ出てますよね。
【山下】そうそう、一之輔のほうが出てるね。
【三浦】一之輔もうまいですよ。
【大野】一之輔さん。
【三浦】すごい面白いです。一之輔も。
【山下】一之輔さんもね、ちょっと髪の毛短い。
【三浦】一之輔も取れないですね。
【山下】あ、取れないんですか。
【大野】取れないんだあ。
【山下】もう誰も取れないね、もはや。
【三浦】一之輔さんは、ふと気づいたときに半蔵門の国立演芸場で「真一文字の会」っていうのをずっとやっていて。「真一文字の会」っていうのは、たぶん二ツ目時代からやってたのかな? 自分の会。
【山下】一之輔の「一」からきてるんですか? 真一文字って。
【三浦】いや、分かんないです。そうかもしれないですね。
「真一文字の会」ってやってて。それの会に気がついたときに「あ、これ面白そうだな」と思って取ろうとするんですけど、発売日が分からないんですよ。
【山下】何でですか?
【三浦】明らかにしないんですよ。
【山下】へえ。すごいですね、それ。
【三浦】で、ふとネット上に出たときに発見して取らないと、国立演芸場狭いんで。そうやって出さないと大騒ぎになるんで。
【山下】プレミアなことが。すごいですね。
【大野】大変ですね。
【三浦】で、もちろん個人で主催してるような会なので。あ、一之輔さんじゃなくて。
【山下】一人の人が? プロデューサーの人?
【三浦】ある事務所の人が。その人すごいね、何て言ったらいいかな。いい人で。真面目ないい人で。
【山下】なんか昔、聞いたことあるな、三浦さんに。その人変わってて、手紙とかでネットとかあんまり使わないんでしょ?
【三浦】あ、いや。
【山下】それはまた違うの?
【三浦】メールは使いますね。
【山下】あ、メールは使うんだ。
【三浦】メールは使いますね。だから、メールなんですよ、全部。
【山下】SNSとかは使わないってことか。
【三浦】SNSはあんまり出てないかもしれないですね。私の知ってる限りは。
もう明かしちゃいますと、オフィスエムズっていうところがあって、落語の会
すごくたくさんやってるところで。
【山下】なんか話、聞いたことあります。
【三浦】オフィスエムズの「ミックス寄席」ってところ検索すると、毎月落語会を催してて、そこに「真一文字の会」っていうのが出てて。で、発売日未定って書いてあるんですけども。
【大野】いつか分かんない。
【山下】なるほど。いつまで経ってもそうなってるっていう?
【三浦】いや。で、ふと見ると売り切れになってるんですよ。
【山下】それあかんやんか、もう。
【三浦】「あー、しまった!」って。
【山下】幽霊やんか、もう取るの。
【三浦】みんなでももうそれ知ってるんですよ、お客さんは。
【山下】あ、知ってるんだ。
【三浦】ちゃんと知ってて。
【山下】じゃあ、コアなお客さんはちゃんとゲットしてるわけですね。
【三浦】だから毎日見てるんですよ、毎日。毎日。
【大野】そんな張りついてるんですね。
【山下】そんなんでけへんなあ。ほんまに。
【三浦】毎日、だから朝の8時半くらいに検索。「あ、今日出てないや」。
【山下】すごいですねえ、ほんと。
【大野】大変ですね。
【三浦】朝の8時半くらいに見ると、「今日8時50分から発売」とか書いてあるんですよ。
【山下・大野】ははは(笑)。
【山下】そんな、時間なかったら買われへんやん、絶対。
【三浦】そうなんですよ。僕でもそれで何回か取りましたよ。
【山下・大野】すごいですねえ。
【三浦】執念で。
【山下】すごい。
【三浦】でもやっぱりそれもコロナでできなくなっちゃって。
【山下】ああ、そうですよね。
【三浦】延期になるんですけど。
【山下】延期にはするんだ。
【三浦】延期になったんですけど、半分にしなきゃいけないから、もう一回申し込まなきゃいけないんですよ。で、結局そのもう一回の申し込みに遅れて、払い戻しになっちゃいました(笑)。残念ながら。
【山下】最悪のパターンですね。
【三浦】いや、でも払い戻しはしてくれるんで。
【山下】まあ、そりゃそうですよね(笑)。
【大野】残念でしたね(笑)。
【山下】オリンピックも今、払い戻しの案内メール来てるけど。ねえ。オリンピックもどうするんやろ、ほんまに。
【三浦】まあ話戻すと、一之輔さんもどんな話やっても面白いですよね。「落語ディーパー!」って、NHKでやっぱり。
【山下】東出昌大さんが出てるね。
【三浦】(東出さんっていう)人が出てる番組で。そこに二ツ目のゲストが何人いたっけ? 3人?
【山下】ね、結構あれ出てた二ツ目の人、面白かった。柳亭小痴楽とかなんかおもろいなと思って。
【三浦】そうそう。小痴楽は最近、真打ちになりましたね。
【山下】あ、なったんだ。あの人、面白いですよね、なんか。
【三浦】伯山先生とほぼ一緒か。あ、伯山先生よりも前かな? なったのかな?
【山下】へえ。小痴楽のお師匠さんは誰なんですか?
【三浦】えっと。だから、お父さんの痴楽じゃないですか?
【山下】ああ。お父さんなんや。
【三浦】だと思いますけど。
【山下】息子なんや。
【三浦】あのね、だから「落語ディーパー!」では、三派から集めてるんですよ。芸術協会から小痴楽で。
【山下】あれ、芸術協会ともう一個の。
【三浦】もう一個、落語協会から、わさび。柳家わさびが来てて、あと立川流。吉笑って。
【山下】あ、なんかいらっしゃいましたね。
【三浦】ええ、吉笑。吉笑ってなかなかでもいいですよ。ちょっと知的な感じで。誰だっけな。談笑の弟子かな?
【山下】へえ。談笑も面白いですよね。
【三浦】談笑は……。
【山下】創作落語?
【三浦】オリジナルの古典を狂ったような解釈して。その解釈が面白いんですよ。過激な。
【山下】過激な。
【大野】すごいですね。
【山下】ほんとに。ものすごいです。
【三浦】だから、「何とか時そば」とか言いますよね。何とかが頭につくって。わー、ちょっとごめんなさい。あんまり聴いてないんで。
【山下】一回見るとね、忘れられないんですよ。インパクト強すぎて。「談笑って、何やこのおっさんは!」と思って。
【三浦】昔ね、ワイドショーのレポーターやってたんですよ。
【山下・大野】あ、そうなんですか。
【三浦】小田桐さんっていって。その前、塾の先生ですからね。
【大野】いろいろ経てますね。
【山下】みんな前職いろいろありますよね。さっきの喬太郎も銀座の福家書店の。
【三浦】うん。福家書店の店員ですからね。
【三浦・山下】本屋さんの。
【山下】(本屋さんで)働いてはったんですよ。ねえ。福家書店。いまだに芸能系の本がたくさん置いてあるけど。
【三浦】でも、銀座の福家書店なくなっちゃいましたよね。
【山下】なくなっちゃったんですか!
【三浦】ないです。ないです。
【山下】そうか。やっぱりAmazonにやられるんだなあ。ほんとに本屋さんは。
【三浦】私たぶん、どうだろうなあ。銀座の福家書店の近くにオフィスがある会社だったんで、もしかしたらすれ違っていたかも。
【山下】喬太郎さんと。
【三浦】ええ。でも芸歴30年だからなあ。ちょっと違うかな。どうだろう。
【山下】福家書店から買ってたんですか? 本?
【三浦】結構、買ってましたよ。会社から一番近い本屋だったんで。
【山下】そうですよね、ほんとに。
【三浦】よく買いに行ってました。
【山下】銀座6丁目と8丁目やからね。ほんと100メートルくらい。
【大野】近いですね。
【三浦】もう今、様変わりしちゃって。
【山下】今、だから二番工房あったところは銀座シックス(※2)になってるんですよ。
【三浦】そうですよね。
【山下】あそこが二番工房。
【大野】すっかり今と。じゃあ跡地がもうすっかり記憶になくなってしまいましたけど。
【山下】で、僕もね、ひょんなことから二番工房に呼ばれて、転職、東北新社グループになったの。
【大野】あ、そうなんですか。
【山下】それで、最初私も二番工房に行くはずで、神田さんと山村さんに「お前いつから来んの」って言われて。そんで「いつでも行きます」って言ってね。「1月からじゃあ行きます」言うて。そしたら僕、たぶん三浦さんの部下になってた(笑)。
【大野】おお、そうなんですね。
【三浦】今、全然知らん個人名出ましたが、これ私の前の上司ですね(笑)。
【山下】そうです。ええ、はい。社内番組らしいトークでした。すみません。全然落語と関係なくて。
【三浦】噺家とは関係ないっていう。
【山下】そう、噺家っぽい人ばっかりだったけどね。
【大野】キャラクターが強いっていう意味なんでしょうかね。
【三浦】そう。話に出てきそうなキャラの人たちですね。
【山下】そう、むちゃくちゃ出てくる。もう個性的すぎる。
【三浦】そういう人たちの集まりでしたね。
【山下】そう。まあそういう意味では、三浦さんは二番工房でもわりとね、知的エンタメ系。
【三浦】いやいや、そんなことないですけど。
【山下】で、私は「三浦師匠」と勝手に呼ばせてもらってますけど。
【三浦】噺家の話がまあたぶん尽きずに出てくるんですけど、どうしましょう。噺家はもうね、三三、一之輔も。えっとね、三三と一之輔は、ほんとオススメします。
【山下】それは絶対、生で見たほうがいいってことですよね? たぶん。
【三浦】うーんとね。
【山下】そうでもない?
【三浦】一回は実演聴くといいです。
【山下】そうそう。実演はやっぱり絶対経験したほうがいいと思うな。僕は。
【大野】はい。そうですね。
【山下】生で見るのは違いますよ。
【大野】たぶん三三さんから。
【三浦】三三はね、一之輔ほどじゃないです。取れなさ加減は。
【大野】まだ行けますか?
【三浦】いわゆるチケットサイトに登録なりしておいて。
【山下】あ、そうそう。好きな噺家登録しておくとメール来るから。
【三浦】それで、朝の10時売り出しで、10時に行けば三三は取れます。
【山下】だから、そのときは11時出社にすればいいんですよ。ね?
【大野】ふふふ(笑)。
【三浦】あとね、一之輔は今、11月かな? にやる「一之輔の三夜(※3)」っていうのがあるんですけれど、たしか。もう終わっちゃったかな? それの独演会じゃないほうはまだ売ってますね。
【大野】あ、そうなんですか。
【三浦】ええ、ゲスト呼ぶほうは。
【山下】そっか、独演会はゲスト呼ぶほうが。
【山下・大野】取りやすい。
【三浦】一之輔の場合はやっぱり、もう独演会見たいって人が多いから。
【山下】やっぱり面白いですもんね、独演会もね。また大野さんもね、今度。
あ、そういえば今度、来週か再来週行くんですよね? 先回ゲストで来てた神田伊織さんのお師匠さんの神田香織さん。
【三浦】ああ、よさそうな会ですよね。まあ良さそうな会っていうか、だから東京大空襲のことを忘れないように。
【山下】東京大空襲。
【三浦】とてもとても大切な。
【山下】3月かな? 東京大空襲ってね。
【三浦】3月の10日じゃないですかね。
【山下】10日ですかね。3月の上旬ですよね。一面が焼け野原になったってね、本当に。
【三浦】今日はちょっとあんまり講談の話しませんけど。
【山下】いえいえ、ちょっとだけ脱線しましょう。
【三浦】『伝統話芸・講談のすべて』って、こんな本を今読んでるんですけど。
【山下】いいね、深川図書館。落語っぽいね、講談っぽいね。
【三浦】別に単に講談好きの人がいろんな講談師のエピソードを書いてるだけなんですけど。
【山下】昔の講談師の?
【三浦】そうですそうです。
【山下】へえ、面白そう。
【三浦】やっぱり東京大空襲で亡くなった講談師とかいますね。
【山下】ああ、そうなんですか。じゃあ香織さん、そういう話されるかもしれないですね。
【大野】いや、そうですね。
【山下】あとはなんかここにあった面白かったエピソードないんですか?
【三浦】そうですね。面白いのは、昭和の講談師で松林伯圓っていう人がいて。松林伯圓、松に林、長谷川等伯の松林図屏風の松林ですね。なぜそんなこと言うのか自分でも分かりませんが(笑)。
【山下】検索してください。
【三浦】今ちなみに長谷川等伯の松林図屏風は東京国立博物館で公開中です。
【山下】絶賛公開中?
【三浦】これはね、やっぱり何度見てもすごいですね。
【山下】すばらしい。
【三浦】必ずね、正月明けにはやるんですけど。今回、全然展覧会やってなかったじゃないですか。
【山下】ああ、そうですよね。
【三浦】だからもう気合入ってますよ、東京国立博物館。「桃山の何とか(※4)」っていう展覧会で、ものすごい展示ですよ。そこで松林図屏風も展示してあって。
【山下】今あれですか? 予約して見にいくんですか? そのままもう入れる?
【三浦】その展覧会は予約したほうがいいですけど、行っても入れます。当日でも。
【山下】そうなんですね。なんかね、いろいろといっぱい入りすぎちゃうと大変だから。
【三浦】で、もといで松林伯圓っていう人がいて、伯はあの伯山の伯で、圓は圓生さんの圓ですね。くにがまえに員って書く。その人の話で面白かったのは、その人って「鼠小僧次郎吉」とか、泥棒の話がわりと得意で、泥棒話よくやっていたんですって。
で、泥棒話を……。
【山下】講談の「泥棒話」ですか?
【三浦】まあ次郎吉ですよね。まあたとえば次郎吉だとして、次郎吉の話あれ義賊じゃないですか。
【山下】義賊って何ですか?
【三浦】義賊って要は、泥棒したものを貧しい人に分けあたえる。義賊って義理の義。
【山下】あ、なるほどなるほど。
【三浦】義賊じゃないですか。
【山下】そっか、悪い泥棒とちゃうねんな。
【三浦】その伯圓さんの泥棒の話を聴いた人が泥棒をしたんですって。
【山下】何? どういう意味?
【三浦】話に影響を受けて。
【大野】その気になっちゃったみたいな?
【三浦】泥棒したんですって。
【山下】泥棒講座みたいになってる。
【三浦】泥棒して要は警察に捕まって、刑事が「おまえ何で泥棒なんかすんだ」って言ったら「いやいや、実はこれこれこういう講談会があって、それ聴いてたら自分でも泥棒がやりたくなってやりました」って言ったんですよ。
【山下】もうすごい説得力のある。
【三浦】そしたら今度その刑事が伯圓さん呼んで「こら、何で泥棒の話なんかするんだ。もっと勧善懲悪のいい話しろ」って言ったら、伯圓さんは「いや、私はそんな話をしたつもりはありません。泥棒はやっぱり最後には必ず勧善懲悪で罰せられるんです」って言って、で「泥棒の話は私はやめられません」と。
「最後まで聴けば、やっぱり泥棒は悪いことだと、勧善懲悪になるんです」って言ったら、今度刑事がその泥棒呼び出して、何て言ったと思います? 「何でおまえは千秋楽まで聴かなかったんだ」って言ったっていう。
【山下】ははは(笑)。面白すぎる。おもろいやないですか。もうそれで話になってるやないですか。
【大野】できてますねえ。
【山下】これほんまの話ですか? これ。
【三浦】ほんとらしいですよ。
【山下】ここに書いてありますね。「泥棒伯圓と刑事さん」ってやつね。
【三浦】そうですそうです。
【山下】これの話ですね。講座漫談集の中に入ってるやないか。ほんまにすごいなあ。
【三浦】作り話かもしれないですけど。
【山下】これ、持ってるかもしれないですね、ほんとにね。はい。
【三浦】まあこういう話があるともうね、講談とか落語をやめられなくなるっていう。
【山下】やめられないですね。
ということで、ですね、ちょっと噺家さんの話また今度お聞きしていきたいと思いますけど。上方の噺家さんもこの前ね、吉坊は上方の噺家さんで、その辺の話もね、また次回三浦さんに聞いていきたいと思いますけど。ちょっと一回ですね、ここで一回ちょっとはずします。
(起こし終わり)
※1:「谷中圓朝まつり」。
※2:「GINZA SIX(ギンザ シックス)」
※3:「一之輔の三昼夜」
※4:「桃山―天下人の100年」
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文字起し ブラインドライター 担当:田中 あや
今回もブラインドライターズにご依頼いただきありがとうございます。
私はテレビでお見かけする噺家さん以外の方や、落語というものにふれる機会が少ない環境で過ごしておりましたので、今回のトーク内容をとても興味深く拝聴しました。
また、噺家さんのお名前や落語にまつわる言葉も耳新しいものが多く、調べながらの文字起こしはとても楽しい時間となりました。特に、最後にお話しされていた「泥棒伯圓と刑事さん」は、文字に起こしながら思わず笑ってしまうほどでした!
終始、落語に魅力を感じるお話でしたので、落語に限らず、またいろいろなお話を聴ける日を楽しみにしております。
テキスト起こし@ブラインドライターズ
(http://blindwriters.co.jp/)
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