自閉症児へのアプローチ、DIRフロアタイムとはなんですか?(前編)
自閉症児の療法であるDIRフロアタイムが、ABA以外の選択肢としてアメリカで関心が高まりつつある話を書きました。しかし日本語での情報がほぼないこともあり、日本ではほとんど知られていないのが現状だと思います。
ではこのDIRフロアタイムとは、一体どんなアプローチなのでしょうか。フロアタイムを取り入れる特別支援学校勤務の私が、横道に逸れないようにICDLの公式サイトを引用しながら説明してみます!
ちなみにICDLとはThe International Coucil on Development and Learning という非営利の組織のことで、DIRフロアタイムの推進や専門的なトレーニングプログラムを提供したり、研究やコミュニティーのサポート、リソースの提供などをしています。詳しくはこちらより。
それではまず「DIRフロアタイム」にある「DIR」とは何のことで、どんな意味があるのでしょうか。
日本語に訳すと:
↓↓↓↓↓
DIRとは発達(Development)、個人の違い(Individual-differences)、関係性(Relationship)をベースとしたモデルです(頭文字を取ってディー・アイ・アールと発音します)。DIRは人間の発達と学習を理解するための基本的な枠組みを提供し、各個人が世界をどのように異なって認識し、相互作用するかを説明します。これは出生から生涯にわたる人間の発達全体において、社会的・感情的発達が果たす重要な役割を概説しています。
↑↑↑↑↑(翻訳終わり)
つまり「人間がどう発達してどう学習するのかを理解するための枠組み」であり、それは発達(Development)、個人の違い(Individual-differences)、そして関係性(Relationship)がベースになっている、と。
そして続きます。
↓↓↓↓↓
このモデルは、関係性と感情的なつながりが発達を促進する力を強調しています。「D」(発達プロセス)と「I」(個人の個別差)の深い理解を通じて、私たちは「R」(人間関係)を利用して健全な発達を促進し、すべての人がそれぞれの最大限の可能性を引き出すのを助けることができます。
↑↑↑↑↑(翻訳終わり)
私がDIR理論ですごいなと思ったのはこの「人間関係」の重要さに一目置いているところです。世の中の多くの教育理論で見逃されている点ではないかと思います。私たち人間は、ポジティブな人間関係が持つ子供の発達における影響力を忘れがちです。
例えばですが、大キライな先生の話を「なるほど分かりました!」って喜んで聞くことってあまりないですよね。私の場合は右耳から入って左耳でスポッと抜けました。というか右耳に入ってすらいない。
まさにその点を突いた感動的なスピーチ。40年の教師キャリアを持つリタ・ピアーソンさんのTED Talk。これは何度見ても私はウルウルします。毎回です。毎回。日本語のサブタイトルも付けられるのでぜひ見て下さい。
(右下の設定/setting→サブタイトル/subtitle→日本語/Japanese、そしてクローズドキャプション/CCをオンにして下さい)注>キャプションと実際のスピーチに多少のタイミングのズレがありますが、意味は通じます!
リタさんのスピーチを聞いていただくとさらに理解してもらえると思います。子供の発達が促される時、そして学びが起こる時、相手とのポジティブな関係性が本当に重要なんだなと。
ちょっと横道に逸れましたが、DIRに戻ります。
気づいた方もいると思うのですが、このDIRを理解することは障害のあるなしに限らず全ての子供たちの発達の促しに役立ちます。が、特に自閉症スペクトラムにある子どもたちや、脳神経の発達に課題を持つ子どもたちのサポートに有力ということです。
後日また詳しく書こうと思いますが、このDIRのフレームワークはアメリカの児童精神科医スタンレー・グリーンスパン博士によるものです。彼は2010年に亡くなられていますが、自閉症や発達障害に関する多くの著書を残しています。日本語に翻訳されているものもあるので是非参考にしてみて下さい。
少し長くなりましたが、なんとまだ「DIRフロアタイム」の「DIR」しか説明できていません。しかも伝えたい内容のほんの一部です。書きたいことはエンドレスに続きますが、画面の向こうで皆さんに寝られる大変困るのでこの辺でシャキッと切り上げます。
後半はこちらよりどうぞ!