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エンタープライズ営業は“陽キャ”じゃなくていい。杉本浩一がこれまでの経験から語る、成果の出る営業とは

「私の未達時代」では営業の第一線で活躍するトップセールスを訪ね、彼らの考える営業の極意を語っていただいている。今回は大企業向け法人営業(以下、エンタープライズ営業)として、様々な大手企業と新規事業を生み出してきた経験を持つ杉本浩一さんを取材。前半では主に自身の苦労やそこからどう乗り越えてきたのかなど、彼が経験してきた「エンタープライズ営業とは」に迫った。

後半では、欠かさず行う習慣や明日から役立つ営業Tipsを紹介。彼の戦術から、成果の出る営業になるためのポイントとは何か、ぜひ抑えていってほしい。

1日の商談数は3件まで。余裕を持ったスケジュールの設定

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——1日のスケジュールについて教えてください。

朝は9時に起きて、午前中は作業系のタスク、午後から夕方にかけて商談や会議をしています。昼休みや夕方から夜にかけて、副業の定例MTGや商談が入っていることもあります。

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作業系のタスクと商談、それぞれ半々の割合で時間を使っています。ですが、商談をできるだけ早く、上手に進めるため、可能な限り顧客とコンタクトをとる時間を増やすようにしていますね。

——1日のなかでの習慣などあれば教えてください!

毎朝起きてからすぐは、その日やると決めたタスクを全て書き出すようにしています。本業と副業を両立するために、1日ごとに自分のなかでタスクを整理する必要があるんです。

また夜寝る前はリラックスできる時間を確保。そこで「明日のこの商談では、このタイミングでこの話をしよう」など、次の日の商談を想像しながらシミュレーションをして、考えたことはメモに残して備えるようにしています。

——営業として大事にしていることなどはありますか?

そうですね。スケジュールに余裕を持たせることと、定期的にリフレッシュする時間を確保することを大事にしています。例えば1日の商談数を入れても3件。商談前の準備や終わった後の整理の時間は十分にとっています。

テレワークになり、1時間ごとに商談を入れられるようになりましたが、それをこなしていると、どんどん自分が疲弊してしまう。自分が常に健やかに仕事ができるよう、ランチ時間を多く見積もるなどして、精神を整える時間をあえて作っています。

また1日のなかで作業場所も意識的に変えていて。基本的には、ミーティングや商談の際は家、その他の時間はカフェに行って作業するようにしています。環境を変えることで、気分も変わりますし、その分効率よく仕事ができる気がするんですよ。

エンタープライズ営業で成果を出すための3つのポイント

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——成果の出る営業になるために必要なことを教えてください。

エンタープライズ営業の観点からいうと、大きく3つあると思っています。

まずは、腹を割って話せるのかどうかです。これまで何度か転職を繰り返し、多くの営業を見てきましたが、優秀な提案をしても腹を割って話せず、結果苦労している方々を何人も見ましたね。お客様と深い信頼を築くためには、どうしても自分の内をさらけ出すことが必要です。

次に、お客様に向けて、商品に共感してもらえるような工夫ができるかどうか。例えば、「この商品がいいですよ」ではなく、「この商品を使うとこんな未来が実現できます」と紹介する。つまり、お客様には中長期的なビジョンを提示して、そのビジョンに共感してもらうといった流れで購入してもらえるようにしています。

最後に、どれだけお客様の視点に立って物事を考えられるか。提案は何回でも説明して、伝えることが大事。一度言ったことでお客様が全て理解したとは限りませんから。イメージは自分の提案内容が全く分からない、小中学生に向けて説明するように。本当の意味で、理解してもらうために、何度も根気よく説明していくことが大事です。

——腹を割って話せるくらいの関係構築は難しそうですね。これまでで何か具体的にやってきたことなどはございますか?

お客様の情報を可能な限り集めること、集めた情報は必ず記録することを徹底していました。お客様の家族関係からゴルフやスキーなど趣味嗜好までも、全てエクセルで管理をしていたこともありました。

これはかなり昔なので、今では各自使っている管理ツールがあると思います。私は今では個人的にEvernoteのくせがついていて、出来るならチーム管理にしてもよいですが、私だから打ち明けてくれただろうな、という話もあるので現状はしていないです。

また大手食品会社を開拓する際には、それらの情報を元に工場の見学会に潜りこみ、現場の人たちとのコネクションを作れるよう試行錯誤していました。

——お客様の家族情報や趣味までも記録するんですね。

はい。でもお客様との関係構築で一番大切なのは、私自身の情報で、誰かに話してもらいたくなるようなネタを、とにかく提供することかなと思っています。

例えば昔「杉本通信」というメルマガでお役立ち情報を配信していました。その時は自分が気になったニュースや会社の研究技術の成果、事例紹介などを勝手にまとめて、週の初めに送っていました。そうすることで「この人は非常に熱心な人だな」という印象を持っていただけるんです。最近ではメルマガの代わりにTwitterで発信しています。

ー「#ザ 法人営業」のTwitter発信も、お客様との関係構築につながると。

その通りです。Twitterでは、営業や仕事での話題だけではなく、料理や結婚、妊娠などプライベートの発信も心がけています。そのように多方面の発信を続けていくと、何か話があった際に思い出してもらいやすくなるんです。

お客様が会議のドアを出たその瞬間、一番に自分の存在を思い浮かべてもらい、電話をかけてもらえれば勝ちです。「よし、この件であれば杉本さんにお願いしよう」と。

必ずしも“陽キャ”じゃなくていい。自分のタイプに合った環境の選択を

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——エンタープライズ営業に向いているタイプはどんな方でしょうか?

エンタープライズ営業で成果を出すには、上記3つを継続しないといけません。つまり営業としては長距離型が向いているんではないかなと思います。

商談のプレゼンが上手、瞬時にきらめいたアイデアが出せるよりも、着実に提案を重ねられる営業。最後までの全体で見て「あなたの提案はいいですね」と言ってもらえることを目指せる人が向いていますね。

これまで見てきたなかでも、快活で意気揚々としていて優秀な方というよりは、人見知りでもどこかに専門的な知識がある方や、「この業界、お客様を変えていきたい」という熱量がある真面目な方。そのような方々がエンタープライズ営業では活躍しているように思います。

——営業に苦手意識を持っている方も勇気が出る話ですね。

そうなんです。私もそもそも昔は営業が嫌いでしたし、小さい頃からコミュニケーションもどちらかというと苦手なタイプでした。

しかしエンタープライズ営業は必ずしも“陽キャ”じゃなくていい。私のようなタイプでも着々と物事に真摯に向き合えれば、活躍できる場があります。

もし今「自分は営業に向いていないのではないか」と思っている方がいらっしゃれば、業界ややり方によっては向いている場所があるかもしれません。それぞれが自分に合った環境を見つけられるといいですね。

ライター:フジカワハルカ


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