面倒くさいことだけやっていれば上手くいく。今井晶也の実践する時間管理術
「私の未達時代」では営業の第一線で活躍するトップセールスを訪ね、彼らの考える営業の極意を語っていただいている。今回は株式会社セレブリックスの今井晶也さんのもとへ突撃。前半では役者を目指していた過去からなぜ営業の道に進むことになったのか、これまでの失敗談や売れなかった経験など語っていただいた。
後半では今井さんの営業時間の使い方やタスク管理の仕方などより具体的な戦術を探っていく。
商談獲得とシナリオ設計の時間を確保する
——プレイヤーとして営業していた時代の時間配分を教えてください。
商談獲得に20%、商談対応20%、提案準備13%、商談獲得のためのシナリオ設計13%、営業談義(飲み会)13%、商談に6%、商談獲得リストの制作6%、(戦略作り)情報収集6%、商談活動分析3%でした。
大切にしていたのは飲み会に参加することです。なぜなら同僚や上司と対話することによって、自分の視座が上がるから。「上司の自慢話は聞きたくない」という方がよくいらっしゃるのですがもったいないと思います。僕は上司の武勇伝は何度でも聞きたいし、質問したい。
——1日で一番時間を使っていたことは何でしたか?
使っていたというより、減らさないと決めていたのは、商談獲得(テレアポ)と商談獲得のためのシナリオ設計の時間。これらは1日のスケジュールの中で必ず時間を設定し、やるようにしていました。目の前の仕事が忙しくなるとつい後回しにしてしまいますが、面倒くさいことをやらなければ上手くいかないと思っています。
——なぜそれらの時間を確保していたのでしょうか?
前提として僕は何でもロジックで考えて、効率化出来る部分は全て効率化する人間なんです。その上で効率化で通用しないことが2つあって、それが商談獲得とシナリオ設計。これらは量をこなさなければならないので、意識的に時間を作っていました。
例えばシナリオ設計では「今後どこの企業からニーズが発生しそうか」を調べて、業界全体の研究をしていました。自分で仮説を持って企業一つひとつにアプローチしていく。いわば「仮説を潰す作業」を行っていました。これによって鮮度の高いリストを維持することができていましたね。
——どちらかではダメなのですね。
そうですね。シナリオ設計をせずに商談獲得のみに注力すると、精度が下がりアポイントが取れなくなる可能性があります。その結果、負のスパイラルに入ってしまう。逆にシナリオ設計だけに時間を使うと、顧客獲得の時間が取れません。これら二つの量を両立することが大切です。
——他に大事にしていたことはございますか。
お客様の情報を聞いたら必ず記録・更新していました。営業リストはお寿司と一緒で、鮮度が命ですから。
また「面倒くさいことだけやっていれば上手くいく」という言葉を大事にしています。面倒くさいことは大抵大事なことが多いですよ。
タスク管理は「緊急度と重要度のマトリクス」を使う
——他に意識していたことはございますか?
タスクは、緊急度と重要度を四象限に分けて考える「緊急度と重要度のマトリクス」に沿って、管理していました。
(A)需要度が高く、緊急度も高いタスク
(B)重要度が高いが、緊急度が低いタスク
(C)緊急度が高いが、重要度が低いタスク
(D)重要度も緊急度も低いタスク
大切なのは「緊急度が高いが、重要度が低い仕事」を残さないようにすることです。上司から振られたちょっとしたタスクをいかに早く消化できるかが肝心です。
——有効なスキマ時間の使い方はございますか?
移動時間は、読書やお客様のビジネスの勉強、また言葉や商売に関する勉強をしていました。この時間で「緊急度が高くて優先度が低いタスク」や「緊急度が低くて優先度が高いタスク」を片付けていたんです。
——休日はどのように過ごしていたのでしょうか。
当時はよくお客様の工場見学をしていましたね。工場ばかり調べていたので、工場オタクになりました(笑)。
また平日に決めたことをやり切っている分、休日は何も予定を決めず1日を過ごすこともあります。群馬出身で昔から温泉が身近にある環境なので、今でも休みの日は銭湯やサウナに入り心を整えています。
——明日から真似できるものがあればぜひ教えてください。
営業は商談中に論理的に対話し、見解を示す必要があります。しかし関係性ができていない方と会話を通して、頭の中を整理していくのは簡単なことではありません。そのため日頃から論理的思考を鍛えることが大事です。
まず勉強した方がいいのは、物事を構造的に捉えたり、分解して考えたりするためのフレームワーク「ピラミッドストラクチャー」や「ロジックツリー」です。また私は論理的思考を養うために、数あるロジカルシンキングの本がある中『世界一やさしい問題解決の授業』を擦り切れるまで読みました。
身につくとお客様の課題に対してクリティカルに提案できるようになります。ぜひ参考にしてみてください。
ライター:フジカワハルカ