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【読書記録10】夏休みの空欄探し

旅と読書をこよなく愛するBrain Library七瀬 透です。

似鳥 鶏「夏休みの空欄探し」

今回紹介するのは、似鳥 鶏さんの「夏休みの空欄探し」です。

謎解きの先に待ち受ける切ない真実とは?

あらすじ

クイズ研究会会長で高校二年生の成田頼伸(ライ)は、クラスの中で「じゃない方」と言われている。その理由は、同じ苗字を持つクラスの人気者、成田清春(キヨ)がいるからだ。
クラスの中でも対照的な存在の二人が、ひょんなことから出会った姉妹の、謎解きを手伝うことに。
謎解きの先に待つものとは何か!全ての謎を解き明かした時、切なすぎる真実が姿を現す。

書感

学生の頃の夏休みは、いつもダラダラと過ごしていていつの間にか終わってしまっていた。
そうなる予定だったはずの、主人公ライの夏休みは、謎解きに挑む姉妹と出会ったことで、特別な夏休みへと変貌する。
姉妹と、クラスの人気者キヨと4人で次から次へと出題される謎を追い求めつつ夏を駆け抜けて行く。
私自身、謎解きは大好きで、それを題材にした小説ということで手に取った。
最初のうちは5人目の参加者になったつもりで挑戦していたが、正直、難しすぎる謎に読者である私はお手上げ状態。
あとは、主人公ライ君に任せて、私は読者に徹した。
謎解きに甘酸っぱい青春を足した本作は、難しい内容を扱っていても疾走感があった。
その謎解き自身にも、実は謎があって、全ての謎を解き終えた時に出てきた真実は切ない。

本作の最後は尻切れ感があり、「え?ここで終わり?」と思ってしまったが、この終わり方をすることで、切なさを程よく抑えている感じもある。
さらには、私たち読者に対する最後の謎を仕掛けているのかもしれない。

謎解き好きなら、ぜひ一度は読んでいただきたい作品だ。
学生にはもちろん。かつて学生だった人にもピッタリな一冊でした。

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