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丹後・但馬絶景紀行
京都にも海があります。丹後の海です。
兵庫にも海があります。但馬の海です。
そして、どちらの海沿いのエリアにも、息を呑む絶景があります。
11月のある週末、そんな絶景を求めて、旅に出ました。
まずは舞鶴へ
丹後の玄関口は舞鶴です。
まず乗車するのは東京駅6時15分発ののぞみ3号。自宅最寄駅を始発電車で出発するとちょうど乗ることができるこの新幹線、いつも重宝しています。ようやく日が昇り始めた東京では、東京タワーを一瞬見ることができました。
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新横浜を過ぎたら、おもむろに袋を開いて朝食。いつも利用する東京駅の駅弁屋「祭」で購入したえんがわ押し寿司を頬張ります。この駅弁屋さんは日本全国の駅弁が集まっていて、朝から大行列ですが、本当に利用しやすくてありがたいお店です。
今日は素晴らしい青空でしたので、富士山も見えていたのですが、一番きれいに見える新富士駅周辺に差しかかると山頂部分だけ雲にかかってしまいました。今年は冠雪が遅いそうですが、冬らしい凛々しい富士を早く見たいものです。
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東京駅から2時間と少し、新幹線は外国人観光客であふれかえる京都駅に到着。ここから15分ほどの乗り継ぎで今度は特急まいづる1号に乗車します。特急まいづる1号は天橋立行特急はしだて1号と途中の綾部まで併結運転しますが、まいづる号の方は比較的空席がありつつも、はしだて号の方は外国人観光客も含めて満席だったようです。
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特急まいづる号は山陰線を快走。丹波の山間部を走り抜け、綾部ではしだて号を分離して、スイッチバックして後ろ向きに走り、10時過ぎに西舞鶴駅に到着しました。列車はその隣の東舞鶴駅まで行きますが、私は西舞鶴で下車し、先に車でやってきていた父とここで合流しました。
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1日目は丹後半島めぐり
まず向かったのは天橋立。ご存知日本三景のひとつ。天橋立を展望するスポットは、南側の天橋立ビューランドと、北側の傘松展望台がありますが、私は断然天橋立ビューランドをお勧めします。
外国人観光客も多い中、少し待ってリフトで頂上へと登ります。そして振り返ると広がる絶景。息を呑みました。実は天橋立ビューランドには20年近く前にも一度来たことがあるのですが、その時は雲が多く、ぜひとも再訪を期していました。今回は素晴らしい青空。その美しさは言葉になりません。
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つづいて向かうのは伊根町。そう、舟屋で有名な丹後半島東部の港町。その道すがら、宮津市日置では青い海をバックに映えるコスモス畑を発見。こういう発見があるからドライブは楽しいですね。
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そしてやってきた伊根の舟屋。こちらも訪れるのは約20年ぶり。当時はそこまで観光地化していなかったのですが、いつの間にか大きな駐車場も用意され、観光客でごった返していました。
山と海の間のわずかな平地にへばりつくように建ち並ぶ家々。1階は船がそのまま海へと出れるようガレージのような構造になっている家もあります。湾になっていて波が穏やかなこと、そして潮の干満差も少ないエリアだからこそできた唯一無二の絶景でした。
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さて、大満足の天橋立と伊根の舟屋を楽しんだ後は、丹後半島をぐるっと一周します。何といっても今日は雲一つない素晴らしい天気。そして丹後半島は絶景の宝庫。海沿いを走る道路の随所から奇岩・名勝が目白押しです。
まずは伊根町の北端にあたる蒲入(かまにゅう)という集落。夏場のトップライトだったらもっと美しかったであろう澄んだ海が見事な港町でした。
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次に行ったのは丹後松島。丹後半島北端に近いエリアにある景勝地です。海岸まで迫る山に、急に少しだけ平地が表れる、海岸段丘みたいな場所です。
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そして屏風岩です。いかにも「屏風」と言われる平べったい岩が海にそそり立っています。
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丹後半島北端の町・旧丹後町の中心地は「間人」というところです。「間人」と書いて「たいざ」と読みます。最近はご当地で採れるズワイガニが「間人ガニ」としてブランド化されていて名が知られてきましたが、まぁ、まず初見では読めません。その間人にあるのが立岩。見事な柱状節理の岩です。その手前に広がるのは後ヶ浜海水浴場。夏は海水浴客で賑わうのでしょうね。
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最後に訪れたのは網野から内陸に入ったところ。ここには1927年に起きた北丹後地震で顕現した郷村断層があります。わかりますでしょうか。実は奥から伸びてきた細い道は真っすぐこちらに来ていました。それがM7.3の大地震によって2mも横にずれてしまったのです。その横ずれ断層が如実に表れているのは大変珍しく、ぜひ一度見ておきたかったのです。
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さて、今日の宿泊地は京丹後市にあるリブマックスリゾート京丹後。八丁浜海水浴場を望む素晴らしい景観でした。到着したのはちょうど夕陽が沈む直前。素晴らしい夕焼けを思う存分楽しみました。
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このお宿の一番の魅力は何といってもお食事です。夕ご飯はすき焼き鍋を中心としたバイキング。これがまた美味しいのなんの。たらふく食べました。
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お風呂も楽しみ、ゆったり眠り、翌朝の朝食も大満足。いやはや、素晴らしいお宿でした。
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2日目は但馬の絶景を
さて、今日は兵庫県に入って、但馬の絶景を楽しみます。
まず訪ねたのは玄武洞公園。火山岩として有名な玄武岩の由来となった、大規模な柱状節理が見られる公園です。玄武洞のある豊岡市は円山川が市中心部を流れますが、そこから川霧がたなびき、実に幻想的でした。そんな川霧が薄まってきた中、玄武洞公園へ。これほど大規模な柱状節理は初めて。圧倒的なスケール感に酔いしれました。
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次にやって来たのは余部橋梁です。豊岡から少しすると無料で走れる地域高規格道路・山陰近畿自動車道に入り、余部まではあっという間です。それまでは但馬の険しい海岸線を曲がりくねりながら進まなければいけませんでしたが、今では相当便利になっています。
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さて、赤いトレッスル橋として沿線の名物であった余部鉄橋は2010年にコンクリート橋に架け替えられましたが、餘部駅の手前の部分は橋脚が残されており「空の駅あまるべ」として、橋を楽しむためのエレベーターが設置されています。餘部駅へは、架け替え前は細い山道を15分ほど登らなければなりませんでしたが、今ではエレベーターで楽に到達することができます。
そして、その裏山にあるのが展望台。一度余部駅のホームへ行って、そこから少し山道を歩く必要がありますが、そこからの景色は絶景です。ちょうど普通列車、特急列車がやってくる時間帯でしたので撮影してきました。
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旅の終わり、鳥取へ
玄武洞、そして余部橋梁と、但馬の観光スポットを巡り、車はさらに西へと進み、鳥取県に入ります。私は翌日から仕事があるので鳥取から帰京することに。最後に、鳥取砂丘を見ていくことにしました。あいにく曇ってきてしまって海の色は出ませんでしたが、何度来ても雄大な砂丘のスケールには圧倒されます。ちなみに「馬の背」と呼ばれる砂丘の海岸寄りの丘には行きませんでした(疲れてしまって……)。
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鳥取駅に送ってもらい、ここでさらに西進する父とはお別れ。私はひと足早く鳥取駅から帰京します。鳥取駅、利用するのは5年ぶりくらいでしょうか。立派な高架駅ですが、やってくるのは短編成の列車ばかり。それでも、旧国鉄型のキハ40系が並ぶ光景などは、全国でも珍しいところです。
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現在、鳥取と関西圏を結ぶメインルートは智頭急行を経由する特急スーパーはくとです。山陽本線の上郡から、因美線の智頭まで、鳥取への速達ルートとして建設された智頭急行も12月で開業30周年を迎えます。智頭急行を代表する特急列車HOT7000系ももうすぐ30年戦士ですが、まだまだカッコいい姿を見せてくれています。
私は倉吉始発の特急スーパーはくと12号で姫路に向かいます。さすがは陰陽連絡の韋駄天特急、特に智頭急行線内はものすごいスピードで駆けて行きます。あっという間に姫路に到着しました。
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姫路からは山陽新幹線で一路東京へ。新幹線ホームからは姫路城を遠望することができ、わざわざそれを示した窓枠も存在します。そこから姫路城を見てみると、ん? なんだか天守閣が真っ赤になってました。どうやらこの日は、HTLV(ヒトT細胞白血病ウイルス)感染症の予防対策啓発のための特別ライトアップだったそうですが、少し異様な光景でした。
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そしてやってきた新幹線のぞみ176号に乗り込みます。姫路駅名物「揖保乃糸」の看板もしっかり入りました。夕食は姫路駅で購入した駅弁「たこめし」です。東京駅まではおよそ3時間。夕ごはんを食べた後は爆睡です。
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あとがき
こうして1泊2日の丹後・但馬絶景旅行は幕を閉じました。このエリアは大好きで、これまでにも何度か訪れているのですが、来る度に見せてくれる表情が異なります。これからも、機会を見つけては当地を楽しんでいきたいと思っています。
(掲載写真はすべて筆者撮影。Google Pixel 7aで撮影しました)