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梅雨時、バス乗り継ぎ紀行-霞ヶ浦南岸を行く
仕事でストレスが溜まって、どこかにお出かけしたい。でも、雨でそんなに遠くに行く気力もないし、正直、人混みも避けたいな。そう思っていたある休日。ふと思いついて、路線バス乗り継ぎの旅に行くことにしました。
といっても、太川さん・蛭子さんや田中さん・羽田さんのような、ガチの3泊4日のバス旅が実際にできるはずもなく、ただふらっとバスに乗って、日帰りで行くお手軽のバス旅へ。
いろいろ考えて決めたルートは、前から気になっていた土浦から江戸崎を抜けて、佐原へと向かうルート。昔は国鉄バス(今のJRバス関東)が直通していましたが、今は江戸崎を境に会社が分かれているらしい。このあたりは鉄道が走っておらず、公共交通機関といえば路線バスだけ。これまで旅行といえば鉄道旅行が主だった私にとっても未踏の地。日帰りでも行けそうだし思い立ったらすぐ出発です。
ということで、まずやって来たのはつくばエクスプレスの終点・つくば駅。JRバス関東が出ているのは土浦駅ですが、当時住んでいた柏たなか駅から土浦に向かうには、まずつくば駅まで来て、そこからバスで土浦に行くのが都合がいいのです。
休日のつくばエクスプレス、それも下り列車は空いています。晴れている休日ですと、筑波山登山客で混雑することも多いのですが、この日は弱い雨が降っていたのでそれほど見ませんでした。
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つくば駅に隣接してあるバスターミナルが「つくばセンター」です。筑波山方面へのバス、筑波研究学園都市を巡るバスなど、ひっきりなしにバスが発着していますが、私が乗り込んだのは関東鉄道バスの土浦駅行です。
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つくばセンターを出たバスは研究学園都市を早々に抜けて、田園とロードサイド型店舗が混在する大通りを走り、30分足らずで土浦駅に到着しました。常磐線の主要駅なだけに、立派な駅舎です。そして駅前のバスターミナルも実に立派で、多くのバスが発着していきます。
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ここから乗り込むのがJRバス関東です。つくばセンターで見かけることも多いのですが、実はJRバスに乗るのはこれが初めて。伝統の青と白のボディにつばめのマークがいい感じです。
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土浦駅から乗り込んだのは15名ほどでしょうか。高校生と、若いお兄さんも乗っています。高校生は途中の土浦三高前で、若いお兄さんたちは美浦村のトレセン前で降りていきました。そうか、美浦にはJRAのトレセンがあるんでしたね。西の栗東、東の美浦。お馬さんに携わる人たちだったのでしょうね。
バスはだんだんと長閑な風景の中を走るようになり、ちらちらと霞ヶ浦を見ることもできます。道路の脇では田んぼ、というかレンコン畑が多くみられます。これも茨城名物ですね。
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小雨が降るしっとりとした風景を、バスの車窓からのんびりと眺めること、約50分。10時ちょうどに、バスは現在の終点・江戸崎に到着しました。
江戸崎は、かつて国鉄バスのいわゆる自動車駅として設置されたことから、待合室には「江戸崎駅」と書いてあります。もともと国鉄バスは、民業圧迫にならないようにという配慮から、鉄道路線の先行・代行・短絡などを使命として、あくまで国鉄路線の一部として開設されたことから、乗車券販売などを行う大きなバスターミナルでは「駅」という名称を使っていました。ここ江戸崎もその自動車駅として使われていたのです。今では窓口はありませんが、大きな待合室があり、たしかに古い駅舎のようではあります。
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さて、江戸崎からは会社が変わり、佐原方面へは桜東バスの江戸崎・佐原線に乗っていきます。さて、次の時刻は……ん? 現在の時刻は10時。佐原への直通バスは、9時発の次は……13時10分発? え、ここで3時間待ち!? いやいや、さすがにここで3時間は待てません。
ふと横を見ると、ここ江戸崎にはJRバスや桜東バス以外にも、たくさんのバスがあります。ブルーバス、稲敷エリア広域バスのひたち野うしく駅行、関東鉄道バスの竜ヶ崎駅行、そして稲敷市コミュニティバス。
このうちのブルーバス・浮島線というバスに乗れば、終点のパルナというバス停で、佐原行の桜東バスに乗り継げるらしいです。次の発車は10時40分。いい具合でバスが来ます。これに乗っていくことにしました。
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ブルーバスの発車まではまだ30分以上あります。
江戸崎駅は、江戸崎市街のど真ん中にありますが、見たところほとんどの店がシャッターを下ろし、時間をつぶせそうな喫茶店すらなさそうです。歩いて5分くらいで霞ヶ浦の湖岸に出られるそうなので、少し歩いてみました。幸い、雨もやみ、どんよりとした曇天ではありますが、霞ヶ浦は静かでボートがのんびりと係留されていました。
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霞ヶ浦の湖岸で深呼吸して戻ってくると、ブルーバスが待機していました。おぉ、名前のとおり青い車体です。ポンチョと呼ばれるコミュニティバスではよく見かける車種。乗り込んだのは私を含めてわずか3名でした。
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佐原駅へと向かう桜東バスは江戸崎からは利根川に近い辺りを通っていきますが、このブルーバス浮島線は引き続き霞ヶ浦に近い方向を進みます。どんより曇り空ですが、それがまた静かで涼やかで心地のよい景色に思います。
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コミュニティバスらしく、浮島地区をこまごまと回ります。ポンチョで十分な輸送量なので乗客は少ないのですが、それでも随所で1人降りたり1人乗ったりと流動はあるようです。
11時25分、たっぷり45分をかけて、バスは終点のパルナに到着。ところでパルナって何かと思っていましたが、それはこの地域では大きなショッピングモールでした。隣接して家電量販店もあり、このエリアの買い物の中心地となっている様子。駐車場にはたくさんの車が停まっていました。
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ここから乗車するのは、佐原駅行の桜東バス。江戸崎からの直行便は少ないのですが、ニュータウンがある光葉中央というバス停から比較的多くのバスが出ていまして、乗り込んだバスも光葉中央発のバスでした。
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11時41分、パルナから乗り込んだのは5人ほど。車内も比較的多くの人が乗っており、このショッピングモールへの買い物目的でこのバスを利用している人もそれなりにいるようです。
バスは、茨城県と千葉県の境を流れる日本最大の流域面積を誇る大河・利根川を渡り佐原の市街地に入ります。12時ちょうど、佐原駅に到着しました。
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佐原は水郷の町、北総の小江戸として知られる街です。
その玄関口である佐原駅も情緒たっぷりの駅舎。丸形ポスト、駅の入口には藍染めの暖簾もかかっており、江戸時代の町家風の駅舎でした。
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その佐原の出身として名高い人物が伊能忠敬さん。全国を歩いて正確な日本地図を作った偉人。旅好きにとっては地図はなくてはならぬものですので、本当に彼の偉業には頭が下がります。駅前には銅像もあります。
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ここからはJR成田線に乗ってもいいのですが、千葉交通の路線バスが成田に行くので、それに乗ってみることにします。発車は12時45分。お昼を食べがてらちょっと街をぶらぶらしました。佐原の小野川沿いにある重要伝統的建造物群保存地区までは歩いていけませんが、それでも少し歩くだけで江戸の町家のような街並みを楽しむことができました。
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お昼を食べて、佐原駅のバス乗り場から、千葉交通・吉岡線の京成成田駅行に乗車します。この千葉交通のバス、海を感じさせるきれいな塗装です。
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佐原駅から乗車した人は5名程度でしたが、成田に近づくにつれて多くの人が乗ってきました。JR成田線よりも市街地を走るので、多くの方が利用されているようです。たっぷり1時間、京成成田駅到着は13時49分です。
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早朝につくばを出て、霞ヶ浦南岸を通って辿り着いた成田でバス乗り継ぎの旅を終了します。これまで鉄道旅行を多くしてきましたが、バス特有ののんびりと車窓を楽しむ旅も、たまにはいいものですね。
(掲載写真はすべて筆者撮影。2021年6月訪問)