シリーズでお届けしている「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を今のダイヤで行ってみたら、の検証ですが、今回はZ第4弾をお届けします。
Z第4弾は2017年12月に放映されました。マドンナは村井美樹さん。鉄道ファンとして知られ、バス旅に出るとは予想外でしたが、感情豊かで、実に魅力的。個人的にはバス旅Zシリーズでは最高のマドンナだと思っています。現在、村井さんは、元祖バス旅でお馴染みの太川陽介さんと「鉄道・バス対決旅」で、鉄道チームのリーダー、またの名を「鬼軍曹」として大活躍されていますが、その原点がこのバス旅Z第4弾だった、と後日振り返っています。
Z第4弾の実際ルート
岐阜城から、鳥取砂丘までと、多くの県境を越えていく難しいルートの中、もう一息の湯村温泉でゴール断念。夜久野から和田山へ歩く途中、和田山イオンの手前で八鹿駅行のバスを乗り逃したことが直接の敗因となる悔しい回でした。最後の村井さんの悔し涙にはグッとくるものがありました。
2024年の検証ルート
さて、それでは現在のダイヤで行ってみたらどうなるでしょう。なお、今回も時刻表は「NAVITIME」の路線バス時刻表をベースに検証していきます。
実際ルートでの一行は、一度近江今津から福井県の小浜へと抜けますが、そこからバスが繋がらず、再び近江今津に戻って、そこから朽木村、バスファンでは有名な「途中」バス停を通って京都へと抜けて、元祖バス旅第8弾のルートと同じ、亀岡・園部・福知山へと抜けていきました。
2024年のダイヤ検証を行うにあたり、ひとつ気になるニュースがあります。一行が朽木から京都へと抜けたバス路線が2021年3月に大幅に減便され、現在は土日のみの運行となっていることです。
実際ルートでの旅程は水曜日スタートとなっていますので、現在のダイヤではこのルートは使えません。それを前提に検証してみたいと思います。
1日目は長浜まで。実際ルートでは、一行は大垣から牧田上野まで直行し、関ヶ原へと向かいましたが、現在は途中でコミュニティバスに乗り継ぐ必要があります。牧田上野で長時間の待ちが発生し、それもあって、一行が乗車した柏原からのバス(最終16時11分発)に間に合わず、近江長岡駅まで7㎞を歩くことになります。それによって、長浜駅到着が遅くなり、一行が進めた木之本までは到達できず、長浜泊まりとなります。
さて、一行はその後、接続のよさもあって、木之本から細かな歩きを挟みながらも、とんとん拍子で琵琶湖北岸を回り、近江今津の先から小浜行のバスに乗り込んだものの、そこからバスがなくて引き返しました。当時は朽木から京都方面へと抜けるバスが、数は少ないながらも平日にもあって利用できたのですが、現在は上述のとおり土日のみの運転となり利用できません。そこで、いったん、小浜から先へ進むルートを見てみたいと思います。
①小浜経由ルート(その1)
水曜日撮影スタートだとすると、この2日目は木曜日。小浜駅から西方面には13時ちょうど発で小浜市西端の加斗駅付近まで行くコミュニティバスが出ていますが、木曜なので使用不可。仮に水曜だとしても、ギリギリの差でコミュニティバスに乗り継ぐことができず、結局、若狭高浜駅まで約20㎞バスがありません。海沿いの国道を進んでいけばよいので苦しい峠越えなどはないのですが、それでも20㎞の歩きはなかなか非現実的です。非現実的ではありますが、いったん若狭高浜で泊まることにして、そこから先のルートを見てみましょう。
高浜駅からは京都交通のバスが出ていて、京都府へと入っていくことができます。途中、4kmほどを歩くと福知山には17時前に到着し、実際ルートで一行が辿った福知山にやってくることができました。
おっと、湯村温泉で打ち止めになってしまいました。上夜久野から10kmを歩いた後、和田山イオンから八鹿方面へ行くバスが15時半までなく、長時間の待ちとなることが要因です。実は、平日であれば、イオン12時57分発というちょうどいいバスがあって、それに乗れば湯村温泉へは14時前に到達できるのですが、ロケ開始日水曜日とすると4日目は土曜日で、多くのバスが土日運休となる中、バスが一気に減ってしまい、このような形になってしまうのです。
ちなみに、湯村温泉から鳥取砂丘への最終バスの乗り継ぎは下記のような形です。
少し八田コミュニティセンターから神堀までの県境区間がタイトですが一応は繋がります。
これに乗るためには、イオンを11時31分に出るバスに乗る必要がありますが、3日目に福知山で宿泊してしまうと間に合いません。そこで、それに間に合うルートとなると、3日目に福知山で泊まらずに、先の夜久野まで行き、翌日、そこから歩くというルートです。夜久野周辺は宿は限りなく少ないですが、それでもないわけではないようなので頑張れば宿は見つかるかも知れません。
ちなみに、4日目が平日の場合、福知山駅から出ても湯村温泉から八田コミュニティセンターまでは行けますが、湯村温泉から八田へのバスの発車時間が変わっており、峠を越えても日本交通の最終バスに間に合いません。つまり、土曜日だとイオンでちょうどいいバスがなく、逆に平日だと湯村温泉でちょうどいいバスがないことで、結論として、福知山で泊まってしまうとゴールができません。
というわけで、小浜から先西進するルートでは、福知山で泊まりさえしなければ何とかゴールは可能ですが、1日目7.3km、2日目29km、3日目4.3km、4日目14.4kmと合計57kmもの徒歩が発生します。中でも2日目の29kmはちょっと殺人的です。
②小浜経由ルート(その2)
もうひとつ、小浜経由で、福知山に行かないルートもあります。
天橋立から元祖バス旅第24弾で太川さんたちが進んだ出石を経由するルートで進むと、4日目は12.9kmの歩きとなります。あまり変わらないのと、結局は2日目の29kmの歩きは変わりませんので、きついルートではありますが、夜久野の宿泊施設が少ないことに比べると、天橋立周辺は宿も多いので、こちらの方がわかりやすいかも知れません。
③小浜経由ルート(その3)
小浜から20km歩くのを回避できるルートはあるのでしょうか。バス路線を見てみると、小浜市の南、名田庄というところに流星館というホテルがあり、そこまでバスが出ています。
小浜から若狭高浜まで20km歩くのに対して、こちらは11.1kmの峠越え。その後に4.5kmの歩きがあります。2日目が9km、3日目が15.6kmという徒歩距離で福知山に着くことができ、若狭高浜周りよりも10km近く徒歩を縮められますが、これですと夜久野行の最終バスに間に合わず、福知山泊まりとなってしまい、上述のとおり、4日目が平日であっても土曜日であっても4日目に鳥取にたどり着くことはできません。
④琵琶湖東岸ルート
小浜を経由しない、かといって、土日しか使えない朽木谷ルートも使わないとなる場合は、残るは琵琶湖東岸を進んでいくということになりそうです。最後に、琵琶湖東岸を抜けるルートを検証してみましょう。
2日目はかなり厳しい道のりとなります。バスが途中で繋がらず、特に彦根市から南側のバスは壊滅的。合計で28kmも歩くことになります。これを我慢して、何とか近江八幡までくれば、琵琶湖大橋を渡るバスに乗れて大津に到着します。
3日目は実際ルートで一行が辿ったルートに沿って進むことができますが、園部から福知山までのJR西日本バス園福線が廃止され、現在は中京交通と京都交通で路線が分割、その分、待ち時間も多く、福知山駅到着は19時となりました。その結果、夜久野まで行く最終バスに間に合わず、ゴールはできないことになります。
まとめ
というわけで、放映当時から比べるとかなりバス路線が削減されており、結果として、3泊4日で到達できるルートは、小浜から20km歩いて若狭高浜方面を目指すルートしかないという結果になりました。その中で距離が少ないのは天橋立経由。現在の正解ルートとすると以下の形になるでしょうか。
トータルの徒歩距離は52.4kmになります。2日目は29kmも歩くことになり、正直非現実的といえるかも知れません。
追伸
ここまで調べたところで、念のためと思って、新温泉町のホームページを見たところ、4月1日付での最新の時刻表が掲載されていまして、土曜日は何と12時ちょうど発のバスのみで、15時発は予約制のバスとなっていました。NAVITIME掲載の時刻とも違っています。これだと湯村温泉12時発が最終では歩きに歩いて何とか湯村温泉へ行っても到底辿り着けません。
年々、厳しくなるバスの乗り継ぎ。何年か経つとさらに環境は大きく変わっていることでしょう。