【検証】ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z第3弾(宮城・松島→秋田・白神山地)
先日、しばらく放映されず続編の有無が気になっていた「ローカル路線バス乗り継ぎの旅W」の第3弾がテレビ東京系で放映されました。今回も暑い中の過酷な旅程で、ガチンコで旅をする女性3人組には、ホント頭が下がります。
さて、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅を今のダイヤで行ってみたら」の検証シリーズ、今回はZ第3弾をお届けします。
スタートは宮城県の日本三景・松島。ゴールは秋田県の日本海側、青森県境にほど近いあきた白神駅でした。ルート的には同じく松島から津軽半島の竜飛岬を目指した元祖第6弾に近いでしょうか。マドンナはラブリさん。失礼ながら、この番組で初めて知ったタレントさんですが、暑い中を一生懸命に歩いていた姿が印象に残っています。
Z第3弾の実際ルート
途中、クマが出ると脅されながらも果敢に奥羽山脈越えに挑み、最終日は怒涛の歩きで何とかバスに間に合って、奇跡的なゴールを果たしました。
2024年のダイヤ検証
さて、それでは、今のダイヤで行ってみたらどうなるでしょうか。なお、一行が最後に乗車した能代からあきた白神駅に向かうバスは既に廃止され、あきた白神駅前というバス停も今はありませんが、そのすぐ近くにハタハタ館前というコミュニティバスのバス停がありますので、今回の検証では、このハタハタ館前をゴールとしたいと思います。
実際の放映時にも何度かコメントが出ていた通り、この旅程のポイントは、いつ奥羽山脈を越えるかです。まずは実際ルートと同じように、北上から西に進んで奥羽山脈を越えるルートを考えてみましょう。
①実際ルート(北上から西進)の検証
田中さんたち一行の実際のスタート時間は9時50分発ですが、現在のダイヤでは9時47分発となっています。物産館は10時27分着・同時発車ですが、時刻表上、接続が取られる旨の表示があります。ちなみに、大和町バスターミナルから一行が乗った大衡村の万葉バスは2023年5月に廃止されてしまいました。
そのため、その先のバスがある大衡村役場まで歩くことになります。その後、古川駅で2時間待ち、築館高校でも2時間待ちとバスの接続が悪く、この日到達できるのは有壁駅まで。実際ルートでは築館高校前で奇跡の乗り継ぎができて最終の一ノ関行に間に合いましたが、今のダイヤでは間に合わないようです。とはいえ、有壁駅周辺には宿泊施設が何もないので、2時間近く歩いて一ノ関駅で宿泊した方がいいと思います。
一ノ関からは一行と同じくイオン前沢へと向かうバスに乗っていきますが、イオンまで行ってしまうとそこから先、水沢へと行くバスに乗れません。途中の三日町というバス停で乗り継ぐ必要があります。一行が水沢から乗った金ケ崎経由で北上へと向かう岩手県交通・国道北線は北上金ケ崎線として再編されるも、それも2024年3月31日付で廃止されてしまいました。廃止代替となるコミュニティバスが金ケ崎町の県南免許センターまで走っており、そこから8kmあまりを歩いて北上駅に到達します。
さて、実際ルートでは、一行は北上から西へと向かって奥羽山脈越えに挑戦すべく、ほっとゆだ駅へと向かいましたが、途中の横川目からほっとゆだ駅までは2020年9月末付でバスが廃止され、20㎞以上の歩きが必要となってしまいます。さらに実際ルートでも宿送迎も駆使して乗り越えた下南郷まで、14kmバスがありません。都合、34kmもの空白地帯。さすがにこれを歩いていくのは無理があると言えますので、実際ルートの北上西進コースは断念ということになります。
②盛岡から抜けるルート
そこで、もう少し北上して盛岡から西へ進むルートも検証してみましょう。
途中、4kmほどの歩きを挟みますがその日のうちに盛岡まで行くことができます。翌朝、八幡平頂上へと向かうバスに乗ることもできますが、そこから乗り継げるはずの羽後交通のバスは、2024年度は運休となっており、玉川温泉までしか行きません。八幡平から玉川温泉までは約30km。これもさすがに歩けません。
また、盛岡からは雫石へと向かうバスもありますが、こちらも、そこから先の秋田県境へ向けて、赤渕駅先の道の駅あねっこ雫石までのバスはデマンドバスになっていて利用できず、結局雫石駅から秋田県側で最も岩手県寄りにある大杉沢バス停まで26kmあります。
というわけで、盛岡からの西進ルートもうまくいきません。
③もう少し南側から奥羽山脈を越えるルート
北上も盛岡も難しくなったので、もう少し南側から奥羽山脈を越えるルートがあるか見てみましょう。
実際の旅程でも、一行は古川から西へ向かうルートを検討していました。
古川からは鳴子温泉へと向かうバスがありますが、残念ながら、そこから先、山形県境までバスがなく、県境を越えた最上町にもデマンド式の予約制バスしかありません。鳴子温泉ルートも難しそうです。
もう少し南に下がって、国道347号線、宮城県加美町から山形県尾花沢市に入る鍋越峠を越えるルートですと、徒歩距離は19kmです。これもすでに非現実的な距離ですが、北上や盛岡と比べるとまだ辛うじて短いので、いったんこのルートで行ってみることを検討したいと思います。
一応、この日のうちに、宮城県側の最奥部である宇津野というバス停までは行けるのですが宇津野到着は18時半。そこから19㎞、およそ5時間の峠越えをその時間から挑むのはあまりにも無謀なので、旅館がある小野田仲町でこの日は一泊です。
2日目は峠越えが中心となります。新庄から先は元祖第15弾と同じく、金山か鮭川村へ行って真室川を目指すのですが、金山、鮭川共にめぼしい宿泊施設がなさそうなので新庄で宿泊することとします。
この日は元祖第15弾で敢行した山形・秋田県境越えに挑みます。湯沢から横手へ直行するバスは14時台に終わっていますが、小安方面へ向かうバスに乗って途中の川連というところで乗り換えると横手に向かう別系統のバスに乗れて、そうすると、羽後本荘へと抜ける最終バスに間に合います。
ちなみに、一行が辿った、横手から大曲・田沢湖・鹿角花輪へと抜けるルートですと、玉川温泉から先、鹿角花輪へと抜けるバスが1日1本しかなく、鹿角花輪到着が16時前となってしまい、4日目のその時刻に鹿角花輪にいては到底ゴールできません。
五城目から先、八郎潟駅との間にある湖東厚生病院から三種町のコミュニティバスがありますが、12時発は予約制となっていて乗れないので、11km近く歩いて道の駅みねはまに行きます。その後は八竜から能代へと秋北バスで行けますが、ここで2時間待ち。絶望感が漂いますが、道の駅みねはまで八峰町のコミュニティバスに間に合い、19時前にゴール地点であるハタハタ館前に到着することができました。
というわけで、鍋越峠越えルートは19kmの峠越えを挟みつつも、何とか4日間でゴールが可能となりました。しかし、2日目に19㎞、3日目に13㎞、4日目も11㎞と長距離の歩きが続きますので、かなりきついルートとなりそうです。
④仙台へ南下してからのルート
さて、③のルートでは、峠を越えた尾花沢から、バス旅ではお馴染みの48ライナーを利用して新庄まで向かいました。仙台から新庄までを一気にワープできる48ライナー。何度もバス旅で助けられてきた魔法のバスです。ということは、最初から仙台発の48ライナーに乗ってしまえば、きつい奥羽山脈越えをすることなく楽に行けるのではないかと考えました。
最後に、松島からまず南下して仙台へ行って、そこから48ライナーを利用するルートを検討してみましょう。
このように、1日目に北上せずにいきなり仙台へ向かうと、その日のうちに新庄まで行くことができます。そこから先は③のルートと同じく真室川・湯沢・横手・本荘・秋田・五城目経由で進み、理論上は3日目でのゴールが可能となります。
奥羽山脈をバスで一気に越えてしまい、後は2日目の県境と3日目の秋田県内での10㎞を超える歩きこそあれ、かなり楽なルートとなります。なかなか、松島でゴール地点が白神山地と知らされて、北上せずに仙台を目指すルートを考えるのは難しいかも知れませんが、相当長距離を歩かされる奥羽山脈越えを一番楽に超えるルートとして、これが正解ルートのひとつといっていいと思います。
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