見出し画像

絶景実りの列車旅-鉄道風景写真館

ローカル線を中心に、撮り鉄も乗り鉄も両方やっている私ですが、全国のローカル線を旅して改めて思うことは、日本は稲作を中心とした農業の国であるということです。豊葦原瑞穂国という日本の美称を思い出させるように、初秋の時期、ローカル線の車窓の友は、黄金に色づいた田園風景です。今回は、これまで撮りためてきた鉄道写真の中から、そんな実りの風景の中を走る鉄道をいくつかご紹介したいと思います。

1.北海道:留萌本線

留萌本線・秩父別-北秩父別

留萌本線は深川から留萌までを結ぶローカル線。乗客の減少で石狩沼田-留萌間の2023年9月限りでの廃止が合意されています。撮影した場所は米どころで有名な秩父別町。このエリアはあと3年、2026年までは廃止されないとのこと。まだまだ黄金の実りと北のローカル線を撮影できるチャンスは残されています。

2.東北:由利高原鉄道

由利高原鉄道・矢島

羽後本荘から矢島までを結ぶ由利高原鉄道。高原鉄道という名前が付いていますが、区間のほとんどは子吉川に沿って田園風景を進みます。雄大な鳥海山もきれいですが、稲刈り間近のこの時期、終着駅矢島のすぐ近くにある矢島小学校の裏山から見たこの景色には感動しました。これぞ、日本の秋という絶景でした。

3.関東:ひたちなか海浜鉄道

ひたちなか海浜鉄道・中根

廃線の危機を免れ、国営ひたち海浜公園までの延伸も決定し、ローカル私鉄の成功例ともいわれるひたちなか海浜鉄道。中根駅周辺は広大な田園風景が広がります。素晴らしいロケーションながら、東京からも比較的行きやすく、また運転本数も多いので、気軽にローカル線に乗りに行くにはオススメの路線です。

4.北陸:七尾線

七尾線・千路-金丸

金沢近郊から能登半島へと線路を延ばす七尾線。能登半島というと何となく海を思い起こすのですが、七尾線からは海はほとんど見えず、田園風景を進んでいきます。写真は、2015年から走り始めた観光列車「花嫁のれん」号。輪島塗を思わせる車体に、金沢らしい金色をあしらった豪華な車両が、黄金の田園ともよく似合います。

5.東海:三岐鉄道北勢線

三岐鉄道北勢線・楚原-麻生田

2003年に近鉄から経営移管された三岐鉄道北勢線。軌間762mm、数少ないナローゲージと呼ばれる鉄道路線で、車両もマッチ箱のような小さな車体がゴトゴトと走ります。この日訪れた時は稲刈りの真っ最中。列車待ちの間に始まった稲刈り。コンバインが手際よく刈っていきます。何とか次の列車まで持ってくれと祈っていたら、奇跡的に間に合いました。

6.近畿:姫新線

姫新線・三日月-播磨徳久

姫新線横の田んぼのあぜ道には、見事なまでに真っ赤に咲き誇った彼岸花が群生していました。個人的感覚では、関東に比べると、西日本の方が、こういった彼岸花の群生があちこちに見られるような気がします。そこへやってきたのはこの真っ赤な彼岸花にもよく似合う姫新線カラーのキハ40系。通称赤とんぼ列車と呼ばれていました。今では引退しています。

7.中国:山口線

山口線・徳佐-船平山

SLやまぐち号が走ることで知られる山口線。集結するカメラマンの目的はもちろんSLです。普通列車はあまり注目されないのですが、それでも当地を走る普通列車は貴重な国鉄型気動車のキハ40系で、しかも人気の国鉄色。最近では普通列車にもカメラを向けるカメラマンが増えてきました。写真は徳佐駅でSLと交換する予定の上り普通列車です。

8.四国:予讃線

予讃線・伊予石城

平地が少なく、海のそばまで山が迫っている土地柄ゆえ、米の食味ランキングでもなかなか上位進出がない四国ですが、愛媛県西予市の宇和盆地は米どころとして知られています。その宇和盆地の西端にある伊予石城駅のすぐそばには、観光名所にもなっている「藁ぐろマンモス」があります。線路沿いにあるので、列車とも絡めることができます。

9.九州:日田彦山線

日田彦山線・石原町-呼野

北九州市といえば福岡県北部を代表する政令指定都市です。山陽新幹線の接続する小倉駅周辺の都会ぶりは目を見張るものがありますが、この写真を撮った呼野駅は北九州市内にあるとは思えないほど山がちな場所。近くにはセメントで有名な平尾台もあります。わずかな平地に田んぼが広がり、刈入れ時を迎えていました。

まとめ

というわけで、地方ごとに田園風景を走る鉄道写真をご紹介しました。当然、稲刈り間近の黄金の稲穂が実る頃が一番美しいのですが、田植え直後の水鏡なども大変きれいです。何の変哲もない田園風景にも四季を感じることができる。日本に生まれてよかったと、心の底から思います。

(掲載写真はすべて筆者撮影。なお、引退により現在では撮影できない車両がありますのでご了承ください)

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集