🚃『ばた電』にバタバタ揺られて①

2022年6月27日 22:36

　中井貴一さん主演の🎞『RAILWAYSー49歳で電車の運転士になった男の物語』を鑑賞してから、12年が経ちました。
　親の看病を機に東京での仕事に見切りをつけ、地元に戻って再就職するのですが、その仕事が小さい頃の夢だった鉄道運転士の仕事‥‥。

【🎞『RAILWAYS』】
考えさせられる映画でした。でも、夢や憧れに真っ直ぐひたむきなになれることの大切さを感じました。

　この映画の舞台になったのが、通称〝ばた電〟こと、一畑電車です。
　出雲市駅から宍道湖沿いを走り松江しんじ湖温泉駅を繋ぐ私鉄単線路線です。出雲と松江の長閑な田園地帯を結ぶローカル線ですが、郷愁を誘います。
　🎬映画の主題歌となった松任谷由実さんの🎵『💃ダンスのように抱き寄せたい』を聴きながら、出雲の稲の緑が豊かな田園地帯を揺られてみたいですね。
　11年前に買ったムック本が役に立つ時が来るなんて‥‥、だから本は捨てられないのです🤣

【週刊『歴史でめぐる鉄道全路線 18 一畑電車】
2011年7月17日朝日新聞出版から発刊された『週刊朝日百科』の18号でした。

　当時、定価580円。
　全巻30冊のシリーズもので、創刊号は東京都電、2号は江ノ電でした。

　北松江線は電鉄出雲市から松江しんじ湖温泉駅間33.9km、駅数22。
　大社線が川跡《かわと》から出雲大社前駅間8.3km、駅数5。
　設立は1912年(明治45年)4月19日と古く、軽便鉄道からのスタートようでした。

【JR出雲市駅北口】
出雲市駅には「日が沈む聖地出雲」の🪧看板が掲げられていました。

　そもそも、古代史の中で古《いにしえ》の倭の国を紐解く📖『古事記』に、初めて出雲国が登場するのは「四火神迦具土神」の章。
　歴史を👨🏻‍🎓学生時代に勉強していたとは言え、古代史は東洋史同様、苦手な分野でした😅
　漢字は多いし、古文・漢文の基礎学力が低い附属高校出身者は、一般入試組の学生より理解力が乏しく、授業の進行に付いて行くだけで精一杯💦
　出来れば避けて通りたい分野でしたが、やはり歴史を学ぶ者として、専門バカでは嘲笑われてしまいそうです🤣
　そこで、📖『古事記』あたりから始めてみます。
　
　　伊邪那岐命《いざなぎのみこと》を出雲と伯耆（広島）の国境の山に葬ったと、されています。

【📖講談社学術文庫刊『古事記』】
『日本書紀』と並ぶ大書『古事記』
読み易いように全訳注と解説が載っています。古代史の勉強も一段と進むと思います。

　📙『知れば知るほど面白い古事記』という解り易くまとめられた新書のお力をお借りして、古人《いにしえびと》が記した日本の心の礎のほんの一部を振り返ってみます。
　伊邪那美命《いざなみのみこと》の伊邪那美は🗽女神です。対して伊邪那岐命《いざなぎのみこと》は、男の神様だそうです。
　で、男の神様と女神が愛を育めば、山の神・大山津見神《おほやまつみのかみ》、海の神・綿津見神《わたつみのかみ》が生まれます。

　JR出雲市駅舎を出て右に曲がり200m行くと、高層ビルになっていた一畑電鉄出雲市駅。一畑電鉄がグループ経営しているホテルが隣接されています。

　初めて乗る〝ばた電〟に、胸の心拍数も💓ドキドキと上がります。ただ、ムック本の表紙を飾った🚃一畑電車の3000系は、2017年に現役を引退して、新しい7000系の電車に変わっているようです。
　ない物強請りをするわけではありませんが3000系にも乗ってみたかったです🥲

【電鉄出雲市駅】
改札は一階に、一畑電鉄のホームはこのビルの2階部分にあります。

　発車時間の10分前から改札での入場が始まります。毎回切符を買う手間や乗り降りの簡便さから、今回も1日乗り放題の「一畑電車フリー乗車券」1600円を購入します。
　ここでも一畑電鉄の駅員さんが親切な方で、
「フリー乗車券は高いから出雲大社往復だけなら、往復切符の方が安いですよ」
　と、親切にご教示いただきました🗣

　でも‥‥
乗り降りする度の乗車券購入の煩わしさもなくなり、気兼ねなく自由に乗り降り出来ますので、申し上げると快く販売手続きなさってくださいました。
　先ずは何と言っても、日本中の神様が年に一度は集まるという⛩出雲大社に参拝🙏🏻するため、川跡《かわと》駅を目指します。

　この電車が新しく就役しています。新しい7000系車両の真ん中の扉は開きません。
　ワンマン運行しているからなのですが、一畑電鉄さん、ちょっと茶目っ気があります。

【島根県のゆるキャラ〝島ねっこ〟】
7000系車両の真ん中扉には、〝島ねっこ〟が居ます😍

　車内に入り、思わずクスッと😊
中々心憎い演出です。
　一畑電車は川跡駅で大社線に乗り換えて、終点・出雲大社前駅に向かいます。電鉄出雲市駅から4駅目が川跡駅です。

【川跡駅ホーム】
大社線、北松江線の上り・下り🚃電車が勢揃い。
左からデハ700x系、右がデハ100x系。

　ホームに降り立つと、駅員さんが🎤マイクを持って丁寧なアナウンスで誘導して下さいます。
　初めて参詣する私も迷うことなく案内すると共に乗降者の安全に、常に眼を光らせていました。お陰様で1番線の大社線に乗り換えることができました。
　☔️雨の日は、カッパを着て雨の中、ホームに立ちアナウンスをなさっておられた駅員さんには頭がさがりました。

【🎞『鉄道員〝ぽっぽや〟】
高倉健さんの駅員としての矜持を描いた作品で、何度観ても泣けて来ます🥹

　北海道の原野の中だけでなく、人知れずこの出雲の〝陽が沈む聖地〟にもいらっしゃいました。
　まさに、〝鉄道員〟《ぽっぽや》の矜持たるものを拝見させていただきました🙇🏻‍♂️

　60年近く生きて、歴史も👨‍🎓学生時代から勉強して来たのに今頃、⛩出雲大社に参拝とは遅きに逸した感は拭えませんが苦手する古代史に少しでも理解が深まれば幸いです。
　大社線 🚉川跡駅から4駅目、終点が出雲大社前駅です。

　ホーム改札口は右手にあり、改札を抜けるとモダンなステンドグラスに飾られた駅舎待合室がありました。

　待合室を見上げると、白い装いにステンドグラスが映えます。

　廃止になったJRの出雲大社駅舎は観ておりませんが、和風の駅舎とは対照的な雰囲気です。
　教会風のモダンな駅舎は、国の登録有形文化財に指定されています。

【出雲大社前駅駅舎】
駅舎の右隣りには、廃止なって静態保存されているデハが飾られています。

　改札を出て⛩出雲大社に向かう通り（この通りを「神門通り」と呼ぶそうです。）を右に進み、少しずつ坂を上がっていきます。二の⛩鳥居のすぐ目の前に、ポップ界のマドンナとも言われた👩‍🎤女性シンガーのご実家、老舗旅館「竹野屋旅館」もありました。趣きのある風情ですね。

　坂を上がり切ると、まさに⛩出雲大社前です。

　生粋の☔️雨男の私にとって、出来過ぎのようなピーカン、☀️晴れました。
　この日は午後から天気が下り坂、出雲大社に参詣している時だけ、晴れてました。
　こんなこともあるのですね。
　鳥居を潜る時は会釈して、参拝します。
　ベチャクチャ喋りながら参拝するカップルや老夫婦も居ますが、厳かな気分にはならないものでしょうか🫢
　最近の日本人は弛んでいるというか、緊張感が足りないというのか？こんなことでは隣国や親隣国やその同盟国も与し易いと、ほくそ笑んでいることでしょうね。

　⛩出雲大社の入口にあたる⛩は、「勢溜の大鳥居」と云い、一の鳥居のコンクリート製ではなく、木製で高さ23mにも及ぶ立派な大鳥居です。
　大勢の参拝客で賑わうことから、正門にあたる大鳥居は、「勢溜の大鳥居」と呼ぶそうです。
　私の前を行くガタイのいい外国人観光客（恐らく🇺🇸の親子連れ）の方が厳かな気持ちになったのか🤫と、父親が子に諭していました。
　ご立派‼️ です🙇🏻‍♂️
　私たちだって、外国の教会に観光で行き参詣する際は、心静かにして入室します。

【🇩🇪パイエルン州にある⛪️ヴィース教会】
私が観光に訪れた際、心静かに入室したのですが、背後から押し退けるようにして騒々しく入室して来た🇰🇷観光客は入室を断れていました。

　どこの国にも聖域というものがあるのです。その分別がつかない方々は参詣を控えるべきです。浦安のネズミのお化けがいるお伽の国で、はしゃいで来れば良いのです。

【⛩出雲大社参道】
緩やかに下り勾配が付いています。参道の脇には、欅の巨木やヤブツバキの大木が植えられています。

　勢溜の大鳥居から祓橋まで下りの参道です。
　ここには、祓社が右手にあり、ここで身を清めるため最初の参詣をしますが、出雲大社は他の神社とは違い、「二拝四拍手一拝」です。

　宇佐八幡宮、伊勢神宮にも参詣させていただきましたが、参道を歩くだけで身が引き締まる思いがします。
　素鵞川に架かる祓橋の右脇には浄の池《きよめのいけ》があり、紫陽花が綺麗に咲いていました。

　祓橋を渡ると三の⛩鳥居は鉄製。
　三の⛩を潜ると松の参道があり、両脇どちらかを参拝者が進みます。真ん中は現在、松の保護のため通行禁止ですが、神様だけが通行を許された神聖な参道です。
　神域ですので、松の参道の中央は撮影は控えました。ただ両脇は芝生に覆われた広い場所が広がっていました。

【出雲大社　松の参道の両脇】
ベンチがあったなら、レジャーシートを広げて🍱お弁当でも食べ、のんびりとしたい所でした。

　松の参道を行き着くと右手に、「ムスビの御神像」があります。

【ムスビの御神像】
🌊海の彼方から「幸魂・奇魂」《さちみたま・くしみたま》の魂が現れて大国主大神《おおくにぬしのおおかみ》がムスビの大神になったとされる伝説の場面を再現したらしいです。

　ムスビの御神像は、昭和61年に京都の崇拝者から寄進されたものだそうで、その財力にも驚きです。ムスビの再現場面の反対側に、手水舎があり参拝の作法である手水でお清します。
　そして、銅製の⛩鳥居を潜ります。

　この銅製の⛩鳥居は、天正8年（1580年）に、毛利輝元が寄進した鳥居だそうです。毛利輝元と言えば、関ヶ原合戦で期せずして西軍の総大将に祭り上げられましたが、関ヶ原で敗軍の将になるまでは、120万石の大大名。信長と対峙し、いよいよ秀吉との遠征軍と抜き差しならならぬ状況に陥る中での寄進ですから、毛利勢の勢いを感じさせてくれます。
　拝殿に掛かる見事なしめ縄に関心しながら参拝し、ここでも「ニ拝四拍手一拝」です。
　拝殿から右回りに八足門→東十九社→素鵞社→西十九社→御守所の順で反時計回りに参拝します。

　十九舎は東西にあり、旧暦10月・神無月に全国から神様が集合し、七日間の神議《かみはかり》の間は、ここに宿泊されるそうです。神様がご滞在の時だけ、十九の扉が開かれるとのこと。
　そのため、出雲だけは旧暦10月の神無月を、敢えて「神在月」と呼ぶそうな🤔
　御本殿は、永享元年（1744年）に3年半の歳月をかけ完成し、高さ24mの御本殿の立派な大社造りを観ていると、国宝に指定されるのも頷けます。
　本来なら、最初に拝んでおかなくてはならない牛馬舎では、学力向上にご利益があるという🐂神牛像に触れて、帰路につきました。

　出雲大社のあちこちに、🐇ウサギの石像があります。平成の式年遷宮の際に、記念して設置されたとか。
　きっと、稲羽の🐇白ウサギにあやかったのでしょうね。

　こうして、サンライズ出雲号で午前09:58分に到着し、10:26分発の一畑電鉄電鉄出雲市駅を発車してから、出雲大社参拝は午前中で終えました。

勢溜を交差し海に向かう通りは、「神迎の道」と呼ばれていて、出雲大社駐車場からの「お宮通り」の交差点から70mに、元祖〝出雲そば〟の名店があるそうな🤔
　お昼は、やはり地元名物の〝出雲そば〟。
　地元で一番古くから営まれる「出雲そば荒木屋」さんを訪ねました。
　出雲大社から👣徒歩10分。
　駐車場も広く、多数の🚙車が停まっていました。

【名店　『出雲そば荒木屋』さん】
炎天下で待つのは辛かったですが待った甲斐がありました😋

　創業から200年という歴史ある名店です。
　参道沿いから離れていても賑わっていました。地元の玄蕎麦を丁寧に挽き、蕎麦本来の香りとコシ、細麺だったのが嬉しゅうございました🙇🏻‍♂️
　自家の井戸水を使い、うるめイワシから摂った蕎麦つゆは優しく適度な塩っぱさがあり、つゆのりょうも豊富で私好みでした。

【出雲そば割子三段】
相席だったおばちゃんは六段、おじさんは五段。
大盛や大食しないよう心がけています。

　🥚卵やとろろ、ネギに🍁もみじおろしなど薬味が味わえます。加えて、ビール🍺が大瓶か中瓶も選べた上に、ヱビスビール❣️
　言うことなし。
　ただ私は中瓶にしました。
　美味しいお蕎麦を食べて、出雲大社の参道まで戻り、街を🚶🏻ぶら〜り。
　出雲ぜんざいも出雲の名物。
　善哉＝ぜんざいは大阪なにわか？京都が発祥の地かと誤解していましたが、ぜんざいは出雲が発祥の地と、出雲に来て初めて知りました。

　🍡門前団子もブランド米の仁多モチ米を使用しているとのことで、出雲大社正門すぐ、「大社門前いづも屋」さんで出雲ぜんざいと🍡みたらし団子をいただきます😋

【出雲ぜんざいと門前団子】
暑い日でしたので、冷たいぜんざいを頼んでみたら、アイスクリームが載っていました。

　口説くない甘さは大人の味わい😋
　とっても美味しゅうございました。
　
　⛩出雲大社の隣りに、島根県立古代出雲歴史博物館があります。小学生の修学旅行でも訪れているみたいですから、私にも理解出来るであろうと考え、入館します。

【島根県立古代出雲歴史博物館全容】
入口までのアプローチが長かったです。
入館料620円。

　先ず入館して驚いたのが、鎌倉時代に建立された出雲大社の心柱の太さ❗️周囲は3mはあろうかという巨木が三本、保存されています。

【鎌倉時代の出雲大社本殿の柱】
直系1.3mのスギの巨木でした。「宇豆柱」《うづばしら》というそうです。

　次ぎにびっくり😱したのが、基本表示が無い限りフラッシュさえ📸使わなければ撮影していいことになっていました。
　となると俄然、興味が湧いて来ました。
一番観たかった平安時代の出雲大社の模型、実物の1/10だそうですが、模型でも画面に収めきれませんでした。
　仕方ないので、横ではなく縦位置から撮影です。

【平安時代の出雲大社の模型】
裏に回ることができ、本殿の高さは模型でも見上げるくらいの高さです。

　模型作りしているモデラーの方なら、これがどんなに大変な作業かが判るはずです。これだけでも観る価値あり❗️
　しばし、見入ってしまい、学芸員の方に補講を拝聴しました。
　ゆるキャラ〝しまねっこ〟も被っている大社造りの千木《ちぎ》の原寸大のレリーフもありました。
　そばで観るとその大きさに圧倒されます。