2021年10月よりディズニーチケット値上げ!これまでの値段推移を踏まえて考察
先月9月24日、東京ディズニーチケットの最大700円の値上げが発表されました。
ここ最近、短いスパンでチケット価格が値上げされているので、「またか!?」と思った方も多いと思います。
いったい改定後の値段はいくらになるのでしょうか?
これだけ値上げしても大丈夫なのでしょうか?
気になって夜も眠れないので、徹底解剖することにしました。是非お付き合いください。
この記事の結論
・これまでの値上げが大きな収益に繋がっている
・1-2年のスパンで価格を見直している
・値上げは正しくやれば何も問題にならない
新価格の概要
今回の値上げで、チケットの値段はいくらになったのでしょうか。
新しい価格表はこちらです。
東京ディズニーリゾートでは、2021年3月から変動価格制が導入されており、これまで1デーパスポートの大人料金は、平日用料金(8,200円)と休日用料金(8,700円)の2パターンになっていました。
それが今回、7,900円/8,400円/8,900円/9,400円の4パターンに改定され、最大700円の値上げが実施されました。
では変動価格はどのように設定されているのでしょうか。次のグラフは現在公開されている10月から2022年1月までの価格変動を表しています。
このグラフを見ると土日と祝日、クリスマスと年末年始は最も高い価格設定となっているようです。また、日曜日の価格設定が土曜日より抑えられており、平日だと水曜日と木曜日が最も安く設定されているようです。
今回の値上げは、なぜ行われたのでしょうか。これまでの変遷から紐解いていきたいと思います。
チケット価格の変遷
まず、ディズニーチケットの価格の推移です。
【ディズニーチケットの値段推移】
1983年:3,900円
1987年:4,200円 (+300円)
1989年:4,400円 (+200円)
1992年:4,800円 (+400円)
1996年:5,100円 (+300円)
1997年:5,200円 (+100円)
2001年:5,500円 (+300円)
2006年:5,800円 (+300円)
2011年:6,200円 (+400円)
2014年:6,400円 (+200円)
2015年:6,900円 (+500円)
2016年:7,400円 (+500円)
2019年:7,500円 (+100円)
2020年:8,200円(+700円)
2021年3月:最大8,700円(+500円)
2021年10月:最大9,400円(+700円)
驚くことに、このデータを見ての通り当初は3,900円で、今の半分以下の価格だったのです。
このグラフからディズニーチケットについて、これまで合計15回、直近は1-2年のスパンで値上げをしていることがわかります。
来場者数の変遷
これだけ高頻度かつ短いスパンで値上げを行なっていますが、来場者数はどうなっているのでしょうか。来場者数の推移についてみていきましょう。
東京ディズニーランド・ディズニーシーの年間入園者数の推移はこのようになっています。
【ディズニー来場者数】
2009年 25,818,000人
2010年 25,366,000人
2011年 25,347,000人
2012年 27,503,000人
2013年 31,298,000人
2014年 31,377,000人
2015年 30,191,000人
2016年 30,004,000人
2017年 30,100,000人
2018年 32,558,000人
2019年 29,008,000人
このグラフをみてわかるように、ディズニーは何度も値上げを実施しましたが、来場者数に直接影響していません。
ここから、いくつか学べるように思えます。
値上げが収益に与えたインパクト
これまで、値上げで一体どれだけの収益インパクトがあったのでしょうか。
例えば2016年のディズニー来場者数は、30,000,000人です。来場者数に大きな変化はないため、この一回の値上げ(+500円)によって1年間で約150億円の利益増加に繋がったことになります。
逆を言うと、このタイミングで値上げをしていなかったら利益150億円の機会損失が生まれていたことになります。そのため、もし2011年から値上げをしていなかったら、、、と考えるだけで恐ろしいです。
つまり、数百円の値上げは数百億円の利益に直結する強力な収益ドライバーになるということを学ぶことができます。
短期スパンでの価格変更
このように1-2年のスパンで値上げをすることには、賛否が分かれると思います。実際のところどうでしょうか。
ディズニーチケットに限って言うと、むしろこのスパンでやったからこそ、これだけ値上げできているともいえます。
顧客には内的参照価格というものが存在しており、現在支払っている金額が大きく影響します。(内的参照価格:消費者が商品を購入する際の基準となる価格「参照価格」のうち、過去の経験などから形成された消費者の記憶の中の価格)
実際、私たちが調査しているサービスでも、NPS(顧客ロイヤルティ、顧客の継続利用意向を知るための指標)のスコアより、契約日による支払額の差異が、支払い意欲に対し、より影響を与えている場合が多いです。
つまり、2011年、2014年、2015年に値上げを行わず2016年にまとめて1,600円の値上げをしていたら結果は違ったはずです(前回の価格次第で、値上げ可能幅が変わるということ)。なので、1-2年のスパンで価格を見直したからの成功といえます。
値上げは1-2年という短いスパンでも、正しく調査して行うと、顧客数に影響を与えることなく実施することが可能です。
今回のディズニーチケットの値上げは、調査の結果、値上げ可能だったため実施したにすぎず、今後も調査していく中で、顧客の支払い意欲上がったら値上げしていくと考えています。
調査に関してはこちらのnoteが参考になります。
また余談ですが、ディズニーは値上げで得た利益をアトラクションやスタッフ研修に投資して、顧客の満足度を高める戦略を行なっているようです。これが継続的な値上げに対する顧客の許容や、揺るぎないコンテンツ力に繋がっていることはいうまでもありません。
まとめ
今回はディズニーチケットの値上げについて考察しました。数百円の値上げは大きな収益ドライバーになる上、短いスパンでも正しくやれば顧客は離れません。
プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。
参考
チケット価格の推移
来場者数の推移
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