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アフロの言葉の肉体性

MOROHAが活動休止を発表した。
僕はそれを知らずに、彼らの「やめるなら今だ」という新曲を聴いていた。「やめるなら今だ」と連呼する曲を全部聞き終わったのに、いつもみたいな怒鳴り声が聞こえない。「でも、おれは続けるよー」とがなるアフロの歌声が聞こえない。

おかしいなと思って調べてみた。裏切られた気分になった。


根っからのファンではなかったけども、彼らの曲が聴けなくなるのは寂しい。彼らの出す音源は僕を唯一無二の独特な感情にさせる。そうさせているのは歌い手の言葉の肉体性というか、平ぺったく言うと言葉に対する率直さみたいなものを彼らから感じるからだと思う。モノを落としたときに咄嗟に手がでてしまうように、彼の口から言葉が出てしまっているように見える。アフロが常々思っていることをどこのお伺いを立てることもなく、そのままの質量で言葉にして音源にしてしまいましたみたい奇妙さがある。

年を取っていくと体を動かさなくなっていき、なまっていく。そして余計に身体が固まっていき、ほぐれなくなっていく。アフロは思ったことをすぐに言葉にしてしまうから、彼の言葉はなまらず、固まらずにしなやかに感じる。それをおじさんになっても続けているから、彼の言葉には俗に言う正直さみたいなのが生まれるんじゃないかと思っていた。

活動休止を知った僕は「ふざけんなよ。全部曲消してしまえよ」と一瞬思った。けども、疲れてしまいエネルギーがないアフロの言葉を聴き続けるのも嫌なのでこれが最善なのかと自分を納得させる。
アフロの持つ言葉の肉体性がなまってきたときに、また曲を出してほしいな。

余談
職場の喫煙所でたまに会う5つくらい上の先輩が退職することを最近知った。役所に転職するらしい。僕はなんで辞めるのかまでは聞けなかった。「いろいろ思うところがあって辞めるんじゃないかな」と自分を納得させて、僕は明日も出勤する。
だいじょぶ、だいじょぶ、きっとだいじょぶ

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