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ホーチミン→プノンペン

ベトナムのホーチミンからカンボジアのプノンペンへ向かっているバスの中にいる。


この間はとにかく暇で、今どこを走っているのかも分からない中で、てもだいたい同じ風景を窓を横切る。携帯はオフライン。

運転手と添乗員は僕の分からない言葉で話を続ける。そして、ときどき急停車したり、ホーンを鳴らしたりする。

街中を超えると一定の速度で走り、僕を僕の知らない土地へ向かわせる。

シャッフルで流れてきた曲を聴いている。
一番初めの曲がGalileo Garireiの「夏空」だった。

そういえば、最近バイトで5回も被らずに、辞めていった学年がひとつ上の人がいた。あまり話しをせずに終わった。

僕のバイト先は気力があったり、社交的だったりする人はわりと少なめで、僕から見た彼もその一部だった。

ただ、彼はバンドが好きで、ギターをやっているようだった。別れた恋人とZepp名古屋であるというGalileo Garireiのライブを数ヶ月後に見に行くらしい。別れる前に申し込んだと言っていた。

僕は苦笑いをした。

僕は、そのバンドの中では「管制塔」が一番好きだという話をした。彼もそれにはもちろん納得した。

彼がなぜGalileo Garireiを知ったか聞いてみると、スクールオブロックというラジオ番組で知ったと言っていて、僕はこの人にはもう少しだけいい人生を送って欲しいなと思った。

僕も彼も、中学の頃にウォークマンやラジカセで夜の時間を潰していたのだろう。

体に熱が通っていないような彼なのに、やっぱり彼には彼なりのエネルギーの根源みたいなのがあって、それが彼を充電して動かしているのだろうなと思った。
そして昔はそれがスクールオブロックであり、そして今はバンドサウンドだったりするのだろうと思った。


僕はこれまで沢山の人と会ってきたはずだけれとも、日本から遠く離れた海外の田舎道を走るバスの中で思い出した人は、彼のことだった。

それはこの曲を聴いていたから必然なのだけれども、どうも釈然としない気持ちにもなる。

きっと、こういう風に今まで会った人のことを、僕の人生のなにかと結びつけて覚えておかないと本当に忘れてしまうのだろうと思う。
だから、オフラインの中に、そして暇の中にある思考も大事にしないとなと思う。




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