中小企業診断士 副読本を読む「経営戦略概論」第5夜
経営戦略論の全体像を把握できる良書として紹介されていた「経営戦略概論」(波頭亮・産業能率大学出版部・2016年)についての読書メモ。第5夜は「バーナードによる組織論」です。
◆なぜ「組織」に注目するようになったの?
・1930年代は世界恐慌が起きた時代。経営者は経営資源を効率的に活用し、組織能力を最大限に高めなければ生き残れない時代に入っていた。
・企業がどのように合理的な経営を行い収益性を上げるかという問題意識が、経済学を発展させていた。
・チェスター・バーナードの研究以降、1930年代~1950年代にかけて組織論の研究が盛んに行われるようになった。
◆バーナードの「組織論」て何なの?
・ホーソン工場での実験結果に影響を受けたバーナードが行った、近代組織論の出発点となった研究。
・ホーソン実験で示された「人間集団としての組織」に注目し、組織を「意識的に調整された2人以上の人間の諸活動及び体系」と定義した。
・その上で、組織が有効に機能するための「3条件」が満たされれば、「生産性の高い組織になる」と主張した。
◆組織を有効に機能する「3つの条件」とは?
・①目標の共有②コミュニケーションのシステム(情報と意思決定のルール)③インセンティブのシステム(モチベーションを維持するための誘因の仕組)
・経営者の役割は「この3条件を常に成立するように組織を運営すること」と主張した。
・しかし「この条件は、現実の組織では実現が難しく、簡単ではない」とも主張した。
次回は、バーナードの研究を受けて発展した「ミクロ組織論」について紹介します。