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中小企業診断士 副読本を読む「経営戦略概論」第2夜

経営戦略論の全体像を把握できる良書として紹介されていた「経営戦略概論」(波頭亮・産業能率大学出版部・2016年)についての読書メモの第2夜です。

今回は、産業革命から100年後の1900年ごろに生み出された、フレデリック・テイラーの「科学的管理法」についてご紹介します。

◇何をした人なの?
・経営学の生みの親の一人。経営管理の機能的枠組みを示した人。
・勘と経験による生産工程を、データを用いた管理法に置き換えた人。
・労働者がより高い生産性を発揮する方法論を考えた人。

◇なぜそんなことを考えたの?
・当時の産業界は、1日15時間労働が当たり前で、収益も労働者に還元されていなかった。
・テイラーは、米国フィラデルフィアの金持ちの家に生まれ、鋳物工場の技士として就職。労働者の立場から「科学的管理法」を考え始めた。
・無駄なく効率的な生産を行うことで、労働者の待遇を変えようとしたことが、研究の動機となった。

◇具体的に何をしたの?
・科学的管理の面では、各工程の原材料や労働者の作業時間、各行程の歩留まり率などを記録し、作業工程と作業動作を計数的に分析した。
・その上で、生産性向上のために、経営資源の主要な要素である労働者と原材料の最適な組み合わせを考えた。
・モチベーション向上の面では、それまでの「名人芸」的な技術を、共通の仕事のやり方として共有していく方法を考えた。

続いて、「科学的管理法」の応用事例として、米国フォード社の「ベルトコンベアシステム」を紹介します。

◇ベルトコンベアシステムって何?
・テイラーの管理法が生まれた10年後の1913年にフォード社が開発したシステム。
・アセンブリー産業(組立型産業)の生産プロセスを設計する際のスタンダードとなっているもの。

◇開発の目的は何?
・安定的かつ安価に大量の製品を生産することが目的。
・バラバラだった生産プロセスを、合理的効率的にすることを目指す。

◇特徴は何?
・機械と作業者を工程順に並べ効率的に組み立てるようにする。必要な部品は作業者の最短距離に動かせるようにする。
・各工程の作業者は常に同じ位置にいられるようにする。可能であれば、製品は機械を使って次の工程の作業位置に運ばれるようにする。
・ベルトコンベア式の組立ラインを使って、組立ようとしている物が、作業に都合の良い位置に滞りなく配送させるようにする。

次回は、ファヨールの経営管理論をご紹介します。

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