中小企業診断士 副読本を読む「経営戦略概論」第4夜
経営戦略論の全体像を把握できる良書として紹介されていた「経営戦略概論」(波頭亮・産業能率大学出版部・2016年)についての読書メモ、第4夜「ホーソン実験とメイヨーの人間関係論」です。
◆どんな実験だったの?
・1927年~1931年にマサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学が、ウェスタンエレクトリック社のホーソン工場で行った実験。
・MITの環境衛生の教授、クレア・ターナーによる「照明や休憩時間」に焦点を当てた研究と、ハーバード大の産業心理研究の教授、エルトン・メイヨーとフリッツ・レスリスバーガーによる「監督者と従業員の態度」の2つの実験。
・人間の心理や生理といった特性を意識した経営管理こそ有効なことを示し、経営学における「人」の発見につながった。
◆実験が行われた経緯は?
・テイラーの科学的管理法が浸透する中、個々の機能の分析や効率化を重視する研究が増え続け、労働者は機械やロボットのように扱われていた。
・ウェスタンエレクトリック社は、工場の生産性を上げる手段として「人」に焦点を当てて考えてみようと、体系的な調査を両大学に依頼した。
・調査対象として、従業員29000人が働く当時最大規模のホーソン工場が選ばれた。同工場ではAT&T社向けの電話機や配電盤などの電気製品の組立をしていた。
◆実験の結果は?
・MITの実験で、照明の明るさや休憩の長さなどの労働環境や労働条件だけでは、生産性をコントロールできないことがわかった。
・ハーバード大の実験で、休憩を長くするとで従業員の交流が増し、精神状態に好影響があること、数人単位の小グループの方が生産性が向上することがわかった。
・さらに、エース級の女工たちを対象にした調査で、休憩の有無や気温の高低、照明の明暗などでは生産性が下がらず、「実証実験のメンバーに選ばれた栄誉と誇り」「工場の名を落としたくない思い」など人間らしい部分が影響していることを証明した。
ホーソン実験は、人間は「機械」ではなく、社会的、組織的な存在であることを証明しました。この実験が契機となり、個人のモチベーションや仕事への参画意識、仕事や社会への誇り、勤勉さという点にスポットが当てられていくきっかけに繋がりました。
次回は、バーナードによる組織論です。
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