中小企業診断士 副読本を読む「経営戦略概論」第3夜
経営戦略論の全体像を把握できる良書として紹介されていた「経営戦略概論」(波頭亮・産業能率大学出版部・2016年)について、読書メモの第3夜です。
今回は、1900年代初頭にフランスの鉱山会社の社長として活躍していた、アンリ・ファヨールによる経営管理論をご紹介します。
◆ファヨールの経営管理論って何?
・企業活動の機能を6つに分類して体系化したもの・
・これらをうまく組み合わせることで「合理的な経営」ができると考えた。
・巨大企業を合理的に運営する方法論として広く支持を得た。
◆なぜこの理論が生まれたの?
・1900年の初めごろは、財閥による巨大企業が勃興しはじめていた。大きな組織では、タイラーが唱えた工場の合理的な管理方法だけでは企業全体を管理できなくなり、新たな方法論が求められていた。
・1890年代末に鉱山会社の社長に上り詰めたファヨールは、会社の業績悪化と統率がとれていない組織状態をみて、経営改善に乗りだした。
・ファヨールは、組織の機能を整理して適切に設計すれば「生産性が上がる」のではないかと考え、経営者の立場から企業を俯瞰した「経営の体系」を示した。
◆どのように機能分類したの?
・①「技術(開発・生産・製造)」②「商業(販売、購買、営業)」③「財務(資本調達、投資、資金管理)」④「保全(人物設備資源の維持管理」⑤「会計(資金分配、人件・原材料・営業費)」⑥「管理(事業計画、指揮命令系統、活動測定、部門間調整)」の6つに分類した。
・①~⑤は、現場のオペレーション活動についての機能にあたる。
・⑥は計画、組織化、企業活動の統括管理機能となる。
前回のタイラーと今回のファヨールの研究によって、「現場」と「経営」の2つの側面で経営学の基礎が確立したことになります。それ以降は、多くの人によって経営についての研究が進められることになります。
次回は「ホーソン実験」と、メイヨーの人間関係論をご紹介します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?