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オラニエンブルガー運河をA~Fデッキまで1日で駆け抜けて得た知見(3):橋のこと

こんにちは、ぼーずです。前回の記事(以下リンクを参照)ではオラニエンブルガー運河の経路、資源周りのことについて、得た知見を書いてみました。
今回は橋のことについて、同様に書いてみたいと思います。攻略記事的なものではないですので悪しからずご了承ください(というつもりで書き始めましたがだんだん立ち位置に自信が持てなくなりつつあります)。

また、この記事ではしばしば「ゲームは最速10ラウンドで終わる。その際の手番数は25手番」のようないくつかの前提のもとに書いている箇所があります。可能であればシリーズ1回目の記事も一読いただいておくとよいかもしれません。

橋のこと

橋は、木材1つを消費することで、辺で隣接するカードどうしを繋ぎ、その間にある経路を跨ぐようにして置かれる構造物です。経路なくして橋は架からないことを忘れてはいけません(経路がない箇所に橋を架けてプレイしていた過去の自分への戒めとして)。
1枚のカードにちょうど2本の橋が架かったら、カードを1回起動できます。1本では足りず、3本や4本でもダメなのが肝心ですね。
「1本の橋を架けるアクションに対して起動できるカードは1枚だけ」という細則についてもあとで掘り下げたいと思います。

橋を架ける魅力とは

橋を架けることの最大の魅力、それは「軽いコスト、少ない手番数でカードを(再度)起動できるから」です。いうまでもないですね。

カードの効果を経路で囲って得るためには、獲得コストをどうにか捻出し、1手かけて獲得して適切な場所に配置し、その周囲をきれいに経路で囲う必要があります。そのために必要な手数が最序盤なら4~6手(獲得で1手、コスト捻出で1~2手、経路2~3手)、中盤以降で経路を再利用できても2手程度(獲得1手、経路0~1手)はかかるのが普通です。
それにひきかえ橋2本を架けるのであれば、(カード+橋が解放された後なら)2手弱で、必要な資源も木材2つだけでカードを起動できます。さらに橋も使いまわしが効くため、中盤以降は2手、配置に成功していれば1手で起動できます。
この2回目の起動までに必要な手数や資源が、1回目に比べて非常に優位であるのが橋の最大の魅力です(ほとんどの場合、カードの起動は経路→橋の順で行われるという前提で書いています)。1枚のカードを5手で1回だけ起動するか、それとも7手で2回起動するかと聞かれたら、事情が許す限り7手2回起動が選ばれて当然です。なお、中盤以降は経路も橋も使いまわせるため、1回目、2回目の起動とも必要な手数が序盤に比べてどんどん少なくなっていきます。

なお、ゲーム中に明らかに橋を架けるべきでない場合があります。それは最終ラウンドで、あと1本橋を架けてもカードを起動できない場合です。
ゲーム終了時に、架けていた橋そのものは1本あたり0勝利点です。1木に1/3点の価値があるとして、カードを起動できない橋を架ける行為はマイナス1/3点行動になるといえます。
もちろん相手に橋を架けさせないために、自分が橋を架けられるワーカースペースを先に使うのは有効な戦術になるでしょうが、例えば同じスペースを「1橋+1道+1小道(4/3点行動)」で踏むのか「3(小道or道路)(最大3点行動)」で踏むのかをきちんと評価したほうがよいでしょう。

ゲーム中に架けられる橋の本数(目安)

経路やカードと同様に、ゲーム終了までに架けられる橋の数をおおよそ見積もってみましょう。
橋を架ける実用的なアクション
 ・カード+橋(最速で4ラウンド目から)
 ・道路+小道+橋(最速で7ラウンド目から)
の2箇所です。最速10ラウンドで終わると仮定すると
 「カード+橋」は7回
 「道路+小道+橋」は4回
使われて計11本の橋が架かります。「道路+小道+橋」は「道路と小道を合計3本」として使われることもあるため、道路を要求するカードが多い場合は11本より少なくなることもあるかもしれません。11本だと仮定しても均等に分けると1人5~6本です。正直全然物足りません。
その補助になるのが、ゲーム開始当初からあるアクションの「3木/3鉱石/3粘土/1橋」です。序盤は効率が悪すぎて橋を架けるのには使われないことがほとんどですが、1ラウンド中に最大2本の橋が架けられるようになる4ラウンド目以降では、カードの早期起動のためにこのスペースが使われる頻度が上がるでしょう。4~10ラウンド目でおそらく5回前後は橋になると想定できます(ワーカーが4木や4粘土を得るために供される回数によって、つまり出てくるカードがどれくらい資源を生むか次第でこの数は前後します)。
そうすると総数は11+5=16本。均等に分け合えば1人8本程度です。現実的な数字になってきました。実際の終了盤面でも8本前後なら平均的な本数だという感覚があります(もちろん相手の戦略にもよりますが)。

ただし、1人8本という数は増えることも、減ることもありえます。なぜなら橋を何本架けてもゲームそのものの進行度(つまり終了条件にどれだけ近づいたか)には影響がないからです。お互いがカードを取ることよりも橋を架けることを優先した場合、橋の本数はもっと多くなるでしょう。
橋を多く架ければあなたのカード起動回数が多くなり、得点は伸びることでしょう。ただし相手も橋を多く架けることを狙っている場合、相手の得点はあなたよりも伸びているかもしれません。
あなたが180点を取っても、相手に181点取られたら負けるのがサシゲーです。相手が2回起動したいカードを多く持っている場合、あなたがすべきは早くゲームを終わらせることでしょう。相手に橋をたくさん架けさせる前にカードを多く取るよう務めましょう。

架ける橋の数、起動できるカードの数

次に、ゲーム終了時までに架けられる橋が8本だと仮定して、この8本の橋で何枚のカードを起動できるか考えてみましょう。さてここで問題です。

(問1)盤上に配置した12枚のカードの上にちょうど8本の橋を架けて、なるべく多くのカードにちょうど2本の橋が架かっている状態にしたい。
このとき、ちょうど2本の橋が架かっているカードの枚数は最大でいくつか。


答えは8枚
です。下図の例1,例2のようにループさせて橋を架ければ、8本の橋で、8枚のカード上に橋を2本ずつ架けることができます。

例1
例2

なお、例1と例2では、これらのカードを起動するために必要な経路の本数はどちらが少なくて済むでしょうか。これは数えてみればわかりますが、どちらも22本で同じです。
では次の問題です。


(問2)上図のように橋を配置したときに、ルールに則って起動できるカードは何枚か。


今度の答えは7枚
です。ちゃんと正解できましたか?
ループさせるための橋を、順番に伸ばして架けていくことを想定しましょう。7本の橋を架けた時点で、6枚のカードが起動できているはずです。

例3

ループを完成させるための最後の1本は、例4の黄色い2枚のカードに対して同時に「橋2本を架ける」という起動条件を満たしてしまいます。しかし「1本の橋を架けるアクションに対して起動できるカードは1枚だけ」というルールがあるため、最後の2枚はどちらか一方しか起動できません。

例4

ということで、8本の橋で起動できるカードは最大7枚になります。

では、架けられる橋が8本じゃないときはどうなるでしょうか?
実は「架けられる橋の本数」と「起動できるカードの枚数」の関係は、橋が何本であってもきちんと法則化できます。結論から書くと、
 橋をn本架けたとき、起動できるカードの最大枚数は(n-1)枚
になります。
反対に「起動したいカード枚数」から「必要な橋の本数」も計算できます。例えば12枚のカードをすべて起動するために、必要な橋は最低13本です。
架け方は各自の宿題にしてみてください。

(以下、解説です。面倒な人は飛ばしてください)
n本の橋をひとつなぎに(枝分かれしないように)繋げていけば、その両端以外のすべてのカードには2本の橋が架かっていることになります(例5の緑のカードです)。n本の橋で繋げるカードは(n+1)枚ですが、そのうち両端の2枚(例5の青のカードです)は起動条件を満たしていないため、起動できるカードは(n+1)-2 = (n-1)枚になります。

例5

n本の橋で一本のループを作った場合、n本の橋で繋げるカードはn枚です。ただし最後の1本の橋については「1本の橋を架けるアクションに対して起動できるカードは1枚だけ」というルールが適用され、2枚のカードのうち1枚は起動できません。そのため起動できるカードはやはり(n-1)枚になります。
(解説ここまで)
余談ですがこのルールがない場合「2x2に並べた4枚のカード上に4本の橋をループさせることで4枚とも起動する」というのが簡単かつ高効率な起動方法になります。このルールがあるのは、単純に橋1本でカードを2枚とも起動できてしまうのがとても強いからとも考えられますし、ウヴェが橋の配置について悩んでほしかったからではないかとも考えてしまいます。

1つの枝分かれでどれだけ損するか

ということで、なるべく少ない橋でなるべく多くのカードを起動するためには、すべての橋がひとつなぎになる(枝分かれしない)ようにするのが大事だということがわかりました。
では、枝分かれさせたときにどれだけ起動できる枚数が減ってしまうかを考えてみましょう。例6、例7では橋を8本架けていますが、起動できているのは緑色に塗ったカードだけです。理論上は7枚起動できますが、例6では6枚、例7では5枚しか起動できていません。

例6
例7

枝分かれさせたときに起動枚数が減るのは「新たなひとつなぎを作り始めてしまったから」と考えるとわかりやすいです。
先ほどの例の、枝分かれから先の橋を別の色に塗り分けてみました。

例6’

例6では橋8本を架けたというより、赤5本のひとつなぎで4枚のカードを、青3本のひとつなぎで2枚のカードを起動したと切り分ければよいでしょう。枝分かれさせた箇所は既に起動しているため(ここで橋による起動が「ちょうど2本」であることが効いてきます)、起動枚数で損をすることになります。

例7’

例7では、赤5本で4枚、青2本で1枚、紫1本で0枚、計5枚のカードを起動したと考えられます。
先ほどと同様に「架けられる橋の本数」「分岐の数」と「起動できるカードの枚数」の関係もきちんと法則化できます。
 橋をn本架け、分岐をk箇所作ったとき、
 起動できるカードの最大枚数は(n-1)-k枚
になります。ちなみにですが、分岐だけでなく橋を飛び地にして架けた場合であっても、分岐1箇所と同様に起動枚数は1枚減ります(新たなひとつなぎができてしまうという本質は同じです)。

橋を架ける順番

ということで、なるべく少ない橋でなるべく多くのカードを起動するためには、すべての橋がひとつなぎになる(枝分かれしない)ようにするのが大事だということがわかりました。
しかしただひとつなぎにしただけでは、n本の橋で(n-1)枚のカードを起動できません。橋を架けていく順番も起動できる枚数に影響するからです。

例として、A,B,C,Dのカードが一直線に並んでいる場合を考えます。

例8

橋を架ける順番が、
 1本目:A-B間、2本目:B-C間(B起動)、3本目:C-D間(C起動)
なら3本の橋で2枚のカードが起動できます。
一方でB-CとC-Dの架ける順番を逆にしてしまうと、
 1本目:A-B間、2本目:C-D間、3本目:B-C間(BとCが同時に起動)
となり、3本橋を架けたのに1枚しか起動できなくなってしまいます(これも先ほどの例でいう、飛び地に橋を架けたために起動枚数が1枚減ってしまう場合に相当します)。

つまり、n本の橋で(n-1)枚のカードを起動するためには、ひとつなぎにしている両端にあるカードから新たな橋を架け続けていく必要があります。
当然橋を架けるためには、その下に経路が配置され、その先にカードがなければなりません。そのように橋を架ける順番を見越してカードを配置する場所を決めることができれば、橋を効率よく架けてカードを効率よく起動できるでしょう。


このゲームを初めて遊んだとき、建物カードを置く場所が自由すぎてどうするべきか迷った方は少なくないでしょう。僕もその一人でした。
橋による起動に限った観点からですが、序盤で取るカードの場所を散らすべきではないと思います。可能な限りひとつなぎに橋が架けられることを見越して、カードどうしを隣接させて置くほうがよいです。
ただし、経路の初期配置が決まっている面のボードで「線路に接しろ」と要求するカードと「運河に接しろ」と要求するカードを隣接させて置くのはなかなか大変です(というか慣れてくると、初期配置が決まっているボードでプレイするほうが得点を伸ばすのが難しいと思います)。
もちろん隣接させるカードどうしの相性(必要な経路の種類、得られる効果の噛み合い)等、他にも考慮すべき要素があるので、固めて置く以外の選択肢がないとは一概には言えません。
このあたりは次回(じゃないかもしれませんが)、個別のカードの特性を掘り下げたときにまた書けたらと思っています。


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