コウモリ イン マイホーム🦇
1.コウモリさんが息子の部屋にやってきた
早朝、４時
夜間のインプット（お勉強）に疲れ、ようやく眠りについた頃
事件は起きた
息子（異次元のビビり）が青白い顔で、呼吸の整わない震えた声で
叫びながら部屋に飛び込んできた
「パパ！やばい！僕の部屋にコウモリいる！」
「は？」
また例に漏れず寝ぼけているのかと思い、目をこすりながら部屋を覗いてみる
そこはたった今までゲームをやっていただろうパソコンのモニターが
灯りの消えた部屋をほんのり照らしているだけだった
「何もいないよ」
「いたんだって！」
カーテンの裏、ベットの下、ぬいぐるみが丁寧に並べられた机の周り
どんなに辺りを見渡しても、虫一匹見つからない
息子（男子高校生）はビビリの極みを会得しており、特に虫には異常に警戒意識を持っているため決して窓を開けることをしない
ましてや、コウモリを部屋に招き入れるなど油断を見せない鉄壁のガード意識高い系男子である
換気口に気配を感じたらしいが、我が家の換気口はフィルター付きのため虫さえ通行不可のはず
伝家の宝刀、ネットでノリで買ったホウキ（未使用）を構える
やっと出番が来たね！
箒で辺りを探りながら、念入りに部屋を探索する
繰り返し、カーテンの裏、ベットの下、ぬいぐるみが丁寧に並べられた机の周り、エアコンの吹き出しからパソコンの裏、クローゼットの中
いない、どこにも音ひとつなく、気配ひとつなく
やり手だな、さすがはコウモリ、一切の気配を殺してこちらを探っているに違いない、長期戦か、やってやる、勝負だコウモリさん
すると、途端にドアが閉められる、何やら外から抑えられている気がする
なるほど、仕留めるまで出てくるなということね
やったる！パパの背中を見てろよ！
僕は電気を消し、奴が動き出すのをじっと待った
宮本武蔵の如く自然と一つになる意識
バサッ！
「いた！いたぞ！出てきた！」
確実に何かが羽ばたいた！小さいながら小回りの効くこの飛行パターンは確かにコウモリだ！ネズミのように小さい躯体、黒く薄い羽、紛れもなくコウモリだ！
「なぜだ、お前はなぜこんなところに現れた？！」
外からは息子の悲鳴と、騒動に気づいて這い出てきたカミ様の爆笑の声！
「お前の居場所はここではないゾッ！」
飜る蝙蝠の動きをなかなか捉えられない
箒を構えて、僕は静かに目を閉じる
心眼だ、見聞色の覇気を使うしかない！
僕は目が異常に悪い代わりに異常に耳がいいのだ
音だけで隣の部屋で誰がどんな動きをしているかを感知できる
音だけで被写体の次の動きを予測できるのだ
なので１００％安全な場所でないとイヤホンができない、怖くて
目を塞がれるより怖いのです
だから一人での動画編集中は有線のイヤホン、普段は骨伝導のイヤホン
カナルタイプは、耳穴が小さくて使用不可という体勢でいる🦻
僕は、心を静かに呼吸を整える
目で見ようとするな、感じろ、蝙蝠の命を感じろ
秘技、天翔龍閃！！！蝙蝠返し！！！
一閃！！！
コウモリさんは、まさか！という顔で床に墜落する！
「安心しろ、峰打ちだ、僕は不殺の朔丸、お前の居場所はここでは無い、
外の世界で大いに自由に羽ばたくがいい」
歓声の中、僕はコウモリさんを外に放つ
「元気でな、いい戦いだった」
時刻は４時３０分、寝不足の一日が始まる
Please wait for the next series….
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