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"運命は性格の中にある"

"運命は性格の中にある"
これは2021年に107歳で生涯の幕を閉じた、アーティスト篠田桃紅の言葉。

彼女の著書の中に出てくるのだが、私の頭では全くピンと来ない一文だった。
でも心の中に漂っていて、最近この言葉をようやく理解をしたのだ。


私には過去に婚約者がいた。とは言っても学生恋愛の延長で2人の感情が昂った結果のおままごとのような約束。現実を見て冷静になり破棄になった。

彼はとあるスポーツの選手で、1年ほどのデート期間を経てお付き合いに至った。私にとっては大恋愛だった。彼と私は生まれも育ちも性格も、全てが正反対だった。
私は今は姿を変えた長期信用銀行出身の父に育てられ、大学は父と同じ大学に進学した。日本であれば高学歴と言われる大学。姉と兄も小さい頃から勉強が習慣で、スポーツはバレエやサッカーなどを嗜む程度だった。
一方彼は高卒の父が築いた家庭で、勉強は二の次とされてきた家庭だった。いわゆるスポーツエリートで、小さい頃からスポーツばかりをしていた彼。活字は全く読めず、漫画すら読めない。映画はいつも吹き替えだった。

本来交わることがない2人が、スポーツを通して出会い惹かれあってしまった。
私にとっての人生最大の学びになった。

仕事において、今もスポーツビジネスを扱う私にとって、選手や一般消費者のペルソナを作るときに欠かせない知識の土台になった。
恋愛において、生まれや育ちは一定似通った人とお付き合いした方が良いという仮説のサポート材料になった。


彼が私に別れを告げたのは、私が仕事で精神的なダメージを受け疲労が溜まっているピークだった。
私との結婚は非現実的だという主旨を伝えられた。その1週間前には愛を囁いていたのにも関わらず。
悲しさなのか怒りなのか、はたまた困惑からなのかわからない涙を流した日々が続いた。

結果的には別れが正解だったと思う。どちらかが我慢するような日々が続いただろう。遅かれ早かれ同じ結果だった。

しかし、当時は生涯を共にすると伝えた相手と一緒になれる覚悟を決められなかった男にしか見えなかった。結果は正解だったが、正直今もそう思っている。
離婚しても良いから一度は大好きな人と結婚してみたいのが女の性なのだ。彼の目標である東京五輪金メダルを獲得するまで、全面的にサポートしようと思っていた。
自分の夢はそのあと叶えれば良いと思っていた。私は覚悟が決まっていたのだ。


最近、パリ五輪の国際予選に出られる日本代表権をかけた大会が開かれた。
彼は結局代表にはなれなかった。

私の頭にふと過った。
"運命は性格の中にある"

覚悟が決められない人間が得られるものなどないのだ。
自戒を込めて。

参考
・『百歳の力』著:篠田桃紅 
・画像: 美術手帖、美術展ナビ、三越伊勢丹

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