横浜雙葉の偏差値に思うこと
2023年の受験が終わり、日能研の首都圏版結果R4が公表されました。
その結果で、真っ先に目を疑ったのは横浜雙葉が偏差値46になっていたことです。
予想R4では偏差値51で、今年の合格者最低点が225/360点と去年よりも高くなっていたので、ちょっと驚きの数値です。横浜雙葉の問題はそれほど難しくないので、そこまで成績が仕上がっていなくても合格する可能性はあります。とはいえ、日能研の偏差値46でR4と言われると、にわかには信じがたいです。
2021年の合格者最低点は195/360点で、この点数なら偏差値46でも通せる可能性を感じます。しかし、今年の225点/360点は、「偏差値46では通せない」とまでは言わないまでも、「確度高く通せる」とまでは言えません。それを日能研が「通った」と言っていることに驚きを禁じ得ません。
10年前は70%程度は得点できないと合格するのは難しいという時代でしたが、近年は60%を切る年もあり、年々難易度が下がっている印象がありました。それでも今年の225/360点で日能研の偏差値46は、横浜雙葉の人気が低迷しているというだけでは説明がつかない変化ではないかと感じています。
横浜雙葉の入試問題の難易度に関しては、10年前から劇的に難しくなったとか簡単になったという印象は持ちません。他の学校の難化と比べると、時代に乗り遅れたと感じるところあります。だからこそ、変わっていないという印象です。それを考えると、10年前の日能研の偏差値46の子が横浜雙葉の問題で225点を取れたイメージがわきません。10年前であれば、日能研の偏差値46の子は、横浜雙葉を受験しなかったと思います。
10年弱で、中学受験生の人数が1万人増加したということもあるでしょう。
中学受験の入試問題の難化が進んでいることもあり、各学習塾のカリキュラムの進度が早くなったということもあるため、全体的に中学受験生の実力が上がったと考えています。その意味で、横浜雙葉の偏差値が著しく下がったというよりも、10年前に横浜雙葉に入れるかどうかという実力だった子が、今は日能研の偏差値46程度になったということなのかもしれません。
横浜雙葉の結果だけでは一概には言えませんが、個人的には10年前の中学受験と比較して、近年の中学受験は様々な点から難易度が上がっていると思います。そのため、今の日能研の偏差値50を維持できている子は、10年前だったら優秀生なのかもしれません。ただ、生まれた時代が悪ったのでしょう。偏差値50なので平均と思われるかもしれませんが、絶対的な能力で言えば、10年前の偏差値50とは比べ物にならないくらいレベルが上がっている気がします。
以前、SAPIXの偏差値に対する記事でも書きましたが、今の中学受験生は相対的に評価されるのではなく、もっと絶対的な評価で認められていいはずです。
偏差値の捉え方は、様々です。何が正しいと絶対的に言えるものではないと考えています。それであれば、ポジティブに捉えた方が良いでしょう。
横浜雙葉の今回の結果からは、確かに近年人気を落としてきているということがわかるものですが、それを必要以上に悲観するようなものではないと考えております。昔と比べて横浜雙葉が悪くなったということはないでしょう。今も昔も、その教育力は変わらないはずです。ゆえに、今回の横浜雙葉の結果は、中学受験の全体的な難化の表れなのではないでしょうか。それゆえに、今の中学受験の日能研の偏差値50は、10年前よりももっと評価されて良いはずです。そうしないと、努力に見合わない不当な評価に劣等感を抱えてしまう子が増えてしまうと考えています。