横浜共立学園の偏差値に思うこと

 昨年、横浜雙葉についての記事を書きました。

 横浜雙葉の去年の結果は驚きでしかなかったのですが、今年も横浜共立学園の1日入試の結果に衝撃を受けたので、それについて記事をまとめたいと思います。

 今年の横浜共立学園の結果は、日能研の結果偏差値48と出ています。

予想偏差値51から3pも下がっています。四谷大塚でも、2023年の偏差値53から偏差値51に下がっています。

日能研のように偏差値50を割ることはありませんでしたが、2015年まで偏差値60だったことを考えると、この10年で相当下がっていることがわかります。それは、当然「人気が下がったから」というのが一番の理由でしょうが、それだけでは片付かないと考えています。

 それは、問題の難易度から見えてきます。この10年、横浜共立学園の問題が簡単になったかと聞かれれば、決定的に「簡単になった」とは言えません。それほど変わっていないと思います。その中で合格者最低点が著しく低くなったかというと、そうでもありません。確かに、2022年の224点、2023年の223点は、以前と比べると低い印象です。しかし、今年は232点に盛り返しているので、やはり「簡単になった」とは言い難い傾向の中にあるかなと考えています。合格者最低点が6割を下回る学校は、偏差値に関係なく戦い方次第で押し込める場合がありますが、さすがに10年前の合不合偏差値51の子を80%で合格させられるかと言われれば、「合格することもあると思うが、80%を通せるとは思えない」としか言えません。

 その違和感は、日能研の偏差値表からも見て取れます。明らかに横浜共立学園の問題よりも簡単なカリタス女子や三輪田学園が偏差値49で、横浜共立学園よりも上になっています。カリタス女子や三輪田学園は問題が簡単とは言え、合格者最低点が7割程度になっています。簡単な問題でもミスなく7割をキープするのは難しいことなので、カリタス女子や三輪田学園の偏差値には妥当性を感じますが、それでも横浜共立学園の方が入りやすいというイメージは湧きません。
 現にSAPIXの偏差値表を見ると、横浜共立学園は偏差値40で、カリタスは偏差値34、三輪田学園は偏差値31と、はっきりと差が付いています。ハイスコア勝負というリスクはあるもののSAPIXの偏差値の方がしっくりきます。

 だからといって、日能研が不正に操作していると言うつもりはありません。事実として、そういうデータが出ているのであれば、それを信じて考察するべきでしょう。四谷大塚も近い偏差値になっているので、その点では信頼値は高いと思います。
 問題の難易度や合格者最低点から考えると、10年前に横浜共立学園に合格した子達と今年横浜共立学園に合格した子の間には、それほど大きな実力差は無いと考えています。ゆえに、日能研・四谷大塚の10年前の偏差値60と今の偏差値50は、絶対的な実力はさほど変わらないと考えて良いのではないかと思っています。
 横浜共立学園の偏差値から見えてくることは、横浜雙葉の記事でも述べた通り、この10年で受験生の全体のレベルが決定的に上がったということだと考えます。この10年でSAPIXは在籍者数を1,000人以上増やしており、Gnobleも成長しており、その2社を中心に今の中学受験業界は小学生の実力を以前よりも高いレベルに上げているのでしょう。特に、ここ2年は決定的に上がった印象です。今年に至っては、改訂版『予習シリーズ』で学んだ受験生の初年度でもあり、さらに実力が上がったように思われます。

 高校受験の指導をしていた3学年の話をすれば、その3学年のTOPは当時の中学受験を断念した子達で、高校受験で翠嵐・学大付属・翠嵐に進学しました。他にも中受断念組がいましたが、軒並み好結果だったことを記憶しています。今の偏差値50程度は、10年前の偏差値60程度の実力です。
 そのさらに前の世代で中学受験を断念するようなレベルの子でも、高校受験に切り替えれば高校受験のトップ校に進学していました。それを思えば、今の日能研・四谷大塚のSS50は超優秀生で、今の偏差値30台後半ですら、10年以上前なら中学受験を断念するようなレベルではありません。

 現高校1年生の代は、6年生から受験勉強を始めて日本大学中学校と東京農業大学第一に合格しました。

しかし、そんなことが起こるのは、その代までです。昨年から決定的に時代が変わりましたし、今年はもう別次元に突入したと思っています。それが、去年の横浜雙葉の偏差値や今年の横浜共立学園の偏差値に表れていると考えています。

 最近の中学受験界を見ると、どうもその時代の変化を理解していない人が多い気がしています。10年前は、横浜共立学園や横浜雙葉の問題に、ほとんど付いていけない子が日能研・四谷大塚の偏差値50のところにいて、その子達ですら大変な思いをして勉強していました。その下に、それにもついていけない子が多くいたものです。
 それを考えると、日能研・四谷大塚の偏差値40を超えていれば、すでに優秀だと思います。でも、そのような評価は全くされていないと思います。その評価の低さが、悪循環を生んでいると感じることが多々あります。

 もちろん理想を言えば上位で戦えた方がいいです。でも、今の中学受験は上位で戦えなかったとしても、決して悲観することなく長い目で子供の人生を考えてあげれば、希望に満ち溢れています。私たちの教室では、今の中学受験をそのように解釈して運営しています。
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