SAPIX偏差値と合判模試偏差値の関係から考える中学受験~合判模試の活用法~
2024年受験も、いよいよ夏期講習に突入する時期に差し掛かりました。前期の模試の結果も出そろいましたので、その結果で得た雑感を記事にしたいと思います。
私たちの教室は、夏期講習前までは基本的に首都圏模試センターの合判模試を受験していただいております。
進路指導をするにあたって模試の偏差値よりも、各御家庭で取り組んでいただく過去問との相性を重要視しているので、模試の結果の方を参考程度に考えています。そのため、模試では学校会場で受験の経験を大切にしており、それゆえに5年生の頃から学校受験ができる合判模試を重宝しております。
とはいえ、難関校を志望している子に関しては、合判模試の結果では冷静に実力を測ることが難しいため、適宜他の模試を受験していただいております。
今年の6年生には、合判模試では実力を測り切れない子が一人おりまして、その子は合判模試を受験するのと同時にサピックスオープンも受験しております。
その子の結果を見ますと、合判模試とSAPIXの偏差値は、だいたい±25の関係にありました。これまでにも、何人かの子には合判模試とSAPIX模試の両方を受けてもらいましたが、ほとんどの場合が+25程度の関係性にありました。ゆえに、だいたいがそのようになると考えております。時代が変われば母集団の実力も変わるので、数値の関係性も変わるのでしょうが、ここ5年はSAPIXと合判模試受験層の実力関係に変化は無さそうです。
さて、ここから見えてくるのは、SAPIXと合判模試の受験層の実力の差、そして模試の問題の難易度の差と考えます。
その点から考えると、合判模試の偏差値70以上の学校を目指す場合は、合判模試では実力を測れないのでしょう。おそらく、合判模試の偏差値70以上に置かれている学校は、そもそも母集団の中に、その受験生がほとんどいないということを意味していると考えます。
ゆえに、合判模試の偏差値60を超えている子は、合判模試を卒業して、他の模試を受けた方が、より精度の高い合格判定が見えてくるはずです。
また、別の視点から考えると、合判模試に対応できない子はSAPIXやグノーブルのような学習塾のカリキュラムに、全く対応できていない可能性が高いとも言えます。
合判模試の問題は、基礎的なことが徹底されていれば対応できます。応用的な学習に対応できている子は、特にテスト対策をすることなく、高い成績になるはずです。ゆえに、合判模試に対応できない子は、高いレベルのカリキュラムでは、基礎が固まることがなく、負のスパイラルにハマってしまう危険性が高いです。
無料学習相談においては、しばしば転塾の相談を受けますが、その判断は非常に難しいです。利害関係がある学習塾関係者が、客観的な意見を申し上げられるものではありません。可能な限り冷静に客観的な意見を述べるように心がけておりますが、やはり限界があります。
それゆえに、最も冷静な転塾判断をする指標として、合判模試の受験をお勧めします。合判模試の結果で偏差値65を超えられない子に関しては、最難関を目指す学習塾のカリキュラムがオーバーワークになっているはずです。その場合、その子に適したカリキュラムの学習塾への転塾をお勧めします。逆に、最難関を目指す学習塾で「苦しいな…」と感じたとしても、合判模試の偏差値65を超える実力のある子は、最難関を目指す学習塾のカリキュラムについていく努力をした方が効果的だと考えます。
夏期講習を過ぎると、転塾を考え始める御家庭が増えてくるかと思います。しかし、その判断を主観的に行うのは、非常に危険です。また、塾関係者の話だけで判断するのも危ないと考えています。そのときに大切なのは客観性です。その客観性も、一つの模試の数値だけでは見えてこないものがあります。それゆえに、合判模試は重要な指標になり、その問題の難易度への対応力は、転塾を考えるときの試金石になります。もし、受験に不安を抱えている方は、ぜひ9月以降の合判模試の受験を検討してみてください。
また、もしお悩みのことがございましたら、気軽に学習相談に足をお運びください。
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