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パンチャーのためのタックル対策(格闘技を始めるかもしれない息子に伝えたいこと28)

 昨日の2019年5月26日(日)午前9時~11時の2時間、パーソナルトレーニングでみっちり格闘技の練習をした。
 昨日の京都は、5月末の午前中にも関わらず、凄い暑さで、行きがけに見た鴨川は水位が大きく下がり、チラホラと川底が顔を出していた。おかげで、ジム内は冷房がかかっていても暑く、マイプロテインのハーフガロンハイドレーター(1.9リットルの水)を空にして、Tシャツも3枚着替えた。
 練習内容は、押し出し有りの総合ルールを想定した上でパンチとパウンドで勝つスタイル「P&P(パンチ&パウンド)」を目指すためのメニューだ。
 昨日は、寝技、組み技に持ち込まれないためにパンチに加えて、組み技とタックルへの対応を入れた実践的なミットとライトスパーをした。
 トレーナーに組み付かれるとゴリゴリにスタミナを削られ、終わった後は声を出すのも辛かった。MMAの試合で、レスラーがストライカーを組みで削って仕留めるパターンがよくあるが、本当に「削られる」と体で理解した。トレーナーはストライカーだけど・・・
 普段は、家からジムまで自転車で片道約40分かかる。しかし、帰りは組み技の練習で削られて自転車を早く漕ぐ体力も、一気に帰る体力も残っていなかった。キコッキコッとゆっくり自転車を漕いで、途中コンビニ休憩を挟んで、1時間半かけてようやく家に着いた。
 組み技恐るべし・・・

パンチャーのためのタックル対策

 僕は三十路記念に始めたボクシングをベースに格闘技をしている。パンチには、拘りがあるからどんなルールでもパンチをメインに闘いたい。
 しかし、パンチャーがMMAルールで闘おうとしたら、どうしてもキックとタックルの二つの大きな壁にぶち当たる。
 このnoteでは、現在、僕がパーソナルトレーニングで取り組んでいる大きな壁の1つタックルの対策についてパーソナルトレーニングの復習も兼ねて書いていく。僕が今、力を入れて取り組んでいる部分と入れてない部分で文章量に大きな差ができるが、「文章量の多さ=僕に取っての重要さ」だと考えてほしい。

そもそも何故タックルを対策しないといけないのか?

 タックルを仕掛けてくる=相手が自分よりも組み技、寝技で上回っている可能性が高い。
 タックルを許すと、「組み→テイクダウン→寝技」と展開していく。どの状況でも、打撃、閉め技、関節技でフィニッシュされる可能性が高い。フィニッシュされなくてもスタミナを大きく削られる。
 つまり、タックルを許すと最悪フィニッシュされ、フィニッシュを免れたとしてもスタミナを大きく削られ、有利に進められるはずの打撃で攻められず敗北する可能性が高くなる。
 つまり、入り口のタックルを防ぎ、最悪の展開を避けるためにタックルを対策する。
 また、グラップラー(組み技系格闘家)はタックルと防がれると精神的ダメージが大きく、その後の試合を有利に進められるという利点もある。

タックルそのものを防ぐ

 1.バーピー

 もっともポピュラーな防ぎ方で、「タックルを切る」という表現は大体バーピーを指す。
 掴まれないように両足をできるだけ遠く後方へ放り出し、上半身で相手を押しつぶす。粘られた場合は、サイドへ回るようにバーピーするとタックルを切りやすい。

 2.前膝を落とし受け止める「受け止め」

 PRIDE10でケン・シャムロックが藤田のタックルにした防御方法。
 胸と下腹を張り、前膝を落とし、受け止める。受け止める際、手は相手の脇を挿すか、相手に脇を挿されない位置に置き、脇を挿されないようにする。瞬間、高強度の無酸素運動になるので、意識的に呼吸をしてスタミナの消耗を抑える。
 受け止めた後に「突き放し」、「振り回し」をすると打撃の展開にスムーズに持っていけるのがメリット。
 胴タックルなどの高いタックルには効果が高い。しかし、片足タックルなどの低いタックルやタックル後サイドに回ってくる相手には効果が低く、バーピーなど別の技術で対応する必要がある。

  ・「突き放し」

 正面で受け止めた場合の返し方。
 「受け止め」と同じく、胸と下腹を張り、突き話した直後にパンチが打てるように姿勢を維持して、両手で突き放す。「突き放し」からパンチをコンビネーションのようにスムーズに打つのが大切で、アッパーが当たりやすい。「受け止め」と同じく瞬間、高強度の無酸素運動になるので、意識的に呼吸をしてスタミナの消耗を抑える。

  ・「振り回し」

 斜めに受け止めた時の返し方。
 「受け止め」後、片手は相手の腕を後ろへ引き、もう片手は相手の肩周辺を前へ押し、後ろへ振り回す。「振り回し」直後も「突き放し」同様にパンチが打てるように姿勢を維持し、続くパンチをコンビネーションのようにスムーズに打つのが大切で、ストレートが当たりやすい。
 タックル中に流れを変えても、相手はタックルの勢いのまま変わった流れに付いていき崩れないため、「振り回し」は、しっかり「受け止め」てからじゃないと決まらない。

  ・「受け止め」の際、脇を挿されたら

a.脇を挿し返して、両手で「突き放し」を決めるか、脇を挿してる手で相手の脇を引き、「振り回し」を決める。

b.脇を挿している手を外側から抱え込み、相撲の「片かんぬき」で間接を攻めると同時に「片かんぬき」をしてない手で相手の腕を引き「振り回し」を決める。

 「受け止め」後、できるだけ早く「突き放し」か「振り回し」を決めて組み技の時間を短くするのと、「突き放し」「振り回し」直後、つまり離れ際にパンチを当てるのが大切だ。
 また、組み付かれ密着されたら、前腕を相手の顎に押し当てて頭の向きを変えて突き放す。前腕を入れるスペースが無い場合は、首を下に押してスペースを作ってから入れる。頭の向きを返ればタックルは返せる。

タックルに入られにくい状況を作る

 タックルそのものを防ぐのも大切だが、それ以上にタックルに入られにくい状況を作り、未然に防ぐ方が大切だ。

  ・タックルに反応できる距離で戦う

 相手のタックルに反応してからバーピー、「受け止め」が間に合う距離を維持する。反応されて防がれると判っていると相手はタックルに入りにくくなる。
 ジャブ、ストレート、フック、アッパー、ボディブローなど、全てのパンチをロングで打つ。
 パンチの打ち終わりに距離が縮まらないようにする。
 普段の構えで腕を適度に伸ばし、曲げ過ぎない。
 パンチでフィニッシュする際に距離を詰め過ぎない。

  ・前足を少し外側に置く

 前足を少し外側に置くだけで、前足が相手から遠くなるため、タックルに入られにくくなる。
 常に少し外側に置くのは、バランスが崩れ、ぎこちなくなるため外側に置いたり、元の位置に戻したりする。
 普段の構えで、牽制の手の動きも合わせて、後ろ足を動かさずに前足だけを前後左右に動かす練習をすると良い。

  ・攻める時に角度を付ける

 パンチで攻めると、胴体が空きやすくカウンターのタックルをもらいやすい。しかし、角度を付けるとタックルに入られにくくなる。
 攻める時は、真っ直ぐに攻めるだけでなく角度を付ける。特にフィニッシュに向けて、パンチラッシュをかける際は、真っ直ぐに攻めがちで距離も縮まりがちになるので気を付ける。

  ・相手のガードを見る

 両腕を上げて守るピーカブーブロック、漫画「はじめの一歩」で一歩がよく使うガードだが、相手がこのガードで固まった時は、カウンターのタックルを警戒する必要がある。
 それは、「ピーカブーブロックで攻めが防がれている=カウンターのタックルが打てる」だからだ。この場合は、焦らずに相手の上体が浮き、ガードが崩れるまで、タックルに反応が間に合う距離を維持し、角度を付けながら攻める。

参考動画1 チャック・リデル

 元UFCライトヘビー級チャンピオンのチャック・リデルのタックルに反応できる距離を維持して闘う技術は、とてもレベルが高い。フィニッシュの際も全てのパンチがロングで打たれていて、カウンターのタックルに入らせない。
 その他のタックルへの対応もレベルが高い。

参考動画2 ジョージ・フォアマン

 このnoteでお馴染みの元プロボクシングヘビー級チャンピオンのジョージ・フォアマン。純粋にタックルへの対応ではないが、「受け止め」からの「突き放し」と「振り回し」を見事に使いこなしている。「角度を付けて攻める」も完璧にこなしている。

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