AlphaDrive/NewsPicksによる品川駅の広告について ー日和るな、貫き通せー
はじめに僕の考えを結論から述べます。
広告の内容自体が不適切だとは思いません。
ただ、一日で取り下げて「不適切だ」と謝罪する動きが軽すぎるし、駅の利用者はもちろんのこと、一緒にこの広告を作り上げた全ての人間に不誠実です。
日和ってすぐ取り下げるくらいなら最初からやるな。
あなた方が自信を持って作り上げた表現なのなら最後まで貫き通せ。
NewsPicksについて
NewsPicksのことはどちらかと言えば好きです。有料会員だったこともあります。
「経済を、もっとおもしろく。」というキャッチに偽りなく、僕のように地方の小さい会社で働いていたらなかなか知りえない新しい経済・社会の動きが知れるし、各界のフロントランナーの話が聞けて楽しい。
こちらの対談は東洋思想的な哲学や美学と社会の持続可能性の接続を試みる内容です。出しているコンテンツにはいいものがたくさんある。
NewsPicksさんの悪いところは保守的なもの、変化しないものを見下すような態度が見え隠れするところです。
まあ、メディアとしての構造上、「新しいことを行って俺たちは社会に風穴を開けられる」という期待感を利用者に与え続けなければならず、それはそれでキツそうですけどね。
真に多様性に満ちた持続可能な社会を志向するのなら、「考えを変えない〈おっさん〉」も含めた全ての人間を包摂する胆力を見せてほしいなとは思います。
保守は悪か?
僕の考えは「必ずしも悪ではない」です。
人類が何千年、何百年と受け継いできた仕組みの中には何かしらの合理的な構造が存在します。その合理性に気が付けないのはお前の視野が狭いからです。
我々がノマドだのギグワークだのなんとなく新しいっぽい単語を生み出さなくても、縄文人はすでに同じことをしていました。昼前に起きてやるときだけ本気でマンモスを狩り、あとは家族との時間を大切にしながら日が暮れたら寝る生活をしていました。
現代人と縄文人、どちらの生活が優れているかあなたは即答できますか。
即答した人間のことはこれからしばらく「フェイク野郎」と認識しますね。
何かあなたの考えが変わるような出来事に遭遇したら、その体験を是非聞かせてください。そのときはきっと、あなたと僕は仲良くなれると思うから。
別に古いやり方が好きって訳でもありませんからね。「ファックスを送ってその確認に電話を入れる」とかはやめたい。
問題は広告の内容ではなく、すぐ取り下げる対応の軽薄さ
広告の内容を問題視する人もいるようですが、内容に問題があったのでしょうか?
全文引用してみましょう。
(終盤、細かいところがよく見えなかったので違っているかも。正しい内容をご存じの方がいらっしゃいましたら教えてください。)
出勤中のみなさま
今日の仕事は楽しみですか。
今日の仕事が楽しみだと思える仕事が増えたら
この社会はもっと豊かになるはず
だから、
AlphaDrive/NewsPicksが
新規事業の生まれる組織づくりをサポートします。
ビジネスに躍動を。
ビジネスに鼓動を。
いかがですか?
広告を取り下げて「不適切でした」と頭を下げなければならないような内容が含まれているでしょうか?
「今日の仕事が楽しみだと思える仕事が増えたらこの社会はもっと豊かになるはず」
おっしゃる通りじゃないですか。
僕だって「いやだいやだ」と思いながらコーヒーで安定剤を流し込んで出社する日はなるべく減らしたい。
簡単に頭を下げるからかえって失礼さに拍車がかかってる
あの広告を「不適切だった」と謝罪するということは、出勤中のみなさまに「仕事が楽しいか聞くのは失礼だったね!てへぺろ!」と宣言してるようなものです。
もとの広告の5億倍失礼。
もっと失礼なのは一緒に広告を作った仕事のパートナー、社員に対してです。
僕がこの広告のクリエーターなら二度と株式会社アルファドライブ、株式会社ユーザーベースとは関わりたくないと思います。
だって、作った人にあまりにも不誠実でしょう。
簡単に「不適切でした」と謝って取り下げるということは、「お前と作ったこの広告は不適切なものでした」と仲間を背中から刺すことに他なりません。
携わった人間はブチ切れていい案件です。
会社の組織づくりコンサルをやっている方々なのでアートや表現にだって明るいのでしょう。
磨いてきた感性を発揮して作った表現ではないのですか。
社長がすべきだったのは「こういう趣旨の広告だ」と説明することであってあっさりヘコヘコ頭を下げることじゃないでしょ。
もう一度言います。
日和ってすぐ取り下げるくらいなら最初からやるな。
あなた方が自信を持って作り上げた表現なのなら最後まで貫き通せ。
ちょっと批判されたくらいで折れちまう程度の覚悟なら二度と広告なんか打つな。
くだらない意見を突っぱねて社員や一緒に仕事をしたパートナーを守る盾ができなくて何が社長だ。
一度出したらブレーキは踏めない。Fuckよりヤバい
己の表現に覚悟が持てない人間には心からの軽蔑を送ります。
矜持のない風見鶏はだいきらいです。
おしまい
投げ銭されると、とてもうれしい