司法試験 短答試験との向き合い方

割引あり

1 司法試験における短答対策の重要性

 司法試験においては論文対策だけでなく、短答対策も重要になります。短答対策の重要性と短答対策の方法についてご紹介できればと考えています。
 

(1)論文平均50点未満でも合格することができる

 まず、短答の配点という観点から考えてみると、論文試験1400点(一科目100点×8科目×1.75)+短答試験175点(憲法50点+民法75点+刑法50点=175)=合計1575点であり、短答試験の点数が占める割合は全体の約11%にすぎません。そうすると、短答は足切りさえ突破すればさほど合否に影響を与えないではないかと考える方もいると思います。
 しかし、その考え方はリスクが高く、また、上位合格を目指していない方(ギリギリでも受かりさえすればいいと考えている方)がとるべき戦略ではないと思います。短答の配点は全体の11%にすぎないという点についてですが、それはあくまでも全合計得点に占める割合における話にすぎません。つまり、皆さんは論文試験で満点取れますか?という話なんです。では、何を基準に短答の配点割合をみるべきかというと、それは合格基準点です(司法試験は受かりさえすればいいわけですからね)。
 令和5年における合格基準点は770点なので、この点数を基準とすると短答試験の点数の割合は約23%になります。全体の2割以上を占めるとなると軽視はできませんし、ここで他の受験者よりもいい点数をとれば論文でのミスをカバーすることにつながるわけです。例えば、短答で140点(8割)とれたとすると、論文一科目の素点平均は45点さえとれば合格できるという計算になります。

(2)足切りリスクは侮れない

 短答試験には各科目毎の足切り(民法30点、憲法・刑法20点)と総合点での足切りがあります。令和5年においては、採点対象者3897人のうち748人も足切りをくらっています。短答足切りの厄介な点は論文の採点がされず成績通知がされないため、翌年以降の試験対策を練るための自己分析が難しくなるという点にあると思います。なによりも3日間かけて書き上げた論文が人の目に触れることなくシュレッダー行きになるというのは……

(3)短答対策と論文対策の関係について

  短答試験の問題は細かい知識が問われているので短答対策=論文対策にはならないという考え方もあると思います。これは正しい考え方だと思います。ただし、この考え方が妥当するのは短答の点数が7割程度まで取れている人達です。
 論文で問われる基本的な知識や思考方法さえ身に着けてさえいれば、6~7割程度の点数はとれるはずだからです(民法に関しては条文の細かい知識まで問われることが多いですが…)。そうすると、短答で7割程度の点数を安定して取れないということは論文試験で要求される知識や思考方法が身につけられていない可能性が高いと思います。
 でも、短答に時間を取られ過ぎると大事な論文対策が疎かになってしまうのではないかという不安があると思います。そこで私が伝えたいのが効率のいい短答対策で時短を図るというものです。この記事の中身ではその方法を皆さんにお伝えできればと考えています。

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