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平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版/宮崎智之
アルコール依存症、離婚を経て、取り組んだ断酒。
自分の弱さを無視して「何者か」になろうとするより、生活を見つめなおし、トルストイとフィッシュマンズなどに打ちのめされながらも、すでにあるものを感じ取るほうが人生を豊かにできると確信する。
様々な文学作品を引きながら、日常の風景と感情の機微を鮮やかに言葉にする。新たに3篇を加え増補新版として文庫化。
以前、Xにこの様なポストをした。
自分だけかもしれないけれど、同じ年に生まれた作家やエッセイスト、漫画家の作品はすごく気になる。今、同じ1982年生まれの宮崎智之著「平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補改訂版」を読みたい。給料日まであと2日。 pic.twitter.com/Igod5VYTsS
— 馬の骨 (@_fogbound) June 12, 2024
小説、エッセイ、マンガ、作品の形態はどうあれ、同じ年に生まれた人の書く文章、描かれる絵にとても惹かれる。その最初となったのが宮崎智之さんのこのエッセイだ。
頭に引用させていただいている説明文を読んだ時は、同世代とはいえ、自分と生き方が違うので少しだけ身構えたが、中身を読んだ時、感じ方は変わった。
もちろん、書かれている内容によって重く感じる所もあるけれど、決して不快にはならない。それは、宮崎さんが自分の弱さを受け入れて、無理をせず書いた優しい文章だからだ。
押し付けられていると感じないから、考えを客観的に見る事が出来たし、良い意味でくだらない所は思いきり笑う事が出来た(紳士は華麗にオナラをするは個人的に一番笑った)。
同じ1982年生まれにぜひ読んでもらいたい。
窓からカッと 飛び込んだ光で 頭がカチッと鳴って
20年前に 見てたような 何もない世界が見えた
すぐに終わる幸せさ すぐに終わる喜びさ
なんでこんなに悲しいんだろう
この本の最初のページに引用されていたフィッシュマンズの歌詞。自分は今までフィッシュマンズを通ってこなかったけれど、どんなメロディで歌われているのだろうと気になって、オフィシャルで音源を聴いた。流れる音とは違って、とても歌詞が切ない。けれど、とても心地良い。