見出し画像

新装版 俳優のノート/山﨑努

戯曲『リア王』を演ずるにあたり、山﨑努が綴ったノートは八冊にも及ぶ。
演技とは?死とは?血縁とは?
身につけた技術に甘んじることなく、思索を深める日々。その果てに結実する、独創的な演劇論。いつしか流れ出すリアの血潮――。
凄烈なプロフェッショナル魂が万人の胸を打つ、日記文学の傑作。

新装版 俳優のノートより

自分は、この本をリア王の知識を全く入れずに読んだ。
だから、この部分はどういった芝居と情景が展開されるのだろうと山﨑さんの言葉と写真を元に想像していた。

もちろん、その全てが合っているとは思わない。全て間違っているかもしれない。

それでも、山﨑努という俳優が、リアを演じるにあたって(いや、演じるではなくリアになると言った方が正しいのかもしれない)、物語を細部まで細かく追求し、自身を追い込んでいるかが文章から強く伝わってきた。その中でも特に印象に残っている言葉がある。

体重の調節は簡単にできる。
痩せたければ食わなければよい。太りたかったら食えばよい。胃袋の大きさを変えればよい。

P61 七月三一日 木曜日より一部抜粋

これをさらっと言葉にして残し、実行する山﨑努の凄さだ。彼はこれを努力とは思っていない。俳優として当たり前だと考えているのだ。その人物として生きる為の。

いいなと思ったら応援しよう!