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【備忘録 #04】ラストイベント 🍠

2023年10月22日(日)、弟は人生最期のライブイベントに行きました。
その時のことを記録として残しておきます。


弟は "つりビット" (2013年結成、2019年解散) というアイドルグループを (おそらくは) 結成当初から応援していました。推しメンはリーダーの 長谷川みずき さん。メンバー内では最年長ですが身長が一番低くて童顔なため最年少と間違われやすかった…とWikipediaに記されています

長谷川さんは弟の X (旧Twitter) のアイコンになっていただいています。
ヘッダー画像は弟が乗っていた車のボンネット…つりビットメンバーのシルエットシールを自作して貼り付けていました。

弟 X プロフィールのスクショ画面

自宅療養となった2023年9月半ばの夕食後、弟は興奮気味に話してきました。
😇「推しのイベントが10月末に阿佐ヶ谷であるから、車で送迎して!」
そしてこんなことも…
😇「兄ちゃんは興味無いだろうから、イベントの最中はどこかで時間潰してて」
それに対して私は…
🤓「時間潰すって言っても土地勘ないし、一緒に入って観覧するよ。それに少しは興味ある」
😇「そんじゃチケット代出すから!あとでチケットの買い方教える!!」
交渉成立です。
ちなみにチケットの番号、弟は『4』兄は『44』でした。めちゃくちゃ縁起悪いですねw

イベント当日まで10日を切った10月13日、こんなことが起こります。

前日の通院で輸血が早く終わったので、病院へ迎えに行った私と昼食したり買い物をしていたのでした。ちょっとした病院からの帰り道でしたが、終末期で抵抗力の落ちた弟にとっては無理がたたったようです。肺炎を発症してしまいました。
喉の症状は数日で治ったのですが、発熱はイベント前日まで続いていました。またこの頃から食事量もめっきり減っていました。

イベント当日の午前中もずっとぐったりとした感じで、両親と私は「今日、連れ出して本当に良いのだろうか?」と話合っていました。午後になって起きてきた弟。「今日行ける?」という私の問いかけに肯きました。
16時過ぎに車で出発。見送りに来た母はコッソリと私に言いました。
「今日、大変な迷惑 (=弟の急変) をかけるかも知れない。その時にはお前にも迷惑かけるけど頼んだね………」、家族にとってはそのくらいに見えていたのです。


往きの車中で目を瞑り黙っていた弟も、都内に入り会場が近づくにつれて話し出すように………おそらくはこの日のため、余計な力を使わないよう蓄えていたんですね。
17時半過ぎに会場近くの駐車場に到着。
仲間とSNSでやり取りし会場前に移動したのが17時50分頃。仲間たちと久しぶりに再会し、弟も嬉しそうでした。
この頃にはここ数日間の苦しそうな表情からは一変して、ちょっと風邪ひいて疲れ気味な弟…というくらいには回復していました。

18時過ぎに入場開始。
番号順での入場なので弟は最前列へ。兄は初参加で雰囲気を知りたいのと、なにより弟の監視をするため後方のカウンターに陣取りました。

 - 最前列にて -
開演が待ちきれなさそうです
- 兄が自宅に送った弟写真 -
両親ともこの数日の表情からは考えられない、楽しそうな表情だと言ってました

- スペシャルフード「ほくほくとろーりキーマカレー」-
- 物販メニュー … 弟が持っていなかったのはTシャツだけ、ヲタクの鑑 -

😇「買ったTシャツ預かってて」
🤓「はいよ。手に持ってる券が "チェキ券" てやつ?」
😇「そう。兄ちゃんも撮る?」
🤓「えっ!オ、オレはいいヨ……恥ずかしい……」
😇「そうか残念(笑)。なんでも飲み食いしてね、払うから」
🤓「カレー食べたよ。さつまいも入っててビックリした」
😇「推しの好物だからね」
上の写真ではこんなやりとりをしていました。
この数日間固形物を食べなかった弟も、フライドポテトとスペシャルドリンクを飲食したようです。

19時開演。
初めてお目にかかる長谷川さんは、ポスター写真とは違ってすごく大人びた印象を持ちました。Wikiの情報は何だったのか、素敵なお姉さんです。
こういうイベントは初参加だったので最初は緊張していましたが、今回は「アニソン祭り」ということで実はすごく楽しかったです。アニメヲタク度で言えば 兄>>>弟 ですので(笑)。
歌やトークをする長谷川さんを食い入るように見ている弟の後ろ姿がたいへん印象に残っています。
当日のイベントの様子は、長谷川瑞さんのYouTubeチャンネルからショート動画をお借りしました。

なんと弟は抽選会で色紙が当たりました! 持ってますねw

1時間半ほどですべての演目が終了。その後チェキの撮影会となりました。撮影に並ぶ人の列が少なくなるまで、弟は仲間たちと歓談していました。その時の様子も写真に撮ってあります。

いよいよ弟の撮影の番。
長谷川さんと話していた弟が突然私のことを指差しました。それにつられてこちらを見た長谷川さん、すごくビックリした表情が忘れられません。こちらもビックリして思わず手を振ってしまったのと「今日、すごく楽しかったです」と言いました。
この時の様子を帰りの車中で尋ねました。
🤓「こっち指差して、今日連れてきてもらった…とか話したの?」
😇「あれがワシの"マネージャー"です、って話した」
🤓「なんじゃそりゃ(笑)」

会場を出て入口でたむろするヲタク仲間たち。
表紙の写真はその時に仲間が撮ったものです。後日いただきました。
歓談も終わりいよいよ解散の時間。二次会に向かう仲間たちを見送り、私たち兄弟は帰路につきました。

弟のヲタク仲間で特に親しかったご友人がおります。
この前月 (2023年9月) にもわざわざ横浜の端っこまで弟に会いに来てくれました。その時に面識を得たのでお話ししやすかったのですが、この会場でこのようにおっしゃってくださいました。

「ぼうじぃ (弟のヲタネーム) 東京スカイツリーの展望台に登ったことないって言うんで、また今度仲間たちで案内しますよ。浅草にはみんなで行った肉料理屋もあるんで、ぼうじぃの体調良くなったら是非」

これを聞いた私は大変うれしかったのと同時に、申し訳ない気持ちもありました。弟はこれ以上良くなることはないと確信していたからです。
ただひと言、

「ありがとうございます」

と申し上げるのが精一杯でした。
この方からはたくさんの枝豆もいただきました。食事がほとんどできなくなった弟も、この枝豆は「美味しい美味しい」と食べていました。

弟は温かいコミュニティに居て、いい友人たちを持てたんだなと思った一日でした。
あらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。


帰りの車中、イベントの感想を話しあっているうちに弟はウトウトとしだし、寝ている間に帰宅。
無事に帰って来た姿に母も安心したようでした。
帰宅後にこんなポストを残しています。

また翌日の通院輸血中にはこんなポストも。

残念ながら「楽しかった事」をポストすることはありませんでした。急速に症状が進み、心と体に余裕が無くなってしまったからだと思います。この後のポストはイベントに関係無い二つだけです。
この日に弟が撮影したかもしれない写真は共有ストレージにアップロードされず、ロックのかかったiPhoneの中に残ったままです。どんな写真を撮っていたのか気にはなりますが、このままそっとしておこうと思います。

このタイミングで推しメンである長谷川さんのイベントが開催されたのは、今思い返してみても何かしらの導きや奇跡なのではないかと考えることがあります。
弟は長谷川さんや仲間たちに会えたことに大変満足していました。そして心の中ではみんなに今生の別れを告げていたのだと…そんなことも思います。
長谷川瑞さん、そして仲間たち……弟の最期の時間に楽しい思い出を残してくれて本当に感謝しています。ありがとうございました。


【その後①】
旅立ちの際、弟の着ていたシャツはこのイベントで購入したものです。当日被っていた帽子やイベント終了後に撮った仲間たちとの集合写真、病気発覚時にいただいた寄せ書きの色紙も一緒に持って行きました。
また組んだ手には、この日撮影したチェキを握らせました。

- 葬儀にて -
真ん中の色紙が当選したもの

【その後②】
2024年2月18日(日)、長谷川さんのソロイベントがありました。
今回は兄が一人で参戦……弟から教わった買い方を思い出しながらチケットを購入。10月にお会いした人たちに再会することができました。
イベントは歌ありトークあり昼間からお酒ありでとても楽しかったです。
10月には遠慮したチェキにも挑戦! 長谷川さんは、10月に弟が指差しただけの兄を覚えていてくれました (弟の写真持ってたから分かっただけかもw)。
イベント後は浅草に移動し、弟も仲間たちと行ったというシュラスコ屋さんで二次会。
弟の好きだった世界やその仲間たちのことをより深く知って理解した、たいへん充実した一日になりました。

 - 弟と一緒に観覧 -
さつまいもバターデニッシュ🍠 は即完売

これからも、兄弟揃って長谷川瑞さんを応援していきます。
🤓最後までお読みいただき、ありがとうございました😇

「いつか世界を釣り上げます」


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