夜のピクニック 恩田陸 著
佐藤優が絶賛との情報あり、読んでみました。
恩田陸さんについて
1964年生まれの女性である。宮城県仙台市に生まれ。幼い時は、父の仕事の影響で各地を転々とした。大学は早稲田大学教育学部。卒業後は生命保険会社で働いたが、激務のため入院。それを機に退職。元々大好きだった小説家の道に。
1991年、『六番目の小夜子』が日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となり、その翌年に作家デビューを果たす。
あらすじ
夜を徹して全校生徒が80キロを歩くという、北高の伝統行事を題材にした小説であり、甲田貴子と西脇融の関係性を軸に話は展開してゆきます。
(茨城県にある高校の、夜通し歩く行事を元にした作品です。恩田陸はこの高校の卒業生で、実際に参加もしていた。)
『みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。』というフレーズが出てくる。長距離を、しかも夜を徹して歩くという非日常に加えて、卒業を控えた高校生3年であるという刹那感。そうした状況全てが、登場人物の関係性、内面に徐々に変化をもたらす。
大きな事件が起こるわけでなく、ただ少しずつ友人同士の関係性に変化が出てくる。
非日常の状況では、日常ではとても考えなかった様なことを考えたり、言えない様なことを言えたりする。
なぜか分からないが、人は周りの環境、状況に影響を受けて、それが人生に大きな影響を知らぬ間に与えたりもする。
(夏休み明けくらいから、ずっと歩行祭のこと考えてるじゃん。考えてるっていうか、ずっとどこかで気に掛かってる。でも実際はたった1日で、足が痛いとか疲れたとか、文句言っているうちに終わっちゃうんだよな。)
と西脇融がゴール近くで呟いた。しかし非日常の影響で何かが変わっても、それはあくまで非日常であり、その後不安になったりする。
感想
青春時代の、短い非日常を切り取って、その機微を見事に表現している。
恩田陸の代表作
蜜蜂と遠雷、ネバーランド、3月は深き紅の淵を、ネクロポリス などなど