短所を言い合うことで仲良くなれるか
〇短所を言えるか
最近、人の短所をその人に直接言ったことはありますか?
・自分勝手
・飽きっぽい、集中力がない
・短気、せっかち
等々、その人に直接言うのであれば、言ったほうが良いということもあるのでしょうが中々言いにくいですよね。
言うことが良いとか悪いとかは関係性によるところが大きいでしょうし、ただムカついてか、本当にその人を思って言っているのかとか、判断することは難しいことでしょう。
多くの人は直接は言わないのではないかと思います。(あまり人とたくさん交流があるわけではないので私の主観ですが)
他の人に愚痴と言う形で吐き出してしまうのが人間ですよね?
短所を言った後の雰囲気を考えると言わなくてもいいかと思ったり、自分にも短所はあるだろうしとか、指摘したことを私は出来ているのか、色んなことを考えてしまい、口に出すことははばかられるのではないでしょうか。短所は長所でもあると言いますし。
言った後の雰囲気は絶対良くはならないですよね?私もすぐには受け入れられないと思います。私の場合、私は言わないようにしているのにという心理も働いているかもしれません。
短所を指摘してくれる人というのは今、誰にとっても貴重な存在であるとは思いますが、心は言われたくないと不快の反応を示し、その気持ちは言葉や態度にも表れてしまいます。あの時あなたに言われたおかげでと早い段階で感じられれば良いのですが、わざわざ関係をぎくしゃくさせたくありませんし、悩まれる方もおられるのではないでしょうか。
〇布薩
私が通っていた僧侶の資格を取る学校である大谷専修学院では、一度だけ「布薩」という時間がありました。
学院の生徒は寮に入っていまして、その中で班に分かれています。私の班は八人いまして、その八人でお互いの短所を言い合うという時間だったと記憶しています。自分以外の七人に短所を一人ひとり言っていく時間です。
私はこんな時間取るの仏教を学んでいるこういう学校だけだろうと思っていましたが、友人に話したら「会社でもやるとこあるね」って言ってたので驚きました。
元々布薩というのは、仏教の修行僧が月に2回戒本(戒律の条文)を読んで、確認や反省、懴悔をするという時間です。自分を省みる時間は大切ですよね。専修学院ではそれを人に短所を言ってもらうという時間を設けていました。
同じ班の人たちは、1年間寝食を共にしているのである程度の関係は出来ていますし、事前に言われるわけですので「ミチ君は〇〇なところかなぁ」という話を割と先にする人もいますのでこのときに言われたことが今でも引っかかっているとか、このときに言われたことで変われたとか、そういったわけではありません。正直、このときは当たり障りのないことを言っていたと思います、八人もいますし。
でも、時間を設けて短所を言い合うというのは、いい人間関係を築いていくのにはいい方法なのではないかと思います。わざわざ時間を設けなくても言える人もおられるでしょうけど。
誰もがもっている短所はその人の恥ずかしい部分でもあるし、プライドが傷つく部分でもありますし、そのお互いの短所を共有するということでその人との距離は縮まるのではないかと思います。
人の長所はうらやましいですが、短所は「分かる、私もそうかもしれない」となるときもありませんか。その人の短所というよりも、多くの人が同じ短所をもっている、人間の短所という感じがして共感が出来るのではないかとも感じています。
また、短所を共有し、短所を自覚する時間をもっていれば、その短所があらわれたときに一呼吸おけるのではないでしょうか。短所もその人の一部ですから、変わったことをしているという自覚はありません。そしてしっかり短所を全部出しきったあとに、「やってしまった」と気がついたり、気がつかないまま人を嫌な気持ちにさせてしまったりということがあるから、短所はネガティブに捉えられます。
簡単なことではないですが、短所を自覚・共有するということがあれば、短所が出ているときに、自分で気づく、もしくはお互いの頭の中に話をしたときのことがもし出てくれば、その場の雰囲気が変わるということもありうるのではないでしょうか。
〇日常で行う
短所を受け入れる、もしくはその人の短所を認めるということが大切であることはおそらく多くの人が分かっていることだと思います。
どうしたら受け入れる、認めるということが出来るのか、それは自分の頭の中に自分の短所を意識するという時間を増やすということしかないのではないかと思います。そのために自覚する、共有することが大切ではないかと書いてきました。
と言いましても、普段の生活の中で欠点を言い合おうなんてことには中々ならないだろうと思います。そこをなんとか
あなた「仏教では布薩っていう時間があるらしいよ」
相手「布薩って?」
あなた「お互いの短所を言い合うらしいよ」
相手「なんで?」
あなた「仲良くなれるらしいよ」
相手「・・・」
くらいからでも試していただきたいと思っています。その結果関係が悪くなったらすみません。受け入れる、認め合うという前提で時間を持ってくださいね。
人間誰にでも短所があるのなら、気づいたもん勝ちだと思います。短所があるということをネガティブに捉えずに、みんなにその短所があるからこそ共有出来る、簡単な言い方ですが仲良くなれるという意識をもっていきたいと思っています。