WSDのエッセンス-5年間を本で振り返る
アドベントカレンダーって懐かしい。
子どものころ。飾っていた気がする。毎日1個ずつ穴をあけるのが楽しみだった。そんなアドベントカレンダーがこんな事にも使えるのかと驚いているところ。青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム(以下WSD)の仲間からのバトン。「WSDってなぁに?」という方はこちらの記事を読んでいくとWSDと呼ばれる人たちの輪郭がつかめるかもしれない。
https://adventar.org/calendars/5033
さて修了から間もなく5年。もう5年前の今頃はE-learning での動画視聴は開始していた。受講前後から今まで読んできた本と共に感じた事や考えている事を触れてみようと思う。だってこれまでもnoteでは本の紹介だったり、本から感じたことを書いてきたのだから、そこはこだわろうかなと思って。
森玲奈著『ワークショップデザインにおける熟達と実践者の育成』
この本が凄い好き。実践者の熟達の過程を丁寧に研究されていて、実践者のインタビューが載っているのだけど、実はWSDの講師の方もインタビューされている。WSDとしてどう進んでいけばいいか右も左もわからなかった私はこの本を読んで未来を想像した。5年前は熟達した実践者が今よりも少なかった気がする。身近にいた人だけじゃモデルケースが少なかったところから、この本を何度も読んだ。折に触れて読み返しもした。
修了から5年が経って思うのは、最近WSDを受講している方々はすでに何年もワークショップを実施されていて、改めて学びに来ている方が多いと感じている。キャリアも十分。ワークショップが一部の社会に浸透していっているのを感じる。
安斎勇樹著、早川克美編『芸術教養シリーズ21 協創の場のデザイン―ワークショップで企業と地域が変わる 私たちのデザイン5』
京都芸術大学のワークショップの授業の教科書です。私が一番最初に手にしたワークショップ関係の本。この本は写真をたくさん使って、ワークショップの実施までの手順が丁寧に描かれているのが前半、後半は実践者のインタビューからポイントが描かれている。この本の出版は2014年なのでそれ以前の実践者の話が読めるのは貴重だと今も思う。
森さんと安斎さんの2冊は2015年から2016年に読んでいた本で今も覚えている本。他にもファシリテーション関係や会議の場でのファシリテーションの本などを読んだ。あと、森さん、安斎さん、山内さんお三方の共著『ワークショップデザイン論-創ることで学ぶ』もぜひ。
清水淳子著『Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』
グラレコの教科書。正しく教科書。大変お世話になりました。2017年にWSD25期の修了生スタッフをさせていただいた時にグラレコ担当をしまして、その時大変お世話になりました。最近グラレコをするコトはほとんどないけれど、それでも折に触れて読む、教科書。アイコンの書き方や人の書き方、色の使い方どれをとっても参考になる。絵が下手な人でも描きたい気持ちがあれば、なんかそれっぽくなる。グラレコを通して、絵も大事だけど場を構造的に読んで、伝えることができるかどうかの方が本当は大事。あと、どの立場の人から見た話を描くのかで中身は全然変わってくる。俯瞰する視点を鍛える意味でもかじってみることをオススメする一冊。
大塚久雄著『共同体の基礎理論 (岩波現代文庫―学術)』
こちらはワークショップというよりもコミュニティについて学びたくて、、、というか卒業研究の参考文献。WSDの受講時は京都芸術大学通信教育部芸術教養学科というところに在籍をしていて(大学は休学中)、その卒業研究(社会人の学びなおしについては近々UP予定)。
さて話は戻って本について。初版1955年。経済学の本なのだけれど、コミュニティの真理が書かれているなと思っていて忘れられない。この時2018年。WSD修了から2年が経っていて、ワークショップ単体よりも、ワークショップを通じての場創りやコミュニティづくりに興味を持ち始めていた頃。既に幾つかのコミュニティに参加していたり、見ていたりして、長く続いていて、運営者の関係性のよいコミュニティってなんだろう?と考えて、仮説を立てて動き始めていた。この本の中で触れられている事は間違いなく私の中に息づいている。コミュニティは地域に根差している存在だということ。されどその概念が変わり始めているのではないかと感じている今日この頃。
加藤文俊著『ワークショップをとらえなおす』
この本を読んだのは2019年ごろ。実はこの頃あまりワークショップの本を読んでいない。ただ、世の中的にワークショップの本が増えてきたの頃ではないかと体感している。その中の1冊なのだったけれど、とあるイベントで加藤さんご本人にお会いした事があって、それで興味を持った本。中身ではWSDについても触れられていて、本当に私にとってもワークショップをとらえなおす機会になった本。2019年って世間的にもワークショップ熱が高まっていっているのを何となく感じていて、ビジネスとしてのワークショップが増えていっていて、実際私も依頼が増えた一年だった。
吉田秋生『海街diary』
そして2020年。あっという間にコロナに包まれた中、この漫画の空気感がとてもワークショップ的だと思うようになっていった。人と人との関係性の構築や思考の深まり方。「覆面饅頭食べに行こう」こんな感じの台詞がなんどか出てくる。この一言の先にある展開。話を訊く姿勢。景色。
ワークショップの環境デザイン、ファシリテーションデザイン、プログラムデザイン、そしてグランドデザイン、すべてのエッセンスが読めば読むほど感じられる。。。
と、私は思っているのだけれど、共感してもらえるかどうかはわからない(笑)ワークショップってデザインという言葉と一緒になっていることから何となく想像できるかもしれないけれど、そもそもは形がない。本に出ているようなプログラムの型はその著者の方だったり、先人達が実践を重ねたうえで導き出した結晶の様なものだ。その通りにやってみただけで必ずしもうまくいく、料理のレシピとは違って、自分という存在がどう在るのかという事が凄く反映される。そういう意味では能や歌舞伎に近いのかもしれない。
明日は、、、
WSDとして学び始めた時から印象に残っている5冊についてあげてみた。いまでもワークショップってなんなんだろうってすごく考える。きっとこれからも考える。その思いに寄り添ってくれる存在はこれからもきっと大切な存在。
明日はとうとうクリスマスイブ。
メリークリスマス!!
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