ヨーロッパ周遊買い付け 途上
ご無沙汰しております。天野です。
2021年10月から始まりフランス、アムス、ドイツと周り、現在は自分のホームグラウンドとも言えるロンドンにいてます。
ブログの更新自体数ヶ月ぶり。書きたいことは山ほどあったのですがなかなか時間が取れず。過労からか、一昨日鼻血を噴き出してからここ丸二日間寝込んでおり、少し体力も戻ったところで自己内省を含め、書こう。といった感じです。
書きたかったことというのはやはり、「人」のこと。
僕がロンドンを愛してやまない理由。「人」
今回は僕がロンドンで出会った素晴らしい人々の中から地下鉄(メトロ)の職員をやっているJayをピックして書いていきます。
Jayは僕が今住んでいる家の最寄りのchalk farm st.で改札の横にいつも座っているおじさん。(働いています)身長180cmくらいのクルクル天然パーマでいつもミント味のガムを噛んでいる。
ある日僕が買い付けでクタクタに疲れた体で帰路についている時、いつものようにchalk farm駅で電車を降りる。降りた直後に気付く。手袋片っぽ無い。
電車の中だー。またやったー。
この手袋、失くした二日前に買った超お気に入りのやつ。イギリス軍オフィッサーのレザーの超いけてるやつ。
僕はよく落とし物をします。ドイツでは財布。アムスでは読みかけの文庫本を宿に置き忘れてきました。イギリスでも入居から3日で家の鍵を。
多分日本に帰る頃には裸になってるんじゃないかな。
最優先で直すべき悪癖です。
終点のEdgewareまで追いかけるか。ここの駅員に一旦頼るか。でもロンドンの公務員でまともに取り合ってくれた人今までいないしなあ。
当時夜中の10時。翌日も朝6:00からマーケットに行く予定が。終点まで行く体力も残っておらず、とりあえずchalk farmの駅員さんを頼ってみることに。
僕「Edgeware行きの電車の中に手袋片っぽ置き忘れてきてしまったのですが。」
ここで取り合ってくれたのがJay。僕のアホみたいな問い合わせにも気さくに対応してくれた。
Jay「手袋、それは大事なものなの?」
僕「めっちゃ。二日前に買ったばっかで超気に入ってたんだよね。」
Jay「オーケー。最善を尽くすよ。」
Jayはそう言った後、すぐに僕が乗っていた電車が通過したであろう駅に一つ一つ電話をかけ始めた。
Jay「ヘイ。俺の友達が電車の中ですごく大切な手袋をなくしちゃったんだけど。それっぽいものが見つかったらすぐにかけ直してくれ。」
およそ八つの駅に一つづつ。
これ、ヨーロッパじゃまず有り得ないことです。
日本とヨーロッパでは働くことに対する認識が大きく違っているため、何か尋ねても、適当にあしらわれることもしばしば。アムスではAKを担いだ警察官が駅前にタムロして草を吸っている光景も見られました。
そんなヨーロッパでここまで真摯な対応をしてくれたことに、感謝を超えて驚き。一瞬手袋のことなんて忘れかけました。
数十分かけて彼は探してくれたのだけど、残念ながらその日は見つからず。
Jayと連絡先を交換し、見つかり次第僕に連絡をくれることに。
しっかりと感謝の気持ちを伝え、最後にずっと疑問に思っていたことを尋ねました。
僕「Jayはどうしてそんなに人に親切にできるの?」
Jay「Giving good to others will make me good.
I know it, that's all.」
(人に善いことをすることは自分にとっても善いことなんだ。俺はそのことを知っているだけなんだ。)
食らいました。
その考え自体はイエスの黄金律のように古くからあるものだけれど、それを地で、ストレートに実行できる人ってなかなかいないのではないでしょうか。ましてやヨーロッパの人間から見たら異国民である僕に。コロナの影響でアジア人への風当たりも強い中。
ありがとうJay。
やっぱ住もう。ロンドン。
幸せの余剰といいますか。
難しい事だけれど、打算なしで人に与えることのできる人で在りたい。
僕はアホなのでこんな素晴らしい人との出会いもすぐに忘れてしまうだろうから、書き記そう。と思った次第です。
読んでくれた方、ありがとうございました。