午睡する父の病室にて

外の寒さを忘れさせる柔らかな陽の光が、病室の大きな窓をとおして父のベッドを照らしている。

昼食後ウトウトしていた父は眠ってしまった。その父の横顔を暖かな陽がおおう。

ひとまわり小さくなってしまった輪郭。筋肉がすっかり落ちた脚。ガサガサになった握りこぶし。

気持ちよさそうに寝息をたてる父は、眠りの世界にいる。

お父さん、今まで顔を合わせても言わなかったけれど。

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