「ウコチャランケ」を知っていますか?
あなたはウコチャランケという言葉を知っていますか?
私は、ウコチャランケを昨日はじめて知りました。
ひょんなことから母が自宅でアイヌ刺繍のワークショップを開催することになり、刺繍教室の終わりに講師の浦川まき子さんとウコチャランケをすると言うのです。
ウコチャランケは、アイヌの言葉です。
私はワークショップを開催するにあたりイベントの告知をする過程で、ウコチャランケの意味を調べ、母を介してまき子さんに確認しました。
ウコチャランケとはこんな意味です。
「ウコチャランケ」とは、
ウ=互いに、
コ=~に対して
チャ=言葉、
ランケ=降ろす
互いに思っている事を言葉として降ろし、皆に聞いてもらうという意味のアイヌ語です。
ウコチャランケという言葉を構成する語を聞いて、私の胸にはグッと込み上げるものがありました。
ウコチャランケの「ウ」に掛けて、ウッと来た、と言ったほうがいいかもしれません。
ウコチャランケの音から場面をイメージする
音声学には詳しくないですが、口をすぼめて「ウ~」と発音する様をイメージすると、まさに互いに相手の顔を見つめながら向かい合う場面が浮かんできますし、「コ」の発音も相対して舌を叩きつけ、息を出すイメージです。調べたところ、[k]の音は奥舌面と軟口蓋(口腔後部)で調音する音でした。
○カ行音……カ[ka] キ[ki] ク[ku] ケ[ke] コ[ko]
日本語で最も語数が多いのが、カ行、ガ行で始まることばです。
カ行の子音[k]は、奥舌と軟口蓋でつくる破裂音です。奥舌を軟口蓋につけて息の出口をふさぎ、息をはき出すとき、この閉じた部分をつき破ることによって発します。
出典(トレーニングメニュ「日本語の発音」)
「チャ」の音は、「ペチャクチャ」の「チャ」と同じ。軽く弾み踊り出す言葉たち。
「ランケ」はちょっと聞き慣れないですが、関西方面の語尾に似ている気もします。口から「チャ」=言葉を「ランケ」=降ろすなんて、絵にすればまるで漫画の吹き出しのようです。
ウコチャランケと現代における議会の比較
まき子さんに「ウコチャランケ」の意味を確認すると、ウコチャランケをするときは互いを平等に見ていて、上下関係も中心も外側もないことがわかりハッとしました。
たとえば小学校の学級会では、先生がテーマを設け生徒を導いたり、目立つ子が一番に発言して皆がそれに追随したり反対したりするのに、ウコチャランケは誰もが平等なのです。
これは、日本における議会の現実とはまるで異なるあり方のように思います。
議会では主流派の意見、それに反対するもの、中立やそれ以外の意見があり、何らかのパワーバランスが働いてすべての意見が平等ということはありません。数ある意見の中から主流派が生まれるのは仕方のないことですが、それでも私は主流派以外の意見が評価されず忘れられるのは悲しいです。
アイヌ刺繍ワークショップでは、そこで生まれた生の言葉、その言葉ひとつひとつに耳を傾け、ウコチャランケを味わいたいと思います。
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