夏痩せは嘘

　夏は近くに買い物に出ただけで、汗びっしょりになって、パンツまで濡れてしまう。家に帰ってタオルで汗を拭うと、それだけでタオルは何とも言えない臭い匂いを放つようになる。シャワーを浴びて、着替える。そしてエアコンの効いた部屋で何をするでもなく過ごすのがいいようだ。
　ただし間食などを摂るのはあまり利口な選択ではない。既に栄養は体を行き渡り、過剰になり内臓にくっつき、腹は出て、体脂肪計に乗ると、もしそれが警告音が出るようなタイプのものであったとしたら、けたたましい音で注意喚起するであろう。
　あれだけ汗を掻いたのに、運動量は足りないようだ。夏痩せするという言い伝えはあれは嘘である。夏痩せするからスタミナのある物を食べようと、過剰に高価な鰻なぞを食してしまえば、それはそのまま腹に溜まってエネルギーとして消費されることはない。ましてやエアコンの効いた部屋で一日デスクワークをして運動などさっぱりしない毎日であれば尚更である。
　年齢のせいもあるかもしれない。代謝が確実に悪くなってきているのだ。それなら食べるのを控え、運動をするしかないのだが、暑くてそうもいかない。秋が来るまで運動は勘弁してほしいところであるが、秋になれば食欲は益々増えて、どうしようもなくなる。そして己の腹は益々貫禄をつけていく。