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携帯電話

 皆から遅れること数年、気づけば持っていないのは僕だけになっていた。致し方なく携帯電話なるものを買った。だが妻以外、いっこうに電話がかかってくることはなかった。それでも世の中は携帯電話を持っているのが常識になって行き、勿体ないなあと思いながらも携帯していた。そのうち会社からも携帯電話を持たされた。これは流石に頻繁にいろんなところから電話が掛かってきた。それなら個人の携帯電話は必要ないじゃないか、と思うようになった。
 しかし世の中は、既に携帯電話からスマートフォンに代わっていった。妻と子にはスマホを持たせたが、僕は不必要と思い携帯電話のままにしていたが、LINEができないと、世の中からつまはじきにされるような雰囲気になったので、僕もスマホを買うことにした。相変わらず電話は掛かってくることは稀だが、LINEはよくくるようになった。
 スマホは実に面白い。小さなコンピュータなので、電話以外にもたくさん使い道がある。すっかりスマホは生活の必需品になり、手放せなくなった。
 ところで皆さん、買ってすぐの通話テスト以外で、最初に携帯電話を使った時のことを憶えていますか?
 僕は公衆トイレに入って、用を足した時に紙がないことに気付いて、外で待っている妻に電話したのが初めてでした。「紙、かみくれ~」
 便利な世の中になったとその時実感しました。
 
 

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