生と死の狭間で-響子のキャラクター⑥

響子は、2月生まれのロマンティストな魚座。
情に厚く、苦手な人でも困っていたら助ける。
また好みでないタイプでも押されたら断りつつも
絶対ダメな人以外なら「こういうところいいかも」
と、良いところを見つけるのが得意な響子は相手に
押し切られて付き合うこともこれまでは多かった。

16のパーソナリティでは、熱意に溢れる運動家。
クリエイティブかどうかはさておき、自由奔放で
笑顔になる理由をいつでも見つけたい社交的な性格。
なので、ちょっと飲みに行けば、ちょっと一人旅に行けば
老若男女知り合いが増えて仲良くなる。

幼馴染なじみの悟には「コミュニケーションおばけ」と
言われるほどのコミュ力があるらしい。あるらしいと
いうのは、響子自身は「人見知り」であり、本来は
変態変質者に好かれて育った経緯もあり、男性嫌い。
加えて、変な人たちのせいで人間不信まで拗らせている。

コミュニケーションおばけの一例を言えば、2回目の
海外旅行で行ったグアムでは、日本人親子で来られ
ドイツでオーボエ奏者としてオーケストラ入りを目指す
遥と出逢い、後日、日本で響子のお店に来店してくれ
女子トークをするまでの仲に。初の台北では札幌美人
大晦日から新年に打ち上げられる花火を観に響子たちと
同じように日本から来ていた2人組女子と年越し。
マリーナベイのスイートを3人で泊まっていた響子たちの
部屋にその2人を招き入れて明け方までお喋り。
そのうちの1人真百合と数ヶ月後には彼女に会いに
札幌までLCCで日帰りで行って、回転寿司デート。

遠方だけでなく、大阪は十三でもラーメン屋さんに
並ぶ際に「最後尾ここですか?」という会話から奇遇にも
同い年の吾郎と仲良くなる。一時は吾郎の働く職場で
住み込みで一緒に働かないかという話も貰うもさすがに
付き合ってもいないのに、同居は厳しいのでお断り。

一人旅で石垣島に行くと、夕食に選んだひとし本店では
隣席になった東京からのお客様と意気投合、2軒目に梯子酒。
京都での一人旅ではアルゼンチン人に話しかけられ
スマホを介して会話を。こうやって人と知り合う響子。

星が大好きで、念願の夢だった青ヶ島に行った際には
飛行機で東京から八丈島へ。一泊してからの青ヶ島。
あいにく予約でいっぱいで泊まること叶わなかったが
大阪を発つ前に知り合っていた八丈島の民宿の女将さんに
「八丈島ではここに行けばいい!」と相談に乗って貰い
「その御礼を」と宿に顔を出した響子。

ちょうど子どもたちの運動会の打ち上げで飲み会最中
「あがって飲んで行きな」と粋の良い女将さんに誘われて
八丈島の島民と島焼酎なさけ嶋で乾杯。たくさん
ごちそうちなり、なんと次の日の目的地青ヶ島での
島民にも繋いでくださるという心意気。

実は2泊する予定の民宿には、2泊目から主人である
元村長さんが東京に行ってしまうということで主人不在。
他の民宿からは断られて「2日目は軒下でもいいので」
と無茶を言う響子に「甥っ子に言うとくから使いな」
と、2泊眠れる場所を確保していた響子だが島生活。
「ご飯をどうするかな」と考えていた矢先、八丈島で
知り合った島民の1人が青ヶ島の友人に繋いでくれ
島では珍しいパスタと焼肉に御相伴預かるという奇跡。

なんなら青ヶ島で1日目の夕飯後に元村長さんに連れられ
行った居酒屋で知り合った方々と仲良くなったので
2日目はそちらにも誘われた響子。残念ながら、星観たさに
島中を、これまた八丈島で仲良くなった東京から1人で来ていた
好青年なおくんと青ヶ島で合流して彼のレンタルした
レンタカーに乗せて貰って移動していたので、おじさん
たちとは合流出来なかったものの、そのおじさんの
1人とは、人生初の釣りを青ヶ島で体験させて貰うという。

二重カルデラ。神様のいる島。誰しもが
訪れられる地ではないと言われる断崖絶壁の青ヶ島。
何度来ていても時化て釣りが出来ない人もいる。幾度
訪れていても絶景の星空を観れない人もいる中で
なんと響子は、それを1回の訪島でどちらも済ましてしまう。
風に愛され、天気を味方にする強運の持ち主。

そんな響子だからこそ、出会いと別れを繰り返し。
色んな人と御縁を紡いで来た。響子の真の良さを
知ろうとする人。知った人は離れられない。なぜなら
響子を大事にする人には、響子も大事に想い大切に。
また響子自身のラッキー体質が周りの人にも恩恵を
もたらすことも、少なからずあったからだ。

例えば、2回目の海外旅行。グアムに行った際には
ラッキービジネス。何もしていないのにランクアップ。
イルカウォッチングではイルカに会えたうえ、本来なら
泳げない海域での海遊も5分程だが許されて魚たちと戯れる。

2018年の星空日本一の称号を持つ長野県阿智村での
星空鑑賞では、大風直撃の予報であったが当日は
何度か雨に降られながらもまばゆいばかりの星たちを
標高1,200mから友人たち4人で観ることが出来た。
仲のよい幼馴染悟はアーティストのチケットがよく当たり
響子を誘ってくれ、B'zや米米クラブなど多数のLIVEに。

おじさんたちにも可愛がってもらえ、たくさんたくさん
安いところから高いところまで連れて行って貰った。
「響子ちゃんといると楽しい!」と誰もが口を揃える。
高校生時分にはよい意味で「一家に一台」や「男たらし」と
心無い学友の言葉も貰ったことがある。

響子とて、打算や演技をしているわけでない。
自然と身につけて来たもの。身についていたもの。
そもそも、男女問わず、年齢関係なく、響子は
誰に対しても素直でフラット。気を遣うことは
あれども、差別や区別はすることがない。天性か
そういう響子だから、一緒にいる人も自ずと
自然体で楽しめる。寛げるのである。だから、
おじさんに限らずおばさんにもモテる。

時には、苦手な人も確かにいる。
年々、人間不信を拗らせている響子。
調子良く生きている人が男女ともに嫌いだ。
人生をうまく生きれない響子にとって天敵。
世の中行き渡れる人が羨ましくて仕方がない。
ないものねだりだが、まぁ向こうもそう思って
いるんだろうと勝手に解釈することでよしとする。

また、人の言動や表情に敏感な響子。
同調したり気持ちを察して汲んだり、協調性が強いため
病んでいる人や自我が強い人が壊滅的に苦手だ。
最初は話を合わせて気持ちを汲み取るが、だんだん
響子自身が病んでしまったり、なんでこんなに
振り回されないといけないのかと疲労困憊に。
そんな響子だからこそ、明るく強く引っ張って
振り回すのではなく力強くリードしてくれる人を
求めてしまうのである。

本来なら、響子自身がみんなの太陽。
烏滸がましいかも知らないが向日葵のように
ピンと背筋を伸ばし、燦燦とした陽の光を浴びて
眩いばかりの笑顔で人々を元気づけたい性分。
今の響子にはそんな元気は残っておらず、奇しくも
響子を元気づけてくれる人が現れるのを今か今かと
期待して現れないことに心を擦り減らして行く一方であり、
世の中、王子様が現れることはないんだと現実をみる
響子であった。

               つづく

#創作大賞2024 #7部作

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