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ヒーローは静か

今年の春から、食料品は供給力や需要が大きく変化しました。例えば牛肉価格はコロナ発生により価格が下落。これは需要の減少を示しています。一方、卵の価格はコロナ発生直後に上昇しその後は下落しており、需要と供給が大きくかつ複雑に変化していることを表しています。


吉野源三郎「君たちはどう生きるか」という本に、粉ミルクの話が出てきます。主人公のコペル君が、粉ミルクが自分の手元に来るまでに非常に多くの人の手が介在していることに気づく話。私はこれを「ロジ(ロジスティックス)担当はエライという話」と解釈しています。

https://www.amazon.co.jp/漫画-君たちはどう生きるか-吉野源三郎/dp/4838729472


コロナの状況では粉ミルクの業者も、在庫をどれだけ持てばいいのか悩んだはず。同様に、食品の原材料を扱う私の働く会社でも、トレーディングや物流を担当する部門の人は大いに悩みました。欠品したら大変ですが、価格が下落する局面で大量の在庫を持っていれば大損だから。

もし粉ミルクが毎日無事に届けられたとしたら、ほとんどの人はコペル君のようには気づかないまま、ロジ担当が日々格闘していたはず。だからエライのです。


以前、こういうこともありました。船舶のロジを担当者しているメンバーが、運行状況の悪化に苦しんでいます。他に替えが効かない商品なので、届かないと大問題。彼は一部のルートを陸路に切り替えたりして、何とか難局を乗り切りましたが、周りから見れば結果的に「何も起きなかった」のと同じでした。

同じように、ピンチになる前に危機を事前に察知して回避の対応をしたら「何事もなかった」ことになります。


カール・ワイクは、不測の事態に上手に対応できる高信頼性組織の特徴として「オペレーションの重視」を挙げています。大事なオペレーションを支え、企業の信頼性を高めているのが、ロジ担当だと思うのです。こういう仕事が好き。

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