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読書note-1
「黄色い目の魚」
佐藤多佳子
新潮文庫
あまり読書をしなくなっていた10年ほど前、書店で「サマータイム」を買って読んだ。当たりだった!少年と少女の瑞々しい交流を描いた作品で佐藤多佳子さんを好きになった。
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小学生だった長女に読んでみたらと渡したら気にいったようで何度も何度も読み返していた。
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そんなにお気に入りの作家さんだったので、少し分厚いなぁと思いながらも「黄色い目の魚」を手に取ってみた。表紙の今時の高校生の男女の後ろ姿が目を引いた!これは読んでみようと購入を決めた。
右側の男の子は、スポーツバッグを持っているのはサッカー部でキーパーだから。実は癖になっている落書きのような人物画がとても上手い。小学生の頃に離婚した父に会い、その父が絵が好きで作品展に出品するわけでもないのに絵を描き続けていた。ただし、人の絵は描かない。そんな父の穴を埋めるように彼は人物画ばかり描く。
左側の女の子は好きより嫌いが多く、あまりに真っ直ぐな気性のため周りとぶつかり浮いてしまいがち。両親と姉の4人暮らしながら、彼女は家族から愛されていないと感じ、近所に住む叔父の漫画家兼イラストレーターの家に転がりこむことで精神の平穏を保っていた。
そんな二人が同じ高校で同じクラスになり、美術の授業で男の子が女の子の肖像画を描くことでお互いに少しずつ惹かれていく。そしてお互いの気持ちを確かめ合う。その最高なタイミングでのどんでん返しとその後がまたいい!
もどかしく感じる部分もあったが、棘だらけだった女の子が柔らかくなり優しさが見えたのが嬉しい。青春小説って好きだわ。