中学受験(関西圏のトレンド)

前回は、中学受験の費用について述べました。小6の1年間と合格してからの初年度にかかる費用は、地元の公立中学校に通うことより200万円くらい多くかかります。それだけの教育費をかけるのは、大抵の場合には親から子への愛情なんです。稀に親の意地や見栄もありますが。

さてさて、そんな中学受験にもいくつかのトレンドがあります。


まずは、高校入試の廃止。

甲陽学園(兵庫県)は2009年にすでに廃止。東大寺学園(奈良県)は2024年から廃止。

高校入試の廃止は、「高校からの入学生が内部進学生より学力が高いために、内部から批判があったから」とか「経営が思わしくない」などと噂されていますが、実際のところは「高校入試で入学する生徒の学力が低いために、高校からの生徒を入れて内部進学生にハッパをかけたり、全体の底上げをはかることが出来なくなった」からに尽きます!

今から40年ほど前の僕自身の経験では、灘中は165人、高校からは55人ほどが入学しました。平均した学力は、新高生(高校受験組)>内部進学生(中学受験組)でした。ただし、トップ10はほとんどが内部進学生でした。

大学進学実績は、概数ですが220人(理系140人、文系80人)の卒業生に対して、東大が110人、医学部70人(東大理Ⅲ20人含む)。早慶、その他国公立大が50人。その他10人。医学部進学は、全体で35%くらいでしたが、高校受験組は55人中22人と40%。高校受験組が内部進学生と比べても学力で引けをとっていないことがわかります。

しかし東大寺学園の2020年度高校入試では、受験生241人に対し196人が合格。実質合格率が1.22倍。数学の合格最低点は28点。これでは、なかなか学力の高い生徒を確保できません。それならと言うことで中学受験の定員を増やすことになりました。高校入試廃止はその流れの延長線上にあると言えます。

灘校は、中学から3クラス170人、高校から1クラス50人。次に中学から165人、高校から55人(僕はこの時代です)。高校受験組の学力低下に伴い2000年あたりから、中学から180人、高校から40人となりました。

これは、少子化ではあるが受験熱の高まりの中、中学受験が増加していることで、優秀な生徒がすでに中学から入学していることが一因です。

また、関西は公立高校(大阪府の北野、天王寺、京都府の堀川など)が復権してきています。経済が停滞するなか、私立の有名校に進学するには通塾に費用がかかります。中学受験せずに優秀な公立高校を選択するのは、家計に優しいと思います。この公立高校の復権を喜んでいるかたは一定数いることでしょう。


次に、関西圏は男子校、女子校の共学校化が進んでいます。有名なところでは、洛南(京都府)、西大和(奈良県)、清風南海、高槻(大阪府)です。

洛南、西大和、清風南海の3校では、優秀な女子が入学することで、全体的にレベルが高くなり大学進学実績の伸長が著しいものとなっています。高槻中の共学化は2017年4月からでした。他の共学化した学校と同様に大学進学実績の伸長があるのかに注視しています。


以上のようなトレンドを見て僕が思うのは、「高額な費用のかかる中学受験を避けて、高校受験で公立高校のトップ校を目指す」という選択肢はありだということです。経済的なコストパフォーマンスが非常に高い!

ただし、関西圏の公立高校の入試でトップ校を目指すならバランスが良くないといけません。5教科と副教科4教科の内申点がオール5(5段階評価)がないと厳しい。そのためには、定期テストの成績、授業態度、クラブ活動、生徒会活動などで品行方正であることが求められます。それは息の詰まることかもしれません。

大阪府では独自に英検2級(高校卒業程度)の取得が受験に優位(入試で英語は80%保証)になります。2019年では、中1から計画的に準備して中3時に2000人が取得。この制度により底上げがはかられ、大学入試実績にも反映されています。

北野高校と灘高の両方に合格して、北野高校に進学したという話を2年連続で耳にしています。選択は自由です。こういう贅沢な選択ができるのは素敵なことです。

皆さんのお子さんが受験する頃には、またトレンドが変わっているかもしれません。しかし、第一志望校に合格するために努力して合格する。その達成感はその後の人生において有益です。それは時代が移れど不変であると言えます。

今回は中学受験のトレンドでした。ではまた。

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