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航海の息遣い

シャワーを浴びていると懐かしい匂いがしてきた。窓のある外を入浴している匂いが漂う。
浴室の洗い場に降り立ち、わずかに歩くと薄くなった水色のタイルは水のようにひんやりとする。わけもなく踏まずにいた格子線は足を割るように深く刻まれている。分厚くて水色をした湯船には湯が張られたまま、冷えていた。けっして冷たくはなかった。ガラス戸を開けた瞬間の、ぼやける蒸気立ち込める昨晩の湯加減を見たからだろうか。大衆浴場の水の残り方をしていないような気がする。無作為的な流動とは異なって、どれも昨日みていた肌の動きがそこにはあった。


・白昼夢の湯舟・




・*-*-*-*・
こんにちは、お久しぶりです。

先月終わりから今月にかけて、今までとは異なる詩の書き方をしていました。A5ノート見開き半ページを一区切りとして、その日書いたら次の日はその続きに書くと言った具合です。繋がりはまったく気にせずにただ書きたいように書きました。1日で大体付箋紙1枚分くらいになります。もちろん数行の日も全くかけない日もあって、日記と詩が入り乱れているような、場面描写が飛び散っているので、長さだけを見ると体裁は散文調のような…。終わりのよくわからない文章ができつつあります。

これをZINEにしたいと思いながら、以下にその進捗と今月読んだ本の話をしています。


・新しいZINEの進捗
大きさと手刷りで制作することとなんとなくの表紙は決まったのですが、詩にもかかわらず今打ち込んだ段階で2000字近くあるので本文レイアウトに苦戦しています。印刷するとノートに書いたときよりもぎっしり窮屈としてしまうのです。納得のいく字間と行間の隙間をまだ見つけられていません。

・今読んでる本
今月は1冊をゆったりと読みました。多和田葉子さんの『アメリカ 非道の大陸』です。『容疑者の夜行列車』の旅物語シリーズ第二弾らしく(青土社HPより)、前回は夜行列車、今回は車です。今回も目次を開いただけでわくわくしました。わたしは第十二章と第十三章が好きですね。読んでいると急に『ゴットハルト鉄道』の「隅田川の皺男」のシーンを思い出して、再読したくなりました。
今はハン・ガンさんの『引き出しに夕方をしまっておいた』と多和田さんの『溶ける街 透ける路』を読んでいます。


ではまた来月、ここでお会いしましょ〜。

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