読書記録『2050年の世界 見えない未来の考え方』
世界の今を知り、そして5つの観点から2050年の世界を予測する本書。
世界を国別またはグループ別に分け、現状を説明。
例えば、アメリカは人的資源の豊富な超大国、カナダは穏やかな移民国、イギリスは高等教育のレベルが高い一方で格差柄大きい、フランスは高級品産業が発達している一方で労働環境が悪く不幸せに感じている人が多いなど。
さらに、人口・環境・貿易・テクノロジー・民主主義の、5つの要素から世界の今後を予測し、国別の2050年の状態を描いていく。
人口
先進世界が高齢化し、中国とインドの人口のバランスが変化して、アフリカの人口が急増する。
移民政策をとるか、仕事と社会のパターンをかえるか。環境
人口が増え、生活水準が向上することで環境に負荷がかかる。これまでのように人間の英知によって課題を解決するためのフロンティアを切り開く必要がある。貿易
開かれた国際貿易は維持されるが、国内での生産は増える。テクノロジー
進歩し続ける民主主義
あまりうまくいっていないが、手探りで進むことになる国が多いだろう。
そして、以下に記す10の不安と10の希望を述べている。
10の不安
1アメリカの政治体制が崩れる
2中国、インド、アメリカの関係が悪化する
3ロシアが強く出過ぎる
4サハラ以南が貧困から抜け出せない
5宗教戦争が勃発する
6環境の悪化と気候変動を元に戻せなくなる
7新型コロナウイルスの影響が尾を引き、そこに別の新たな脅威が襲いくる
8中東がさらに不安定になる
9情報革命は恩恵をもたらさせず弊害を生み出すかもしれない
10民主主義への脅威
10の希望
1中間層の世界
2アメリカはいまよりも穏やかになり、居心地がよくなり、自信を深める
3アングロ圏の台頭
4中国 世界最大の経済国は攻撃から協調へと転じる
5EUは中核国と周辺国に分かれる
6インドとインド亜大陸
7世界におけるアフリカの重要性が高まる
8グローバル化は、モノの移動からアイデアと資金の移動へと方向転換する
9テクノロジーが社会課題を解決する
10人類と地球のより調和のとれた関係
その上で、未来は以下のようになるだろうとしめる。
中国とアメリカは対立を続ける
インドは世界第三位の経済国になる
中東は一触即発の状態が続く
ロシアは扱いづらいパートナーのまま
アフリカが繁栄をする
テクノロジーは進歩を続ける
中間層が増える
終盤に書かれた著者の想いが、未来への前向きな姿勢を感じられた。
未来を冷静に予測し、不安と向き合いながらも不安に飲まれず、前向きに漸進していく気持ちを持ち続けたいと思いました。