見出し画像

マルチ勧誘が美パイだった。心機一転。現代人は美パイを見習え!

マルチ商法にはまった旧友は元気だろうか。

2年前、私はチェーンのイタリアンレストランでマルチ商法についてプレゼンを受けた。友人に売りつけるとお金が手に入る不思議な化粧水と乳液。

マルチ商法にはまったその彼は、友人と知り合いの境目くらいだった。そこまで仲良くもない。彼は当日になると「紹介したい人がいる」とか言いだし全く知らない謎の女性を連れて来た。


遅れて来た彼女は美しい乳だった。

ぽわぽわの真っ白ぱいぱい。


旧友よ、このむっつり野郎め


ガリガリの私と美乳の美女とむっつりスケベの3人で構成されたテーブルは異様な空気を放っていた。

「お金ってこんなに必用なんです!」

パイ美さんは、大金の重要さを述べていた。
今のお給料だと70歳まで働かないといけない事や入院費用など緊急時のお金の足りなさを、しきりに語った。またパイ美さんは「今ここで頑張れば、FIRE(早期リタイア)も夢じゃない!」とも言っていた。

むっつり野郎は隣で「仕事ってつらいよな」とアホな感想を述べていた。お前はパイ美さんの何を聞いていたんだ.…

そんな彼の視線はパイ美さんを見ている様でパイ美さんの美しい乳を見ていた。
ぜったい見ていた。
このむっつり野郎め。真面目な話だぞ。失礼だぞ。そんなに、ぽわパイが好きか?パイの事ばかり考える男性って最低ね!


当時の私は(FIREはちょっといいよなぁ)とは思ったが、今の私は(FIREってそんなに良いか?)と思う。

NHKでFIREの特集をしていたが、「不労所得で暇になった1年間は良かったが、その後は暇すぎて再び仕事を始めた」という意味不明な事を言っていた。

どうやら現代人の苦痛の一つに<退屈>があるらしい。哲学の本にも書かれていた。
なにも現代人だけではない。ヴェルサイユのような時代から貴族達は暇に襲われ、逃れる術を探っていたという。
昔は暇に襲われるのは一部貴族だけだったが技術の発展した現在では、庶民にいたるまであらゆる人々が<退屈の狂気>に襲われている。

芸術に狂った貴族と違い、ただポチポチするだけのソシャゲとかSNSとかYouTubeを狂ったように使う現代人は<暇つぶしが下手>なのだろう。ぽわパイの芸術性を見習え、全く、、、。


パイ美さんは働かずに、自由に暮らしたいと言っていた。むっつり野郎も同じく、今の仕事を辞めて、マルチで不労所得を得たいと言っていた。

ただ、私が
「いや、マルチ勧誘っていう労働してるじゃないですかwww」

と煽るとすごく嫌そうな顔をしていた。多分、本人たちは自覚がないのかもしれないが、<マルチ勧誘という崇高な暇つぶし><仕事という低俗な暇つぶし>と同列にされるのが嫌だったのだろう。

今の私は仕事を辞めたいとは思うが、その時間をYouTubeに吸い取られるくらいなら<仕事という暇つぶし>でも悪くないと思う。

少し話が変わるが、税金は全国民に<仕事という暇つぶし>をあたえる意味合いもあるのかもしれない。
弥生人が人生の大半を、生きるための稲作(仕事)に費やしたように、過剰に税を取ることで、仕方なく、生きるために仕事、に費やすようになっている。しかも徴収した税は仕事のない暇人に仕事を生み出す。不必用な公共事業とかさ。

税金は、労働という苦痛を与える代わりに、暇という狂気から守っているのかもしれない。みな、「平等に苦しむことで生の実感を得る!」みたいな。

最も私は働かず、毎日散歩とかお昼寝とかしてたいんだけどねぇ…鳩とか猫とか眺めたいし仕事してる暇なんてないんだけど。


パイ美さんとむっつり野郎と囲んだ、アイスティーとミルクティーとパンナコッタとバスク風チーズケーキとフライドポテトとフライドチキンは、とても美味しかったのでマルチ勧誘も悪くなかった。
彼らは、アイスティー1杯しか頼まなかったので、3800円の会計の内3000円が、野口3人が、私の財布から消えることになった。

お金って、想像以上に、いっぱい必用かもしれない。


パイ美さんは、あの2時間楽しかったのだろうか。むっつり野郎は今もやりたくない仕事をしているのだろうか。

何はともあれ、マルチ勧誘で心機一転、火のついた私は筋トレをはじめた。

私もパイ美さんみたいな誇れるものが欲しい。やっぱり美乳のため保湿とかするのだろうか?ベビーパウダーとかファンデーションかもしれない。あの西洋絵画のような美しさには敬意を表したい。生まれ持った骨格だけでなく、相当な努力がいるはずだ。

だから私は腕立てを初めた。


そして2年3か月、


いまだに貧乳である。


努力不足。


あ~さっぱりさっぱり。


いいなと思ったら応援しよう!