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『LIVE STAGEぼっち・ざ・ろっく!PART2 秀華祭』を配信で見ました。

『LIVE STAGEぼっち・ざ・ろっく!PART2 秀華祭』を配信で見ました。

いわゆる舞台版『ぼっち・ざ・ろっく!』のその続編です。
作・演出は悪い芝居の山崎彬さん。
昨年上演されたPART1がアニメ版の1話~8話を舞台化したものでしたが、今回のPART2は9話~12話までの舞台化になります。
(先日公開されたアニメ版『ぼっち・ざ・ろっく!』の劇場総集編『ぼっち・ざ・ろっく!Re:』もそういう配分でわけられていましたね。)
PART2は9話~12話の舞台化。アニメ見た人に伝えると、つまりは江の島に行ったり、SICK HACKのライブを見たり、文化祭でライブをする、あのらへんの舞台化になります。
PART1が後藤ひとりが結束バンドに入ることになって、バイトを初めて、逃げたギターを見つけて、オーディションライブを勝ち上がって、ぼっちちゃんの家に一回集まって、チケットを路上ライブして手売りをして、そして台風の中でライブをする……というのに比べたらやっぱりやってることが少ない。
というわけでPART2はどうなるんだろうと…半ば戦々恐々としながら見ることになりました。
結果から言えば、よりカオスに!でもよりライブに!なった舞台版『ぼっち・ざ・ろっく!』だと思いました。

アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』が演出の手数が多いアニメだったことをうけてなのか、舞台版ぼっち・ざ・ろっく!も異常なほどの手数の多さで見せていきます。
印象的なのは"ぼっちーず"というぼっちちゃんのイマジナリーフレンドを具現化した存在です。
ぼっちちゃんと同じ格好をした人々がぼっちちゃんの周辺で蠢き、慌て、踊る!
舞台版ぼっち・ざ・ろっく!であまりに普通の顔をして出てきたことで、忘れがちになっていましたが、これこそ舞台版『ぼっち・ざ・ろっく!』の発明だし、むしろ原作・アニメ版でこれなかったんだっけ!となるほど、良い演出です。
PART2でもぼっちーずは相変わらず「え、原作・アニメ版でもいましたよね」な平然とした顔でうごめき、慌て、踊り狂い、舞台の転換を手伝ったりしていて良かったです。
個人的にはこのぼっちーずが後々のシーンで出てくるんじゃないか……と思っていたのですが、その予想は覆されるのでした。
それはさておき、PART2はオープニングが凄まじいです!
前回のあらすじ!をなんとミュージカルで表現。喜多郁代役の大森未来衣さんがミュージカル俳優であることを活かした歌いっぷりにめちゃくちゃ笑ってしまいました。
そんで大森未来衣さんの歌の上手さを活かしたミュージカルシーンが本編に多分三つくらい入っていた。それを見ながら、なんていうか、上手いって面白いなって思いました。
(ぼっち・ざ・ろっく!とは関係ないですけども、『有吉の壁』でU字工事が突然上手いバイオリンを弾いたときの面白さとか、高田ぽる子のリコーダーのネタを思い出しました。上手いって面白い)


その後は、ドリフ大爆笑のオープニング再現もあったりでオープニングから多幸感がすごい。(逆転現象ですけどもサカナクションの『新宝島』的な高揚感がありましたね。いや本当逆転現象なんですけども)
続く、江の島編は、夏休み誰とも遊べず病んでしまったぼっちちゃんを江の島に連れて行って思い出を作ろうとする回。
アニメでもかなりの特殊回でもありましたが、それを完全再現……どころか上回ろうとする勢いで凄まじい手数の多さの演出が繰り広げられる!
電車での移動も再現されるし、パリピも登場するし、ペラペラになったぼっちも再現されるし、江の島エスカーに乗る四人はいるし、いわゆるドラゴンボールのヤムチャ状態になるぼっちちゃんもわざわざ物を作って再現するといういい意味の無駄っぷり。


これを再現している。わざわざ物を作って。

無駄をわざわざやる演出はいくところまで行き、後半の文化祭パートでは演者が着替えるための「時間稼ぎにダンスシーン」があったりする。
「時間稼ぎだよ~」と歌い踊る時間は、本当いい意味で「なんだこの時間は……」となるし、楽しい。
こんな感じで舞台の制約と自由さで遊び回るような演出の数々があるわけですが、その果てにある胸に残る感情は「ぼっち・ざ・ろっく!」を見たな~という気持ちでした。
なんでなんでしょうね。
多分、それは、どれだけ遊んでいても核の部分には手を加えていないこと、もしくは観客が共通認識として持っている『ぼっち・ざ・ろっく!』の好きな部分を壊していないし、むしろその部分を強くしているからだと思いました。
中盤にはSICK HACKの『ワタシダケユウレイ』のフル尺ライブがあってそれがまた良いのよ~。
サイケデリックでテクニカルな演奏がとても心地よくSICK HACKのライブもっと見たいぞ!とめっちゃ思った。
そんでSICK HACKもっと新曲出してよ!って気分になったりしました。
SICK HACKのEP出してよ!公式さんお願いしますよ!(余談だけども、廣井きくり役の月川玲さん、演技も演奏もめちゃくちゃ廣井きくりだったのに、カーテンコールの口調が大人しめで、それがシラフのときの廣井きくりのようで会場がざわついていました)



そしてクライマックス。文化祭ライブで原作ではぼっちちゃんのギターの弦が切れて喜多ちゃんがバッキングソロをやってぼっちちゃんがボトルネック奏法をするというあの展開があるわけですが、それをなんとやりきったのです!
ギターの弦を切るっての、どうやるんだ……と見る前は思っていて、多分ぼっちーずみたいな黒子を使うんだろうな、もしくはストップモーション演出とかするんだろうな……と思っていたらライブのオンタイムで弦が切れて、バッキングソロをやって、ボトルネック奏法をするっていう、もう綱渡りな展開にものすごく興奮した……というか強く感動してボロボロ泣いてしまいました。
気分はゴールデンカムイのやりやがった!の1コマ(ゴールデンカムイ知らなすぎて、このコマしかしらない)


ぼっちちゃんの弦が切れてからボトルネック奏法をやり切るまでを見た私。

とはいえ、それでもPART1の名もなきぼっちちゃんが文字通り「ぼっち・ざ・ろっく!」を見せる物語展開と比べると物足りないところもあるなーと思っていましたし、なにより私はアニメ版『ぼっち・ざ・ろっく!』の最終話がとても好きなのです。
あのラストの余韻ったら。アジアン・カンフー・ジェネレーションの『転がる岩、君に朝が降る』の後藤ひとりカバー版が流れる中、ぼっちちゃんがとぼとぼと朝の通学路を歩く中「今日もバイトかー」とつぶやく、その余韻。
少しだけどもぼっちちゃんの世界が変わったことを示すその余韻にかなりやられたのも事実。
正直、その余韻はなくて、やっぱりそれは難しいか~と思っていたら、最後の最後に結束バンドによるミニライブが。
ミニライブでは計4曲演奏されましたが、その3曲目、そこで演奏されたのがぼっちちゃん歌唱、つまり守乃まも歌唱による『転がる岩、君に朝が降る』でした。



『転がる岩、君に朝が降る』は2008年にアジアン・カンフー・ジェネレーションが発表した曲です。
それが時を経て前述の通り『ぼっち・ざ・ろっく!』の12話エンディング曲になりました。
原作者はまじあき先生がぼっちちゃんがアジカンを歌うならこの曲だろうと提案し、カバーされた楽曲だったそうです。
それが、周り回って舞台版ぼっちちゃん役の守乃まもが歌っている。
守乃まもの歌は正直よれていて、不安定なところも沢山ありました。
けれども、とても良かったのです。



にしても守乃まもとは一体なんなのでしょうか。
昨年の舞台版『ぼっち・ざ・ろっく!』で現れて、そしてまた表舞台に出なくなり、突然曲を配信したかと思えば、主催ライブを一回やって、そしてまた出なくなり、また今回の舞台で復活。
全くどういう人なのかわかりませんが、カーテンコールや関連番組を見る限り、相当変な人っぽいってことしかわかりません。
よく言われるのは、こんなぼっちちゃんっぽい人どこから見つけてきたんだってことです。
いや、本当、そう思う。
全身ぼっちちゃんみたいな人をよく見つけたと思う。
けれども、舞台ぼっちは「守乃まも」でもあるのだと思う。
いや、物凄く暴論なんだし、こう書きながら、そうじゃないってことも勿論承知しております。
でも、舞台の中心核は守乃まもの存在感なんだと思う。
あまりにもぼっちちゃんすぎる守乃まもがうわ~~~と終始慌てている。
そんな守乃まもぼっちがライブではかっこいい演奏をする。
そこに『ぼっち・ざ・ろっく!』を感じるんじゃないんだろうか。
それがPART2で一番出ていたシーンこそ守乃まもぼっちが歌う『転がる岩、君に朝が降る』シーンだったんじゃないかなと思ったりしたのでした。
いや、暴論なんですけども。
そこまでの積み重ねであったり、結束バンド四人のアンサンブルであったり、積み重ねまくる演出の果てであったりするんだけどもギターヒーローやアニメ版12話の余韻を強く感じたのは守乃まもの『転がる岩、君に朝が降る』だったことを言いたかったのです。


にしても良い舞台でしたね。
本当面白かったです。
もう褒めたいところを言えばきりが無いくらいです。
舞台『ぼっち・ざ・ろっく!』ロスから山田リョウ役の小山内花凜さんの舞台振り返りインスタライブをちゃんと見たくらいです。
今回のブルーレイもぜひほしいですね。
また見直したいです。


そして守乃まもはまた冬眠に入ったようです。
寂しい!!
また活動してくれ~と思うのですが、守乃まもさんのことですし、なかなか表にはまた出ないんだろうな~と思ったりもします。
なんかその感じも何故かぼっちちゃんと思ってしまうのです。
その守乃まもの所作になぜか『ぼっち・ざ・ろっく!』を感じてしまうのです。

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