短編小説『心が踊ればダンスだろ』の脚注
こんにちは両目洞窟人間です。
先日、短編小説『心が踊ればダンスだろ』を公開しました。
劇中、たくさんの音楽や固有名詞が出てきます。
それを知らなくても読めるとは思うのですが、知っていればなお楽しくなる(といいなあ…)と思ったので、それぞれの脚注を書いていこうと思います。
ロロって劇団がいて、めっちゃ固有名詞が出てくる舞台をやったあとに、その舞台の脚注を終わってから配るってのをやってたんですね。
帰り道の電車でそれを読むのが好きだったので、自分も脚注を書いてみようと思います。
星野源のライブ。
「自由に踊って」は本当に言っているそうです。「一緒のふりをせず、ばらばらに踊っている様こそいいから」とも言っている。そんな星野源が初めてソロで発表した曲は『ばらばら』で、その中では「世界は一つじゃない ああそのままばらばらのまま 世界は一つになれない そのままどこかにいこう」と歌っている。
私は『Friendship』って曲が好きで、このライブ映像が特に好きです。
アウトロの星野源のギターがめっちゃかっこよい。
ギタリストとしても星野源はめっちゃかっこいいんだよなー。ギタリスト星野源が炸裂しまくっているSAKEROCKもぜひ聞いてほしい。
映画『あみこ』
今年『ナミビアの砂漠』を発表した山中瑶子監督のデビュー作。
中盤、唐突なダンスシーンがあって、そのシーンを『愛がなんだ』の今泉力哉監督が「すごい」と言っていたのを覚えている。
公開当時、あまりの衝撃に、衝動で感想を書いた。下に載せておくけども、めっちゃ粗い感想。でも熱量だけはすごくある。
そんな映画だったなと思い出す。
サブスク配信もないので見る手段があまりにも無いのだけども、もし見る機会があればぜひ……(そんなことを言っておいて、山中瑶子監督の新作『ナミビアの砂漠』は見逃してしまった…)
the telephones
2005年結成したDISCOをとにかくモチーフにしたロックバンド。
2009年にメジャーデビュー。2015年に無期限活動休止を発表するも2018年から再始動。
ベースの長島涼平さんが2023年に脱退して寂しい。余談だけどもベースの長島さんは舞台『ぼっち・ざ・ろっく!』のベース監修で参加していて驚いた。
両目洞窟人間は2009年に出た2ndアルバム『DANCE FLOOR MONSTERS』を誕生日プレゼントとして買ってもらった過去がある。めっちゃ聴き込んでいた。ライブも行った。踊り狂った。
作中、出てきた『Love&DISCO』のライブ映像。これは2015年に活動休止を発表し、その最後のライブでの映像。
avengers in sci-fi
2002年に結成されたスリーピースバンド。大量のエフェクターを用いたバンドで鳴らしてるとは思えない宇宙的なダンスチューンが特徴。
そして何より、00年代~2010年代にかけて過小評価されたバンドの一つだと思う。
何故、売れなかったのか。こんなかっこいい音楽をやっていたのに……。
アルバムも2016年から出ていない。最近はあまり活動もしていないので寂しい。
今作の前半は2010年代が中心で、私の2010年代もたくさん音楽を聞いていた。本当に沢山音楽を聞いていたけども、今は聞かなくなった音楽もたくさんある。その中でavengers in sci-hiは今でもよく聞いている。今でも心を捉える何かがずっとある。そんな気がしている。
劇中話していた『NAYUTANIZED』はこちら。
興味を持ったらこちらの曲もぜひ。この曲が入った『Disc 4 The Seasons』(2012)はがちで名盤だと思ってる。
マヂカルラブリーの村上さんもavengers in sci-fiが好きらしく、ラジオで曲を流していた。やっぱいいバンドだと思うんだよー。
ミッシェル・ガン・エレファントの解散ライブ
2003年に解散した伝説的なバンド『ミッシェル・ガン・エレファント』の解散ライブで最後に披露されたのはデビュー曲『世界の終わり』だった。
最後の最後にボーカルのチバユウスケの声は出なくなり、ギターのアベフトシの弦が切れてしまった。
その壮絶な終わり際は以下の動画でも見ることができる。
アベフトシは2009年に亡くなり、チバユウスケも2023年に亡くなってしまった。
再結成はどうしたって叶わないけども、残した音楽は鳴り続ける。そんな青い言葉を信じたくなるくらい、ミッシェル・ガン・エレファントの残した音楽は今も鳴っている、そんな気がする(やっぱり青いですね)
それはそうとミッシェル・ガン・エレファントの解散ライブのDVDをプレイヤーに入れると、爆速で一曲目の『ドロップ』が鳴り響くので、よければ見てほしい。本当に爆速なので笑ってしまう。
ナンバーガールの解散ライブ
「福岡県博多市から参りましたナンバーガールです」という前口上が印象的すぎるバンド。活動は1995年~2002年。
最後のライブは札幌ペニーレーン24に行われた。
最後にして壮絶なライブは後に音源化され、名盤の一つとして挙げられることも多い。
両目洞窟人間は高校時代、ある帰り道、自転車に乗りながらイヤホンでこのライブの『omoide in my head』を聞いていた時、イントロのブレイクと客の「うぉい!!」って叫び声に、天啓のようなもの感じた。
ただなんの天啓かわからなかったけども、それからどんどんと音楽にのめりこんでいくのであった。めっちゃ極私的な感想だけども。
ナンバーガールは2019年に再結成して、2022年にまた解散した。
両目洞窟人間はその復活したナンバーガールのライブをなんとか見ることができた。ナンバーガールはやっぱりかっこよくて、しかも現在進行系でかっこよかった。同窓会で終わらなかった。とても激しいライブなのに、何度か泣いてしまった。
ストレイテナー
1998年から今なお活動し続けるバンド。最初はギターとドラムの二人組から始まり、ベースが入って三人になり、ギターが入って四人になった。
両目洞窟人間が高校生の頃、ストレイテナーの『Melodic Storm』を聞いて、かっこいい曲~と思った。
後年、ロックフェスでこの曲を聞いた時、めっちゃ思い入れがある曲でもないのに、何故か涙が止まらなくなった。
音楽を聞いてわけがわからない涙を流したのは、今のところ、これだけである。
最近出た曲もかっこよかった。ずっとかっこいいバンドってすごいですよね。安定して活動しているだけでも、ぐっとくるものがある。
全部の活動を追えているわけじゃないし、どうしても一番聞いていた時期が学生のころになるから、偏った趣向になるのは前提として、私が一番好きな曲は4人体制になって、すぐの時に発表されたアルバムに収録されている『Lightning』。ライブ版の盛り上がりも好き。
この方向性を突き詰めたようなボーカル・ホリエアツシのソロ『ent』の活動もすごく好きだった。
ミッション:インポッシブルのドバイが出てくるやつ
シリーズ四作目の『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』のこと。ミッション:インポッシブルシリーズのステージを一つ変えたほどの大傑作。監督がアニメ畑のブラッド・バードになったからか、全体を通して動きの魅せ方が見事。特にドバイシークエンスはあまりにも完璧すぎる。高層ビルを登るイーサン、騙し合い、アクション、砂嵐の中のチェイス。全てが繋がっていくアクションの連続が凄まじい。
京都シネマ
京都の四条烏丸にあるミニシアター。
特集上映もあって、見ごたえのあるプログラムが特徴的。
京都のミニシアターといえば『みなみ会館』と『京都シネマ』のどちらかにいけばいい、という時期があった。みなみ会館は昨年閉館してしまった寂しい。
北欧の貧困層をテーマにした映画は確かに見たのだけども、タイトルが思い出せない。とても暗い映画だったことだけ覚えている。
ヨーロッパ企画
同志社大学が母体の劇団。
演劇って難しい……って印象を覆すくらい、毎回趣向に富んだ面白い舞台を魅せてくれる。
U-NEXTには本公演がいくつか上がっている。
おすすめは『サマータイムマシン・ブルース』、『サマータイムマシン・ワンスモア』、『ビルのゲーツ』。
近年は映画も作っていて『ドロステのはてで僕ら』と『リバー、流れないでよ』を公開した。
両作品ともヨーロッパ企画の舞台の空気をそのままに、超面白い映画に仕上げている。
未見の方はずっと2分を繰り返す『リバー、流れないでよ』が面白いのでぜひ。
そして『ドロステのはてで僕らは』は公開時期的に近いからこう言い切っちゃうけどもクリストファー・ノーランの『TENET』にも対抗できるような作品だと思っている。クリストファー・ノーラン、なんかの機会で『ドロステのはてで僕ら』を見ないかなあ。
metro
京都にあるクラブ。場所は京阪電車の神宮丸太町駅近くにある…というかまじで駅直結であるのでびっくりしてしまう。こんなところにクラブって作っていいんだと思う。
初めてmetroに行ったのは大学生の頃で、クラブって怖いところなんじゃないか……とびくびくしながら行ったのを覚えている。
その時見たのはtofubeats、踊ってばかりの国、neco眠る、HALFBY、Sugar's Campaign…と今書いていて凄まじいラインナップ。凄く楽しい夜だったな。
深夜三時すぎ、ボギーさんという方のライブが始まった。
全く知らない人だったけども、凄まじく面白くて楽しいライブをやっていた。
朝も近くなったmetroでボギーさんは最後の曲に海援隊の「贈る言葉」を全力で歌った。私たち観客は肩を組んで合唱をした。
ボギーさんは最後に「三年B組~!!」と叫んだので、私たちは「ボギ八先生~!!」と叫びながら、ボギーさんを胴上げした。
以下がその写真である。
このどこかに両目洞窟人間がいるとかいないとか噂されている。
星間飛行
2008年に発表されたランカ・リーこと中島愛さんの曲。『マクロスF』劇中曲だけども、作曲菅野よう子で作詞が松本隆というガチの布陣で半端ねえ。特に松本隆。本当のアイドルソングを作詞していた人を引っ張ってくるっての凄すぎる。
両目洞窟人間は『マクロスF』は今にいたるまで未見。
ただ、あるカラオケで年上の女性がこの曲を歌っていて、その方の全力の「キラッ!」に心がときめいた。そのせいかわからないけども、その年はこの曲ばかり聞いていた。
DE DE MOUSE
2005年ごろから活動している遠藤大介のソロプロジェクト。チョップされたボーカルをテクノなビートに乗せたり、時にはファンタジックな音に乗せたり、そうかとおもえば近未来的な曲を作ったり、いろいろしている。
近年は他アーティストとのコラボを盛んに行っている。とにかくコラボ曲がめちゃくちゃ多いので、いつ寝ているのか、いつ休んでいるのか不安になる。
激しいライブをしながらも、どこか本人にアイドルっぽさがある(45歳男性なのに語尾に「~~~!」って感じで喋るところがめっちゃアイドルみある)ので、ファンはついデデちゃんと呼んでしまいがち。
新規で聞くならおすすめはやっぱり1st。
1曲目は未だにライブでプレイされるほどのアンセム。
そういえば、先日、ライブで披露していた「悪い曲」はいつ発表になるんだろうか。「速いぞうさん」って曲があったのだけども、いつか音源化してほしい……
world's end girlfriendの「Les enfants du paradis」
音楽家・前田勝彦によるソロプロジェクト。2000年ごろから活動している。
この人の音楽はなんて言ったらいいだろう……。
とにかくすごいし、美しいし、時に暴力的だし、映画的でもある。
アルバムを聞くと、音楽なのに「読了感」があったりするくらい物語を感じることもある。
「Les enfants du paradis」は七枚目のアルバム『SEVEN IDIOT』からの曲。
一説によれば、歌のメロディを一回作っておいてから、再分解して作っていった……みたいな作り方をしたアルバムらしい。なんかすごい。
MVで素晴らしい踊りを見せるのは入手杏奈さん。手足、身体を音楽と同期させるように、時に支配されるように踊る姿がとても素晴らしい。
「音楽という巨大な喜びの中で、それがそのまま支援や寄付に繋がっていく形を作れないか?」という考えのもと、パレスチナ・ガザ支援のためのライブ『抵抗と祝福の夜』を開催した。チケット売上の10%、ライヴ音源データ売上の80%、ライヴ映像データ売上の 80%、グッズ売上の40%をパレスチナ・ガザ地区へと寄付するプロジェクトとしても動き、その結果、756人の支援者を集めた。
このライブの模様はyoutubeで12月21日の21時からライブ公開される。アーカイブ無し。気になる方はぜひ。
トーキング・ヘッズの『This must be the place』
1974年にニューヨークの美大出身者で結成したバンド「トーキング・ヘッズ」。1983年に発表したアルバム『スピーキング・イン・タングス』の最終曲として『This Must Be The Place』は収録されている。
トーキング・ヘッズは1984年にライブの模様を収めた映画『ストップ・メイキング・センス』を発表する。監督は後に『羊たちの沈黙』を作るジョナサン・デミ。撮影監督は『ブレードランナー』を撮った直後のジョーダン・クローネンウェス。このような布陣で撮られたこの映画は今なお、ライブ映像が溢れた今でさえも「ライブ映画の最高峰」と言われている。
そう評価されるのは一つは撮影・編集の良さはあるだろう。特にじっくりと緊張感を持ってパフォーマンスを切り取る撮影と編集は今見ても新鮮である。
もう一つの要因はそのライブ演出である。最初、ラジカセ一つで弾き語りを始め、曲が進むごとにバンドメンバーが増えて、セットが組み立てられ、照明が変化していき……というのはあまりにドラマティックで映画的だ。
『This Must Be The Place』が演奏されるのはライブの中盤。
ボーカルのデヴィッド・バーンは自身の横に置かれたランプスタンドを点灯させるところから曲が始まる。
そして曲の終盤ではそのランプスタンドと踊る。一説にはミュージカル俳優フレッド・アステアが「恋愛準決勝戦」(1951)で魅せた帽子掛けとのダンスのオマージュと言われている。
『ストップ・メイキング・センス』は最近になって映画会社A24が4Kリマスター版を制作し、2024年初頭には日本でも公開。まさかIMAXで『ストップ・メイキング・センス』を見ることができる日がくるなんて思わなかった。
どこを切り取っても素晴らしい場面ばかりなのだけども、やはり中盤の『This Must Be The Place』はこの映画の白眉であると思う。
フレッド・アステアのダンスを見たあとだと、デヴィッド・バーンとランプスタンドのおぼつかないダンスに、妙な愛おしさを感じる。
『ストップ・メイキング・センス 4Kリマスター』はAmazonプライムビデオやU-NEXTで現在配信中(2024年12月12日現在)。
男肉 du soleil
京都を中心に活動しているダンスカンパニー。
男肉と書いて「おにく」と読む。
初見だと上半身裸でジーンズを履いた男たちが踊り狂い、そして巨大な身体男こと団長がマイクで叫んでいるのでびっくりする。
最近見に行けてないので、もし内容が変わっていたら申し訳ないのですけども、よく見に行っていた時の話の流れとしては以下のもの。
1、60分くらい演劇をやる。
2、60分目くらいで地球に異変が起きる(地球のコアが止まったり、宇宙人が攻めてきたりする)
3、それをダンスでなんとかする。(たまになんともならないことがあるけども、団長が出てきて全員を復活させる展開がある)
4、最後は『DISTANCE』(パチスロ『押忍!番長』挿入歌)が爆音で流れる中、踊り狂って大団円。
大学生の頃、夢中になっていました。
「心が踊れば、ダンスだろ」はそのラストで団長が叫んでいた言葉。
ダンスを踊ることができない私はその言葉がとても大好きだったし、事あるごとに思い出していた。
恩返しじゃないけども、団長の叫んでいた言葉が、こんな形になりました、と言いたい気持ちは少しある。