お願いだから「コロナ疎開」だけはやめて。
「コロナ疎開」という言葉が、この緊急事態宣言を前に飛び交っている。
新型コロナウィルスの患者が増加傾向にある都心部から、まだまだ感染者数の少ない地方へ文字通り「疎開」しようという動きである。
どうやらここ数日間、疎開先を求めてさっそく「外出」を試みるひとがいるのだそうだ。
無礼を承知で汚い言葉を申し上げれば、
こんなときに限って被害者ヅラして、田舎に戻ってくるんじゃねえよ
と言いたい。
我が群馬県の山間部では、町民の40%以上が65歳以上の高齢者である。
僕の働く職場だけをみてみれば、65歳以上のスタッフは80%以上にのぼる。
そんなところへコロナウィルスの感染者が入ってきたらどうなるだろう。
さらにいえば農業は、「生活の維持に必要な産業」として、農林水産省からは役場や農協からスタッフを補充してまでも仕事を続けるべきとのガイドラインが発せられている。
https://www.maff.go.jp/j/saigai/n_coronavirus/ncv_guideline.html
つまり、休めない。
病院やその他、ライフラインを維持する産業同様、農業関連も休むという選択肢が用意されていないのだ。
高齢化率が高度に極まる農業において、である。
もっとも鉢物関連は「母の日」を目前にして、いよいよラストスパート。
1年以上の歳月を費やしてきたこのタイミングで休業を余儀なくされるということは悪夢の何物でもない。
そもそも「職がない」「生活に不便だ」との理由で、多くの若者が街を離れる。
離れた若者の大多数が首都圏で学び、そのまま就職し、ほとんどは戻ることもないという。
そんな人物が、コロナが怖いからと被害者ぶって戻ってくるとは…。
いやいや、迷惑甚だしい。
街を出るのは自由だ。
それこそ好きで街を出たのだろう。
その間、街の維持や管理は、親世代が少ない人数で回してきた。
抜けたあなたの不足分を今後、どうしていくのか、今もみんなが悩んでいる。
これからも全人口の半数にあたる、65歳以上の高齢者で街の運営や、仕事を営む必要がある。
そのうちの1人でも抜ければ、農業やさまざまな仕事に大打撃を与えることになりかねない。
恐らく、「緊急事態宣言」が出ようが「都市封鎖」が起ころうが、農業は休まない。
休業や自粛で長いゴールデンウィーク中の首都圏を停滞させないように必死で働いている人のことももっと考えてほしい。
定住の希望や、地方での起業を考えるのなら別だが、お願いだからいまは「コロナ疎開」だけはやめて。
精神的にも腹立たしいから。